世界バンタム級王座統一戦 IBF西田凌佑が公開練習 敵陣・村野健会長が視察「警戒したい」
2025年6月3日 0時07分
2025年6月2日 19時06分
10日、東京・後楽園ホールで開催される「ダイヤモンドグローブ」のセミファイナルは、日本ユース・ウェルター級タイトルマッチ。昨年12月以来の再戦で、前回の王座決定戦は“輪島功一の孫”磯谷大心(輪島功一スポーツ/23歳、8勝5KO3敗)が加藤大河(DANGAN越谷/21歳、7勝2KO3敗)を2-0の判定で下し、24歳未満のA級ボクサーが争うタイトルを奪取するとともに初の日本ランク入りを決めた。
前回の試合中に古傷の両拳を再び痛めた磯谷は、この期間を拳の回復と強化にあて、コンディションを整えることに努めてきた。王者のモチベーションとなっているのが「リベンジ」。勝ちはしたが、「最悪の内容」と悔しさばかりが残った。元日本ランカーの父・磯谷和広トレーナーとともに自分のボクシングを見つめ直す時間にもなった。「今回こそ、圧倒したい」と力を込める。
ほんの1年前まで埋まりきらなかった日本ランクも、アマチュアで実績を残した若手が続々とランクイン。少しずつ充実してきた。そんな状況で迎える日本ランカー対決。国内ウェルター級戦線で存在感を示すのはどちらか。再戦に臨む磯谷に聞いた。(取材/構成 船橋真二郎)
「今回はちゃんと練習から打ち込めている」
――磯谷選手にとってはダイレクトの再戦になります。
磯谷 もともとは違う選手とやる予定が(相手のケガで)できなくなったので。で、ちょうどよく、その頃に試合が終わった加藤くんがいたんで。まあ、しょうがないかって(笑い)。
――しょうがないか、という感じですか?(笑い)
磯谷 いや(笑い)、まあ、自分は1戦も挟んでなくて、しかも一応、勝った相手とまたすぐやるって、あんまりよくは思われないじゃないですか。
――周りから見たらということですね。
磯谷 そうですね。またやるの? みたいに思われるんじゃないかなって。でも、自分としては(昨年12月の試合が)最悪の内容ではあったんで。そこにリベンジすることについては、いい機会だなと思ってます。
――(試合後の控え室で)お父さんにも厳しいことを言われていましたね。
磯谷 そうですね(苦笑)。まあ、自分自身も「嬉しい」では終われなくて、「悔しい」ほうが大きかったんで。しっかり喜べる勝ち方ができるように。
――拳の状況は置いておいて、まず試合前に持っていた加藤選手のイメージと実際に向かい合ったときのギャップはありましたか。
磯谷 自分的には思ったより距離が遠くて、ガードも堅かったんで、パンチを当てにくい印象がありました。
――当たってもガードの上みたいな感覚。
磯谷 はい。いつもなら自分のジャブがよく当たるんですけど、加藤くんには当てにくくて、リズムがつかみづらかったですね。それで狙い過ぎちゃって、全部、当てにいくパンチになったところを狙われて、カウンターを合わされる感じになっちゃったんで。
――もっと捨てパンチを使うとか、いろいろできることがあった。
磯谷 そうなんですよね。そういう捨てるパンチがあったら、もっとラクにできていたかもしれないです。
――ただ、試合前に話していた通り、後半は加藤選手も落ちてきて、磯谷選手の左が生きてきましたよね。
磯谷 そうですね。後半はジャブが当たり始めてくれたんですけど、なんか痛くなったタイミングからポンポン当たるようになった感じで(笑い)。
――拳は試合中、早い段階でまた両方とも痛めてしまったんですよね。
磯谷 中盤ですかね。いつからというのははっきり分からないんですけど、右より左が特に痛くて。まあ、右は全然、当たってなかったから(笑い)。
――その痛い左でポイントを取れたとはいえ、相手が落ちてきた終盤7回に右で効かされて、危ないシーンがありましたね。
磯谷 あれで前歯が欠けたんで(苦笑)。まあ、前回は(痛めていた拳に慎重を期して)練習ではあまり強く打ち込んでなかったから、スタミナがちょっと不安ではあったんですけど。今回はちゃんと練習から打ててるんで。前回よりも自分も(スタミナが)上がってるし、相手が落ちてきたところで、ガッツリ行けたらな、と。
「きちっとハメて、倒したい」
――いつだったか後楽園ホールでお会いしたときに拳の状況を聞きましたけど、最初は“ボクサーズナックル(伸筋腱脱臼)”の手術をする予定が、腱がズレないように“(腱を)落として、潰す”に方針転換したと。実際、どのように拳を鍛えてきたんですか。
磯谷 診てもらう人を変えたんですけど、そっちのほうがいいと言われて。まあ、痛くても、とにかく打ちまくる(笑い)。
――そうなんですか。サンドバッグとか?
磯谷 サンドバックとか、ミットとかでも。もう、痛くてもひたすら。
――荒療治ですね。痛みがまったくないことはないでしょうけど、よくなってきたのは、いつ頃だったんですか。
磯谷 いや、よくなってきたというより、慣れてきたな、みたいな感じですね(笑い)。
――痛いことに慣れてきた、というほうが近い?
磯谷 はい。痛いのは痛いですけど、打てるなっていう。前までは打って、痛えー! ってなったら、その日はもうまったく打てなくなったんですけど、硬いところに当たって、痛っ! となっても、まあまあ、大丈夫か、みたいな感じで、打ち続けられるんで。
――では、不安がなくなったのはなくなったと。
磯谷 不安は少しありますけどね。頭とか叩かないように気をつけないと。
――今回の再戦で前回の自分とはここが違う、というところは?
磯谷 まあ、特に違うというところは、そんなにないと思うんですけど。
――それでは、この期間にお父さんと取り組んできたことは?
磯谷 前回はパンチを狙い過ぎたり、大振りが多かったりしたんで。力まず、コンパクトに。で、狙い過ぎずに捨てパンチを入れながら、しっかりジャブでペースを取れるように、というイメージでやってます。
――違うところがないというのは、しっかり自分のボクシングができるように、ということですね。
磯谷 そうですね。そこをしっかり見つめ直して。あとは、もうちょい自分からプレッシャーをかけたいかな。前回は引き気味だったところがあるので、しっかりプレッシャーをかけつつ。(相手に)プレッシャーがかかった状態とかかってない状態では、相手からの攻撃を受ける感覚が全然違うと思うんで。その上で力まず、かわしたり、こっちの攻撃につなげたりできれば。
――加藤選手は前回、負けている分、やり返してやるという強い気持ちでくるでしょうし、日本ランカーに勝ったことで、自信を持って臨んでくるところもあると思います。
磯谷 まあ、逆の立場だったら燃えるだろうし、絶対にやり返してやろうと思いますよね。ランキングに入って、気持ちも上がってると思うんですけど、そこで圧倒しないと。
――逆に日本ランカー対決になって、勝てばランキングが上がる可能性が高くなったのは大きいのでは?
磯谷 まあ、加藤くんが日本ランキングを持ってきてくれたんで、まだ見てられるのかなって。周りの人は(笑い)。
――ああ、なるほど(笑い)。では、ユースタイトルを獲って、日本ランクに入ったという実感は?
磯谷 まあ、ここからです。ランキングに入っただけでは、あんまり意味がないし、ここからコツコツ上げていくしかないんで。ここでコケてられないな、という気持ちが大きいです。まだまだ実力も上げていかないといけないし。
――前回は圧倒して、レベルの違いを見せたいと言っていましたね。
磯谷 そうですね。その気持ちは強いです。今回こそ、圧倒したいし、圧倒して、そろそろ倒したいですね。久しぶりに。
――ここ3戦続けて判定勝ちですね。
磯谷 はい。1年以上、KOがないんで。そろそろ。でも、狙い過ぎるとロクなことがないんで。ジャブで組み立てて、きちっとハメて、倒したいですね。
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