さらに上を見据えて――WBO-AP王者の川浦龍生、世界上位の力を見せる 8.12白石聖とのV2戦

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 12日、後楽園ホールで開催される「ダイヤモンドグローブ」のメインはWBOアジアパシフィック・S・フライ級タイトルマッチ。王者の川浦龍生(三迫/31歳、13勝9KO2敗)が同級10位の白石聖(しらいし・じょう、志成/28歳、12勝6KO1敗1分)を挑戦者に迎え、2度目の防衛戦に臨む。

 川浦は2月、当時WBO10位の田井宜広(RST)との世界ランカー対決に6回TKO勝ち。左右にスイッチしながら攻め込んでくる変則タイプを得意のカウンターで冷静に迎え撃ち、カウントを奪った末に最後は連打でストップ。快勝で初防衛に成功した。

 今回の白石戦は「自分から動いて、展開をつくる」ことをテーマに掲げる。作戦という面もあったが、前回の田井戦は「受け過ぎたところが課題」と川浦。主体的に試合をつくり、「差を見せて勝ちたい」と意気込む。

 「自分からどう崩していくか」。さらに上を見据え、丸山有二トレーナーは「圧倒して、倒すこと」を川浦に求める。2年前の7月に白石の挑戦を受けたジムの先輩・中川健太は判定勝ち。それを超える内容で勝利し、40歳にして現役の中川、また日本同級王者である後輩・山口仁也にも「ジムとして刺激を与えたい」という狙いもある。

 現在31歳。徳島市立高時代に対戦した井上尚弥(大橋)とは同学年になる。一昨年6月に当時の王者・高山涼深(ワタナベ)に4回TKO負けで日本王座獲りに失敗して以来、「目標の世界チャンピオン」に向け、「1回でも負けたら終わり」と自らを奮い立たせてきた。WBA3位、WBO5位、IBF8位という世界ランクに相応しい実力を示し、世界初挑戦に近づきたい。

 直近の4月、6月と「ダイヤモンドグローブ」のメインを務めた主催の三迫ジムの王者は2回続けて敗れている。川浦はメインイベンターとしての期待と使命も背負って、リングに上がることになる。(取材/構成 船橋真二郎)

※「ダイヤモンドグローブ」の模様は12日18時の第1試合開始からFODでライブ配信される。

2度目の防衛戦に臨む川浦

■目標の世界を見据えて
――2度目の防衛戦になります。挑戦者の白石選手の印象は?
川浦 オーソドックスで長身と言えば長身(川浦は168cm、白石は170cm)ですよね。前の手で探ってくるような感じで、キレイなボクシングをする印象があります。

――2年前の中川選手との試合は見ていましたよね。
川浦 見てました。中川さんに負けて……その後、結構、空いてますよね?

――去年の大晦日、佐藤剛(角海老宝石)選手との再起戦が1年5ヵ月ぶりでした。
川浦 そうですよね。その復帰戦は僕が徳島の実家に帰ってるときに中継で見てたんですけど。まあ、“また”中川さんが勝った相手なので、内容的には中川さんよりもいい内容で勝たないといけない、というのはあります。

――先ほど、丸山トレーナーに聞いたんですけど、廣本(彩刀=角海老宝石)選手との試合も同じで(2024年2月)、中川選手が倒せなかった相手だからこそ、倒して、KOで勝つことを目標にしていたと。
川浦 そうです。やっぱり、同じ階級で相手が(中川と)かぶることが多くなるじゃないですか。なので、そこはいい内容というか、上回る内容で勝とうということは丸山さんと話してました。

――だから、あの廣本戦の終盤から最終ラウンドにかけて、セコンド陣が一斉に「行け! 行け! 倒せ!」と、ものすごい勢いでハッパをかけていたのは、そういうことだったんですね(笑い)。
川浦 はい(笑い)。1ラウンドにダウンは取ったんですけど、KOすることはできなくて。

――それは世界ランクも上がってきて、さらに上を見据えたとき、中川選手を超える力を示さないと上には行けないということでもありますよね?
川浦 はい。まあ、世界ランキングは数字上のことなんですけど、その位置にいるということは、いつ話がきてもおかしくないということなんで。そこは意識してますし、上位に相応しい実力を見せたい、というのはあります。差を見せて勝ちたいですね。目標は世界チャンピオンなんで。

――差を見せて勝つ、ということはKO、ストップを意識して臨む。
川浦 そうですね。勝ち方としてはKOしたいというのはあります。まあ、狙い過ぎて、力が入り過ぎないようにしないと(笑い)。

――前回2月の田井戦は6回TKOで、快勝と言っていい結果でしたが、課題が見えたところはありましたか。
川浦 課題は、受け過ぎたところです。最初は(相手が出てくることを想定して)受けて、そこから自分のペースに持っていく作戦ではあったんですけど。ブロック(からのリターン、カウンターが)主体になって、動きが止まったり、もらわなくてもいいパンチをもらったところもあったんで。もう少し自分から動いて、展開をつくりたいですね。

――相手をよく見て、冷静だったと思いますけど、ロープを背負う場面が多いところが気になりました。
川浦 そうなんですよね。受け過ぎないで、ブロックに頼り過ぎないようなボクシングをしていきたいですね。

――昔はブロックに頼るボクシングではなかったし。
川浦 そうですね。昔の自分のよさも融合して、よりいい動きができるようにしたいな、と思ってます。

同じ日に出場する北本慶伍と目慣らしのマスボクシング

■実力をつけ、勝ち続けて、チャンスをつかむ
――課題も踏まえて、あらためてイメージする展開は?
川浦 白石選手、前に来るような感じではないので。僕が行かなかったら、見合う時間が長くなって、ヘタをしたら退屈な試合になると思うんですよね。だから、倒すためにも自分から動いて、相手を動かしたいですね。

――自分からアクションを起こして、相手にパンチを出させて、カウンターを取るとか、主体的に試合をつくりたいということですね。
川浦 はい。ただ、向こうも待ちで右とかを狙ってくるところがあるんで。そこは気をつけないといけないです。

――相手が狙っている分、入り方、仕掛け方も工夫して。
川浦 はい。よりよく勝つためには、よりいい動きをしないといけないので。そこは練習から意識しているところです。

――先ほど(インタビューに入る前)の話で週4、週5ぐらいでスパーリングが続く時期があったとか。
川浦 そうですね。週4、週5が3週間ぐらいですかね。結構、続きました。サウスポーが相手ということでパートナーを頼まれたのも含めて、右、左関係なくですね。

――今回は特に多いですか。
川浦 多いですね。ディフェンスがいいから、もらわないから大丈夫だろう、と言われるのは、嬉しいんですけど、精神的にも疲れるんで。そこは丸山さんと話して、うまく調整しながら、ケガをしない程度に。めちゃくちゃ若いわけではないし。

――そのスパーリングは別として、31歳になって、体の面で20代の頃とは変わってきているところも感じますか。
川浦 いや、そんな身に染みて感じることはないんですけど、なんか筋肉痛が遅れてくるような気がしたり、とか(笑い)。

――なるほど(笑い)。
川浦 はい。例えば、土曜日にフィジカルをやったら、月曜日に(筋肉痛が)きて、で、火曜日も「ん? なんか(筋肉痛が)いるぞ」みたいな(笑い)。そういうのは感じますね。

――今の年齢、それから立場、自分のキャリアの中で、どういうところにいると捉えていますか。
川浦 そうですね。もう、日本タイトルで負けたときから、1回でも負けたら終わり、ということは常に意識してきましたし、実際、1回でも負けたら全部失って、また元の位置に戻るのは、すごく大変なことだと思うんで。(世界の)チャンスはそうそう来ないもんだと思ってますから、今回も負けられないですし、しっかり内容が伴った上で勝つことだけを考えてます。

――今、上の状況は王座統一が進んでいるところで、その先、どう動いていくのか、読めないところもありますね。
川浦 はい。ベルトが統一された後は、返上になって、一気に空位になるのか、分からないですけど。この間にできることは、実力をつけて、勝ち続けて、自分の力を証明することなので。とりあえず次の試合にしっかり勝って、少しでも世界に向けて進まないとな、と思ってますね。

川浦は中央大の後輩・永田丈晶(左)とともに勝利を誓う

■流れをストップすることが裏のテーマ
――セミには永田丈晶(協栄)選手の日本フライ級王座の初防衛戦が入って。4つ違いで重なってはいないですけど、中央大の先輩、後輩で同じ日に試合をするのはどうですか。
川浦 そうですね。ちょうど入れ違いなんですけど、嬉しいですよ、一緒にできるのは。

――初めてですか?
川浦 去年の2月の「U-NEXT」で、僕が廣本くんとやったときのメインに金谷(勇利=金子)が出て、(当時のWBOアジアパシフィック・ミニマム級王者だった)真正ジムの小林(豪己)くんに挑戦したんですよ。後輩にメインいかれた! みたいな。前座で僕が盛り上げました(笑い)。

――まあまあ、今回は先輩がメインで(笑い)。
川浦 はい(笑い)。やっぱり、一緒に勝って、盛り上げたいという気持ちは強いですし、中大出身のこんなチャンピオンが2人いるんだ、ということを知ってもらえたらな、と思いますね。

――中央大OBがプロでたくさん活躍していますけど、その中で永田選手のことはどう見てきましたか。三迫ジムにもよく出稽古に来ていますね。
川浦 そうですね。永田は僕より後にプロになって、先に日本チャンピオンになったんで。

――プロ5戦目ですもんね。
川浦 はい。また後輩に追い越されたか、ああ……とか思いながら(笑い)。僕が日本タイトルに挑戦する前でしたよね?

――そうか。その2ヵ月前ですね。
川浦 そうですよね。先に日本チャンピオンになられてしまって。

――なられてしまって(笑い)。
川浦 はい(笑い)。で、僕は負けて。でも、それも頑張らなきゃいけないな、という刺激にはなりましたよ。まあ、中大のみんなの活躍に刺激を受けました。チャンピオンになった順で言うと僕が最後ですからね。

――三代(大訓)選手、但馬(ミツロ)選手、永田選手、先輩ですけど、保田(克也)選手、そして川浦選手の順になりますか。その間に岡澤セオン選手がアマチュアの世界選手権で優勝して。
川浦 で、この間(6月19日)、大久(祐哉=金子)が獲れなかったんで。

――でも、名前を挙げていくと最近、中大OBも負けてきていますね。ここでストップしたいところですね。
川浦 そうですね。2人で防衛して。今度は中大のみんなに刺激を与えられるように。

――それからもうひとつ、4月、6月と「ダイヤモンドグローブ」のメインを務めた三迫ジムのチャンピオンが続けて負けていて、流れをストップする期待もかかると思います。
川浦 はい。僕がメインとして、いい流れをつくるというか、個人個人ではあるんですけど、三迫ジムというチームでもあるんで。しっかりいい勝ち方をして、流れを切って、次の人にいい形でつなぎたいと思います。

――王座決定戦で勝った日本チャンピオンの山口仁也選手は、次の初防衛戦で1位の重里侃太朗(志成)選手を迎えることになります。三迫ジム対志成ジムの戦いで弾みをつけることにもなりますね。
川浦 そうですよね。重里選手はサウスポーなので、ケガなく勝って、僕がスパーリングパートナーとして、ジンヤくんのサポートに回ります。

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