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山中慎介“神の左”に恥じぬ試合 笑顔で引退会見

2018年3月26日 16時39分

 元WBC世界バンタム級チャンピオンの山中慎介(35歳=帝拳)が26日、都内のホテルで引退会見を行った。“神の左”と呼ばれる必殺の左ストレートで日本歴代2位となる12連続防衛を記録したサウスポーは笑顔をまじえながらボクシングへの思いを語った。

花束を渡したのは山中(左)の高校の後輩・村田だった

 ルイス・ネリとの再戦からおよそ4週間。名王者の引退会見には100人を超える報道陣が詰めかけた。V12をまとめた映像が流されたあと、大きな拍手に包まれて姿を現した山中は「15歳からボクシングを始めて20年、本日をもちましてボクサー、山中慎介は引退いたします」と神妙な面持ちで引退を宣言した。

大学では目立った成績残せず…

 中学校の卒業文集に「WBCのチャンピオンになる」と書き記し、名門・南京都高の門を叩いた。高校では国体で優勝するも、進学先の専修大では目立った成績を残せず、プロでもスタートは思うようなボクシングができなかった。

浜田代表(左)は入門当初から山中に期待していた

 会見に同席した帝拳の浜田剛史代表は「大学卒業前にジムに練習に来た。抜群のパンチ力を持っていた。でも大学の成績はたいしたことはない。磨けば恐ろしいボクサーになると思った」と当時を振り返る。

 潜在能力を発揮できずとも無敗を貫いた山中は日本王者となり、初防衛戦でホープの岩佐亮佑(セレス=現IBF世界S・バンタム級王者)と対戦。「あの試合を乗り越えて勝てたことでいまの自分がいる」というターニングポイントをへて、11年11月にクリスチャン・エスキベル(メキシコ)との王座決定戦を制し、世界王者となった。

浜田代表「磨けば恐ろしいボクサーになる」

 浜田代表が「最初に習うワンツー、ストレートで世界チャンピオンになった選手はほかにいないんじゃないかなと思う」と指摘したように、山中ほどシンプルなスタイルで頂点を極めたボクサーも珍しい。

 この点について山中は「歴代の世界チャンピオンでもトップクラスの引き出しの少なさだったかもしれない。それでもこれだけ結果を残してこれたのは高校時代から磨き上げてきたワンツー、左ストレートを信頼してきたからだと思う」と説明。後援会が発案した“神の左”というニックネームに最初は気恥ずかしい思いもあったというが、「その言葉に恥じないような試合はしてこれたのかなと思う」と納得の表情を見せた。

家族の支えも山中には大きな力となった

 最も印象に残っている試合だと語ったアンセルモ・モレノ(パナマ)との第2戦、ベストパンチに挙げたトマス・ロハス(メキシコ)を瞬時に失神させたV2戦は、いずれも左ストレートでのノックアウトだった。

 会見後は高校とジムの後輩であるWBA世界ミドル級チャンピオンの村田諒太から花束を贈られ、長男の豪祐くん、長女の梨理乃ちゃんから“卒業証書”を受け取った。報道陣に何度も頭を下げる姿が、最後まで気遣いのチャンピオンらしかった。なお、第2の人生は白紙の状態だという。

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