スミス戴冠 薬物疑惑のマティアスを5回KO、WBC・S・ライト級新王者

試合情報(日本語)

 現地時間10日、ニューヨーク・ブルックリンのバークレイズ・センターにてフレッシュ・プロダクションズ主催興行が行われ、メインのWBC世界S・ライト級タイトルマッチはチャンピオンのスブリエル・マティアス(プエルトリコ/140ポンド)が同級シルバー王者の1位、ダルトン・スミス(英国/139.6ポンド)に5ラウンド2分24秒KO負けを喫し、王者が交代した。

 昨年11月にVADAによるドーピング検査でマティアスの陽性が発覚したものの、WBCはパフォーマンス向上薬の「オスタリン」が検出された事案について「検出量も少なく、また古いサプリメントを服用した影響によるものとして今後しばらくの期間、保護観察処分とすることで試合は承認」と見逃した。一方、マッチルーム・ボクシングの堅実なマッチメイクで全勝レコードを造り、世界ランカーとの対戦は前戦のIBF13位、マチュー・ジャーメイン(カナダ)戦のみというスミスはその真価が問われる一戦だった。

 いつも通りガードをがっちり固めて前進する王者は手数で劣り、スミスが有効打数で初回のポイントを取る。2ラウンド、王者の突進に対しスミスはクリンチワークが増え、プエルトリコ系の多い観客からブーイングが沸き上がった。早くもマティアスの前進に手を焼き始めた印象のスミスは鼻血を出しながら体で跳ね返そうとするが、3ラウンド終盤にはマティアスの連打でよろめく。

 しかしスミスは4ラウンドに入ると懸命に前進し、流れを食い止めようと見応えある打ち合いを挑む。5ラウンド序盤、疲れを見せ始めたマティアスにスミスの左フックがヒット。動きの止まったマティアスにスミスの右ストレートが続けて入る。そしてふらついたマティアスのテンプルに右フックが入ると、仰向けにダウン。マティアスは立ち上がったものの、ダメージを考慮したリッキー・ゴンサレス(米国)レフェリーがストップし、見事な番狂わせとなった。

 暫定王者にイサック・クルス(メキシコ)が在位するなか王座を奪取した28歳のスミスは19戦全勝14KO。会場内の決して多くはない英国のボクシングファンは大歓声を上げていた。一方、打たれモロさを露呈した33歳のマティアスは23勝22KO3敗。初防衛はならず。

■元バンタム級王者のE・ロドリゲス復帰
 マティアスの禁止薬物使用に続き、この日はセミファイナルでもトラブルが発生。元々、WBO北米スーパーライト級王者でWBO2位のアルフレド・サンティアゴ(ドミニカ共和国/17勝8KO2敗)とWBOインターコンチネンタル同級王者でWBO10位のヘンドリ・セデニョ(ドミニカ共和国/16勝12KO)という楽しみな同国人ライバル対決がアナウンスされていたが、直前のメディカルチェックでセデニョが出場不可と診断されたため、試合3日前に中止となり、サンティアゴの試合もなくなっている。

 バンタム級10回戦。元IBF世界バンタム級王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ/117ポンド)が24年5月の西田凌佑(六島)戦以来となる再起戦に臨み、フェルナンド・ディアス(米国/117.6ポンド)に10回判定勝利を収めた。97-92に99-90が2者の3-0。

 コンディションのよさを思わせるロドリゲスは初回2分過ぎ、出てきたところに左フックを合わせ幸先よくダウンを奪う。再開後も慎重に攻めるロドリゲスは2ラウンド以降も上下にパンチをヒットしディアスのスタミナを削っていった。

 試合は予想通り、ロドリゲスがポイントを加算していくもののKO負けのないディアスも根性を見せて食い下がる展開。やや盛り上がりに欠いたが、7ラウンド終盤にはディアスが手数で反撃し、ロドリゲスがロープ際で防戦一方となった。8ラウンド、流れを取り戻そうとロドリゲスも手数を増やすが、粘るディアスと打ち合いとなる。最終回は逆転を狙ってディアスが猛進。ロドリゲスも懸命にかわして終了となった。

 ディアスの頑張りに手を焼いた印象の元世界王者の復帰戦だった。約20ヵ月ぶりのリングで33歳のロドリゲスは23勝13KO3敗1無判定。25歳のディアスは16勝6KO7敗1分。

 バンタム級ノンタイトル10回戦、WBOインターナショナル同級チャンピオンのジェイビエール・シントロン(プエルトリコ/117.8ポンド)はビクトル・サンドバル(メキシコ/116.6ポンド)に初回2分40秒TKO勝利。

 今回のフレッシュ・プロダクションズ主催イベントは新年早々トラブル続きだ。この一戦も当初はシントロンと、24年7月に田中恒成への挑戦試合を約2.9㎏体重超過し試合中止としたジョナサン・ロドリゲス(メキシコ)との対戦だったが、ロドリゲスが期日までにビザを受け取ることができず、試合3日前に対戦相手がサンドバルへ変更となっていた。

 代役となったサンドバルがゴング直後に仕掛け、シントロンを赤コーナーに押し込むと右、左と強烈なフックを浴びせ開始20秒でシントロンがダウン。フラつきながら再開に応じると今度は1分過ぎにシントロンの右フックでサンドバルがダウン。少しずつ回復を見せるシントロンは再開後、ボディーへ打ち込んで2度目のダウンをマーク。立ち上がったサンドバルにボディーへの連打で両膝を付かせ3度目のダウンを奪った。

 エディ・クラウディオ(米国)レフェリーはここも再開させると、両者フルスイングの打ち合いとなったが、ダメージはサンドバルのほうが抱えていた。ボディーが効き赤コーナー前でサンドバルが4度目のダウンを喫するとレフェリーはカウントを数えず試合終了。19年12月には来日経験を持つ(井岡一翔に判定負け)30歳のシントロンは14勝7KO1敗1無判定。先制攻撃で大いに会場を沸かせた29歳のサンドバルは38勝24KO6敗。

 フェザー級8回戦、キース・コロン(米国/125.4ポンド)がバンタム級の元世界ランカー、アルベルト・ゲバラ(メキシコ/125.2ポンド)に7ラウンド1分9秒TKO勝ち。23歳のコロンは10戦全勝全KO。一方、約13年前に両国国技館で山中慎介(帝拳)の持つWBCバンタム級王座に挑戦した経験を持つ35歳のゲバラは28勝13KO9敗、ここ5試合で1勝4敗。

モバイルバージョンを終了
タイトルとURLをコピーしました