14日、東京・後楽園ホールで開催される「ダイヤモンドグローブ」のセミに日本S・フライ級タイトルを制すること3度のベテラン・中川健太(三迫/26勝14KO5敗1分)が登場。中国のソン・ウェイ(22歳、6勝4KO2敗1分)を相手にS・フライ級8回戦に臨む。
中川は昨年4月、大橋哲朗(真正)に終盤10回TKO負けを喫し、保持していたWBOアジアパシフィック王座から陥落。世界4団体でランク入り、WBC、WBOともに2位につけ、悲願の世界初挑戦に一歩一歩、接近していたところでの手痛い後退となった。
年齢的にも「負けたら終わり」の思いで戦ってきただけに引退も覚悟したが、さまざまな人たちの支え、三迫貴志会長の「これで終わっていいのか」の励ましにも背中を押された。
この8月で40歳になった。「好きなことを夢中でやってたら、いつの間にか40になっていた」と笑う。実際、自身に新たな「可能性を感じている」からこそ、この1年、ひたすらボクシングと向き合ってきたのが正直な実感だという。
「40歳にして、まだまだ進化できるんじゃないか」と感じているのは、復帰してから同い年の加藤健太トレーナーと組んだことが大きい。「技術的に僕にはできない、先入観で僕には合わないと避けていたことも、ちゃんと“理屈”があって、そこを突き詰めると決してそんなことはない、という気づきがある」。キャリア20年超の中川を唸らせ、フレッシュにさせている。
■「獲りに行くボクシング」への転換
昨年11月にタイで再起。今年4月には韓国でWBOオリエンタル王座決定戦(JBC非公認)を戦い、6戦全勝4KOのキム・セウイェルに3回TKO勝ち。3団体で世界ランクに復帰した。
もちろん「続ける理由」「やめなかった理由」はひとつ。「いい意味でも、悪い意味でも、勝ちに徹しすぎていた」と、ここ数戦の自身の戦いぶりを省みる。
「目指すのは世界」(加藤トレーナー)。だからこそ、「獲りに行くボクシング」、「状況しだいでリスクも取りに行けるボクシング」に転換をはかってきた。現役として「残された時間は少ない」が、「これまでのキャリアがある分、理解力、表現力が高く、吸収が早い」。何より変化を恐れず「変わりたいという本人の意欲」が伝わってくると期待を込める。
スパーリングを見ると変化は明白。それでも「8オンス、ノーヘッドギアの本番のリングで表現できるか」と口をそろえた。
2連敗中のソンだが、中部の若手日本ランカー・犬塚音也(松田)に苦闘を強い(判定負け)、強打で前・日本フライ級王者の永田丈晶(協栄)に痛烈なダメージを与え、判定で勝利した同胞のルオ・チェンハオに判定まで粘った。好戦的で、中国人選手らしいタフネスを誇る相手だ。
「進化、成長を示すにはKOが分かりやすい」。が、突き詰めてきた「過程が大事」と中川。「結果がKOではなかったとしても、可能性を感じてもらえる試合をしたい」と言葉をついだ。
■“健太コンビ”で新境地を示す
三迫ジムに移籍してから数えても担当トレーナーは3人目になる。「それぞれ素晴らしいものを吸収させてもらい、僕の財産になっている」と感謝。新コンビについては「情熱があって、こっちの熱量に応えて、それ以上の熱量で返してくれる感じ。コミュニケーションを取りながら、楽しくやれている」と手応えを語る。
加藤トレーナーは以前、「自分は同い年とはやりづらい」と話していたことがある。そんなものなのか、お互いに「最初は照れくさかった」と苦笑まじりに振り返るのだ。下の名前で呼び合うと距離がグッと縮まることがあるが、厄介なことに(?)「健太」同士……。
KOを連発した左強打からついた「サンダーレフト」から「サンダー」と呼ぶ加藤トレーナーに対し「加藤くん」と呼び、“タメ口”に落ち着くまで時間がかかったと中川。ただし、「ジムの外でもサンダーと呼ぶのは勘弁してほしい(笑い)」。関係性は上々のようだ。
この日のメインは同門の日本S・フライ級王者・山口仁也が務め、ジムには同級のWBOアジアパシフィック王者・川浦龍生もいる。それぞれ世界ランクにも名前を連ね、「ライバル、になるんですかね?」と、とぼけつつ「あの若い2人にも決して負けてないと思ってるし、まだまだ背中を見せる存在でありたい」と矜持を示した。
18ヵ月ぶりの国内リング。“不惑”のサウスポーは新境地を示すことができるか。
※「ダイヤモンドグローブ」は14日18時の第1試合開始からFODでライブ配信される。
《取材/文 船橋真二郎》
