ボクシングの重大事故を限りなくゼロに近づけるための新たな取り組みが動き出した――。アマチュアボクシングを主管する日本ボクシング連盟(仲間達也会長)と東京科学大学病院(藤井靖久院長)が21日都内で記者会見を開き、ボクシングに関する「医療連携および研究事業連携に関する覚書」を交わしたと明らかにした。
今後は双方が協力して、事故の予防と事故が起きた後の対策に取り組んでいく。「ボクサーに安心したかたちで競技を楽しんでいただき、ファンにもボクシングがしっかり対策を練って取り組んでいると知っていただき、ボクシングに興味を持っていただければ」と仲間会長。
病院側は「事故発生時の緊急対応、アスリートの健康管理、事故の防止、これを3本柱として進めて行きたい。事故発生時には(大学病院が)搬送先として緊急受け入れをすると約束しました」と、稲次基希・脳神経外科学准教授が今後の方針を語った。
昨年8月の同一興行で2人の選手が試合後に開頭手術を受けたものの死亡するという衝撃的なリング禍が起きたことをきっかけに、日本連盟もプロ側の日本ボクシングコミッション(JBC)と協力してリングドクターの合同医事委員会を開くなど、ボクシングの安全性向上をめざして取り組んできた。連盟が医療組織とこのようなかたちで提携を結ぶのは異例である。東京科学大学病院はプロ側のJBCとも同様の提携覚書を締結している。
頭部を打撃し合うボクシングでは、リング禍のほとんどが脳を損傷して引き起こす硬膜下血腫によるもの。事故に遭ったボクサーをいかに短時間で搬送し、必要ならば開頭手術を受けさせるかが重要となる。この点東京科学大学病院(東京・お茶の水)は後楽園ホールから緊急車両で約3分で着く近距離にあり、きちんとした受け入れ態勢が確立されれば、大きな援軍となることだろう。
日本連盟は2月28日~3月1日に今秋開催のアジア大会を含む日本代表を選考するボックスオフを予定しているが、これに同病院は医師を派遣することになっている。


