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川浦龍生が王座奪取 大橋哲朗を終盤逆転TKO WBO-AP・S・フライ級

2024年8月14日 1時36分

 WBOアジアパシフィックS・フライ級タイトルマッチ12回戦が13日、後楽園ホールで行われ、挑戦者の7位・川浦龍生(三迫)がチャンピオンの大橋哲朗(真正)を11回2分5秒TKOに下して王座奪取。自身初のタイトル獲得に成功した。

劇的な王座奪取を果たした川浦

 ヒザを柔らかく使い、頭の位置を左右に動かして柔軟に試合を進めようとする大橋。フォームを固め、左強打をしっかりと打とうとする川浦。サウスポー同士の対決は、2回に川浦が大橋の頭の動きを読み、右ジャブをヒットしてから動き出す。3回には大橋の左を読んで相打ちの左カウンターをヒット。さらに右フックでアゴをとらえ、大橋に強打を印象づけた。

 しかし、ここからが王者の真骨頂だった。4回、大橋は距離を詰めて川浦の強打が生きない接近戦にシフト。上下左右の波状攻撃を仕掛けて川浦を再三再四、ロープに釘づけに。川浦も時折、力を込めた反撃を試みるが、大橋はやはりヒザを柔らかく使って上体を動かし、ウィービングでかわしていった。

 サイドへ動こうとすれば腕で遮断され、ロープに押し込まれる川浦のフラストレーションはかなりのものだったろう。大橋が、川浦の右肩に頭を押し込んで右の動きを封じ込め、そこから上下にコツコツと散らす攻撃も川浦を辟易させたはずだ。が、川浦はそのままジリ貧になって心を折ることなく、常に反撃する姿勢をとっていた。それが、展開を引っ繰り返す光となった。

 9回、疲労もあっただろう大橋の前進が弱まると、ぽっかりと開いた空間を川浦が手にする。久方ぶりに伸びのいい左ストレートを放ち、慌てて距離を詰めてきた大橋の攻撃をボディーワークでかわす。防御でリズムを作り直すと封じられていた右リードブローも再開した。右が出れば、左も出始める。はっきりと流れが再び変わり始めた。

 ゆとりなく、焦りからの前進へと変化した大橋を、川浦はしっかりと見据えていた。11回、川浦は右ジャブとステップで距離を保つと、リズムに乗って左ストレートをヒット。これがテンプルをとらえ、大橋がほんのわずか足をもつれさせるとレフェリーはそれを見逃さず、すかさず試合を止めた。

 昨年6月の日本王座決定戦(4回TKO負け)以来、2度目のタイトル挑戦で劇的勝利を遂げた川浦は12勝8KO2敗。4月に獲得した王座の初防衛ならなかった大橋は12勝3KO4敗1分。

◆ウェルター級8回戦
磯谷大心(輪島功一スポーツ)[判定3-0(78—74、79—73、80—72)]西川宏次郎(横田スポーツ)

磯谷㊨がA級初戦飾る

 ガードをがっちりと固めて近づく西川を、相手の土俵でも上回りたいという気持ちもあったのだろう磯谷は、動かずに受け止めて強打を叩きつける。右の連打で側頭部を打ち、グラつかせるシーンがあったものの、徐々に西川の堅いガードに攻め手を阻まれていった。おそらく磯谷は几帳面な性格なのだろう。わずかに空いた箇所を打ちたいという思いが強く、それを見つけられず逡巡し、手数が減ってしまった。また、攻撃一辺倒の思考となってしまい、西川の強くはないがしつこいボディー連打を打たせてしまっていた。

 磯谷にとってはこれが初の8回戦試合。西川は、だから長い勝負に持ち込みたかったのだろう。その点でいえば、磯谷は西川に巻き込まれてしまった。ようやく磯谷が距離を作った展開に持ち込んだのは6回だった。

 序盤から、磯谷が左腕を伸ばして押し込むと、西川は何度もフラついてスリップダウンを繰り返した。だが、パンチによるノックダウンはついに奪えなかった。年齢(26歳)もボクシングも若い磯谷は、相手の堅いガードを動かすための駆け引きや、わざわざ相手に付き合わず自分主体のボクシングを展開する等、まだまだ勉強していくことがありそうだ。磯谷の戦績は7勝5KO3敗。36歳の西川は6勝2KO7敗1分。

◆ライト級8回戦
保坂剛(三迫)[引き分け]富岡樹(角海老宝石

熱闘ドローの富岡㊧-保坂戦

 距離を取って打つ形から、打ってから離れるスタイルへ。富岡は、かつての姿から完全に変わった。左に強打を秘めるサウスポー保坂の間合いから一段離れるのではなく、危険地帯をキープする。そこでフェイントを入れてタイミングを変えて連打。また得意の左からの攻めでなく、右リードからの連打も仕掛けるなどバラエティ豊富に攻めた。右から返す左ボディーブローは保坂の動きも心も揺さぶったはずだ。

 しかし、保坂はそのまま心を乱し、落ちていくことはなかった。左強打のタイミングをじっと計っていた。それを見せておいての右フック、アッパーも効果的だった。速い連打や多彩な攻め口で富岡が上回れば、保坂は左強打を主体に押し戻す。どちらかに一方的に流れが行くようなことはなく、最後の最後までせめぎ合った。ジャッジは三者とも76—76と採点した。

 必ずスリーパンチ以上つなげた富岡。ツーパンチをしっかりと打ち込んだ保坂。互いに学ぶべき点もあっただろう好ファイトだった。保坂は7勝5KO3敗1分。富岡は10勝4KO6敗2分。

◆ウェルター級8回戦
小畑武尊(ダッシュ東保)[判定2-1]平安山太樹(オキナワ)

初回にダウンを奪った小畑

 初回、左カウンターで平安山(へんざん)に尻もちをつかせた元日本暫定王者のサウスポー小畑(こばた)だが、決して慌てて攻め入ることなく、巧みな防御で平安山にプレッシャーをかけていく。平安山も、小畑の左をしっかりとかわし、右をリードブローとして返しの左フックを狙うなど、カウンター攻撃へとシフトしていくが、腕やグローブを使った小畑の防御を崩すことがなかなかできなかった。

 しかし、小畑も左を平安山の顔面に届かせることができなくなっていく。右ジャブが、左を打ち込むためのリズム取りに終始し、平安山の注意を半減させていたからだ。左アッパーをボディーに送り、また多少威力を強めた右ジャブを打ち始め、主導権をキープすることはできていたが、決定的なリードを奪えない展開が続いていく。

 そんな流れが山場を生む。7回、小畑が攻め方に躊躇して一瞬の間を作ったところ、平安山の左フックが顔面にヒット。足をもつれさせた小畑を攻め落とそうと、平安山は連打を仕掛ける。だが、小畑はロープを背負いながらしっかりとかわし、左ボディーカウンターを見舞って窮地を脱した。

 判定はジャッジ三者とも76—75と最少僅差。小畑のガード上を叩いていた平安山の強打が意外に支持されたのだろう。薄氷の勝利で1年ぶりの試合を飾った小畑は14勝6KO6敗1分。もう少し早い仕掛けをしていれば……と悔やまれる37歳の平安山は7勝5KO5敗。

◆東日本新人王予選S・フェザー級4回戦
池﨑創哉(三迫)[KO4回34秒]荻原一輝(DANGAN越谷)

◆ライト級4回戦
松村虎太郎(横田スポーツ)[TKO4回1分11秒]保木井 樹(船橋ドラゴン)

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