加藤大河に対し、返り討ちを誓う磯谷大心「圧倒して、倒したい」6.10 日本ユース・ウェルター級戦
2025年6月2日 19時06分
2025年6月2日 18時58分
10日、東京・後楽園ホールで開催される「ダイヤモンドグローブ」のセミファイナルは、日本ユース・ウェルター級タイトルマッチ。昨年12月以来の再戦で、前回の王座決定戦は“輪島功一の孫”磯谷大心(輪島功一スポーツ/23歳、8勝5KO3敗)が加藤大河(DANGAN越谷/21歳、7勝2KO3敗)を2-0の判定で下し、24歳未満のA級ボクサーが争うタイトルを奪取するとともに初の日本ランク入りを決めた。
負けた加藤の思いは言わずもがなだ。「やってくれることにマジで感謝」としつつ、「ナメられてんなっていうのもある。見返してやらないと」と闘志を燃やす。今年3月、足名優太(金子)を明白な判定で下して再起。初の日本ランクを勝ち取ったが、手にしたいと目を輝かせるのがベルトだ。この一戦の翌日は22歳の誕生日。「最高の誕生日にする」と大いに意気込んでいる。
ほんの1年前まで埋まりきらなかった日本ランクも、アマチュアで実績を残した若手が続々とランクイン。少しずつ充実してきた。そんな状況で迎える日本ランカー対決。国内ウェルター級戦線で存在感を示すのはどちらか。再戦に臨む加藤に聞いた。(取材/構成 船橋真二郎)
「自分からどんどん攻めるほうが合っている」
――足名選手に勝ったリング上で希望していた磯谷選手との再戦です。
加藤 いや、やってくれることにマジで感謝です。オレ、次の日(6月11日)が誕生日なんですよ。流れがきてるなと思うし、最高の誕生日にします。
――そうでしたか。先ほど、斎藤(友彦チーフトレーナー)さんが言っていた「運がある」ということですね。
加藤 はい。絶対に獲んなきゃいけないな、と思ってます。
――再起戦で日本ランカーの足名選手から声がかかった流れもそうだし、そこで日本ランキングをつかんだことも大きいのでは?
加藤 どうなんですかね? そこはあんまり。自分の中ではなんも変わってないんで。それよりベルトがほしいっすね。
――前回、話を聞かせてもらったときもベルトへの思いを感じました。
加藤 やっぱ、モノでほしいっす(笑い)。ランキングには入ったっすけど、マジで実感ないんで。
――前回はベルトを獲った自分をずっと想像していると言っていて、ベルトは肩にかけるんだと。今回こそ。
加藤 いや、今回こそ。ほんとっすよ。イメージ、めちゃくちゃできてます(笑い)。
――12月に負けて、気持ちが落ちたと思いますが。
加藤 だいぶ落ちました。前回は自分の中では結構、練習をやりきった状態で臨んでたんで。もう(ボクシングは)いいかなっていうところまで落ちたんですけど。
――どう気持ちを立て直したんですか。
加藤 1ヵ月ぐらいジムに行ってなかったし、練習もまったくしてなかったんですよ。そしたら年明けぐらいに足名選手の話がきて。やっぱ、やるしかねえと思って。
――そこから試合まで2ヵ月ですか。その間、練習を重ねるうちに気持ちがどんどん上がった?
加藤 いやー、前回、負けてるんで、ちょっと怖い部分もあったんですけど。足名選手、結構ガンガンくるじゃないですか。三迫ジムの出田(裕一)選手とスパーリングをやって、それが自信になったっすね。
――出田選手とは何ラウンド?
加藤 全部で30ラウンドぐらいですかね。出田選手もガンガンくるんで自信になりました。
――出田選手、4月に負けて、ベルトは失いましたけど、そのときは1階級上の日本王者ですよね。何かつかめたものが?
加藤 そうっすね。自分が打ってる時間が多ければ多いほど、疲れないなと感じたのはあるっすね。今までの自分って、見合ってる時間が多かったな、と思って。
――出田選手に対して、見合ってるヒマはないでしょうね(笑い)。
加藤 ないっす、ないっす(笑い)。
――自分からどんどんパンチを出して、攻めていくほうがリズムをつかめると。
加藤 あ、そうですね。やっぱり、多少もらっても自分からどんどん攻めるほうが自分には合ってるのかなって。
――それが足名選手との試合前につかめたし、今回は。
加藤 どんどん自分から攻めます。
「今回はマジで自信ある」
――前回、磯谷選手とやって、イメージと違ったところはありましたか。
加藤 逆に自分が大きく見過ぎてましたね。みんな、磯谷のパンチは重い、みたいな話だったんで。行くところで行けなくて。
――特に7ラウンドですかね。右を効かせたけど、行けなかった。
加藤 そこも行ききれなかったんで。今回は最初から行きます。
――後半は動きが落ちたように見えました。
加藤 あ、そうですね。疲れました(苦笑)。
――何か原因として思い当たることは?
加藤 相手のジャブで支配された感じだったんで。自分のペースを乱されて、疲れて、みたいな感じですね。この間の試合(足名戦)は最後、8ラウンドでも全然、動けたんで。そこですね。
――確かに足名戦の終盤は、ボディーワークでかわしたり、どんどんリズムに乗っていきましたね。リズムをつくるためにも自分から行く。
加藤 はい。最初から。常に行きます(笑い)。
――ただ、足名戦はよかったと思うんですけど、ロープを背に戦う場面が多くなりました。
加藤 そのクセがあるんですよね。ここにいたらもらわないなっていう自信はあるんですけどね。周りから見たら印象悪いと思うんで。
――前回のようにポイント勝負になって、そういうところで持っていかれるのは嫌ですよね。
加藤 まあ、そのクセは修正できてるんで。でも、今回は倒したいっすね。
――倒したい?
加藤 倒したいです。3ラウンド以内に。
――3ラウンド以内に!?
加藤 4ラウンドでもいいんですけど。採点が出るじゃないですか。
――ああ、4ラウンド終了後の公開採点ですね。前回が初めて。
加藤 はい。あれ、嫌っすね。自分が勝ってたら違うと思うんですけどね。ヤバってなるんで。動きが硬くなったと思うし。まあ、でも、マジで後悔なくやり切りたいだけです。
――勝つために何が一番、大事になると考えていますか。
加藤 一番っすよね? なんだろな? 一番は楽しむことじゃないですかね。前回の(磯谷との)試合前は、勝つぞ、勝つぞ、みたいな感じで、今から思うと力が入ってたんですよ。でも、この間(の足名戦で)、入場する前に初めて思ったんですけど。あ、今日はオレの勝ち確定だな、オレのための発表会だな、みたいな感じで変に気負わず。それで勝ったんで。次も。
――ここまでプロでやってきて、初めての心境だったんですね。次もそうなるように。試合まで仕上げたいですね。
加藤 そうっすね。でも、磯谷とは1回、やったんで。大丈夫です。
――これぐらいの力というのはインプットできた。
加藤 はい。で、1回、勝った相手とやるって、嫌じゃないですか。向こうのほうが嫌だと思うんですけどね。
――確かに勝ったほうはやりづらいかもしれないですね。
加藤 そうですよね。でも、やってくれるのは、ナメられてんなっていうのもあるし、次は倒せると思ってると思うんで、見返してやらないとなって感じです。オレ、スパーリングでもそうなんですけど、1回目より2回目からよくなるんですよ。早くやりたいっす(笑い)。
――早くベルトを。
加藤 はい。獲って、みんなにワーッて、ベルトをやる(掲げる)イメージはもうできてるんで(笑い)。
――いや、前回とは笑顔が。
加藤 あ、違うっすか?(笑い)
――全然、違う(笑い)。
加藤 マジで自信あるっすね。
――いつも自転車でロードワークに伴走して、鼓舞してくれるというお父さんにもベルトを見せたいですよね。
加藤 見せたいっすね。相当、喜んでくれると思うんで。で、このユースのベルトを獲ったら、違うベルトもほしくなると思うんで。ここからっす。オレのボクシング人生は。
――そのためにも倒して。
加藤 いや、倒したいっすけど、そんな簡単にうまくいかないと思ってるんで。オレの勝利への執念を見せたいですね。試合を見て、いや、すごかったな、気持ちが熱くなったわって、そんな感じで帰ってもらいたいです。
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