4.14 川満俊輝が2度目の日本L・フライ級王座の初防衛戦  さらに上のベルトに一勝拳命、今を必死に生きる

14日、東京・後楽園ホールで開催される「ダイヤモンドグローブ」で日本L・フライ級王者の川満俊輝(三迫/30歳、12勝8KO2敗)が同級2位の亀山大輝(ワタナベ/29歳、12勝3KO8敗2分)を挑戦者に迎え、初防衛戦に臨む。

川満は昨年12月、空位の王座決定戦で5年前の雪辱に燃える野田賢史(金子)を4回TKOで返り討ちにし、前WBA世界L・フライ級王者の高見亨介(帝拳)に奪われたベルトを奪還した。当初は1位の磯金龍(大橋)が相手だったが、2月下旬にケガで辞退。プロキャリア10年になる亀山が代役に立った。

川満は横井龍一トレーナー㊧と接近戦に磨きをかけてきた

同じサウスポーとはいえ、身長は7センチ低くなり、磯金とはタイプも異なるが、「やることは何も変わらない」と川満。運動量豊富で、めまぐるしく動きまわる亀山のリズムに「惑わされないように」。持ち前の攻撃的なボクシングを貫き、相手の心身ともども「弱らせて、弱らせて、最後は仕留めたい」と展開を描く。

プロに転向して以来、コンビを組んできた横井龍一トレーナーと自身の土俵である接近戦に磨きをかける。間合いのつめ方、相手の追い込み方、駆け引き、位置取り、ディフェンス、その精度を高め続けてきた。リングの上での気の強さは折り紙つき。「打ち合いに強い」(横井トレーナー)と自信を持って送り出せる川満の特性を最大限に生かす。

「1回目に獲ったとき以上にベルトの重みを感じている」という。タイトルマッチの経験は通算7戦目。その重みを知っている分、「もっともっと上に行きたい気持ちが強くなった」と語る。

この3月から4月にかけて、L・フライ級の世界主要4団体のタイトルマッチが日本で行われ、試合の前日13日の後楽園ホールで行われるIBF戦で王座の行方がすべて定まる。

川満は現在、全4団体でランク入りするが、「ここで負けたらチャラになる」と気を引き締め、「“一勝拳命”で、何が何でも勝ちに行く」と亀山撃破に集中する。(取材/構成 船橋真二郎)

※「ダイヤモンドグローブ」は14日18時の第1試合開始から三迫ジムのYouTubeチャンネル『MISAKO BOXING TV』でライブ配信される。

鏡でフォームをチェックしながらシャドーボクシングをする川満

■最後は自分との闘い、自分が大きな壁になる
――以前、ベルトを獲って、その重みを知っているからこそ、ベルトに対する思いが強いと話していました。2度目のベルトはどうですか?
川満 ベルトがあるのとないのでは全然、違いますし、また家にあるのが不思議というか。1回目に獲ったとき以上にベルトの重みを感じてます。(ベルトを)守るのは大変なことでもあるので。さらに重みと怖さを知ったというか。

――また手元に戻ってきたことで、ベルトの重み、怖さを実感させられていると。
川満 そうです。でも、僕が目指してるのは日本チャンピオンのさらに上のベルトなので。怖いとか言ってる場合じゃないですし、一つひとつ防衛を重ねるのは、ほんとに大変なことだなって、あらためて感じてるんですけど。重みを知った分、もっともっと上に行きたいと思いました。

――その気持ちがより強くなった。
川満 はい。強くなりました。

――またベルトを獲ったら、もっと強くなれるとも話していました。自信にはなりましたか。
川満 自分に自信がなかったと言ったら、それは違うんですけど、昔よりは(自信が)ついたと思います。

――タイトルマッチを何度も経験して、その怖さを知った上での自信ということですよね。
川満 はい。いろいろ乗り越えてきた実感もありますし、対戦相手の人たちの思いをはねのけてきたので、それをプラスにして。どんな相手でも自分は大丈夫って、怖さが少し軽減できるというか。昔よりは(自分を)信じられるようになってきたかな、と思います。

――高見選手との試合を振り返って、あの試合の前は自分を信じ切れなかった、弱気になった自分が悔しかった、と言っていましたね。
川満 あ、そうです。だから、いつも最後は自分自身なんです。どんな相手、試合に対しても、最後は自分が大きな壁になるので。そこで自分に勝てれば、自分自身に自信を持てるんで。最後は毎回、自分との闘いです。

――自分が大きな壁になる、という言葉が印象的でしたが、毎試合毎試合、そういう感覚を味わいながら。
川満 ほんとにそう思います。でも、そこで周りのみなさんのおかげでボクシングができてるんだなって、いつも鼓舞されるんで。自分だけでは自分には勝てないな、と感じてます。

――特に高見選手に負けてからの再起戦でもあった野田戦で実感したんじゃないですか。
川満 ほんとにそうです。そう思ったら、毎回毎回、必ず自分に負けそうになってるんですけど(笑い)、いつもみなさんに支えられて、自分に勝つことができて、最後は自分に自信を持って、試合に挑めてるなって、すごく感じました。

――三迫(貴志)会長、横井トレーナーをはじめ、三迫ジムのみなさん、宮古島の知念健次監督やご家族、もちろん奥さんの優希さん。支えられている方々のことを思い出したら。
川満 怖さもなくなるというか、自分に勝てるんで。ありがたいです。

――では、今回もまた。
川満 はい。最大の敵の自分に最後に勝てるように頑張ります。

同じ14日に試合をする先輩王者の佐川遼(中央)、中川健太(右)と

■「桂馬の動き」で相手をどんどん追いつめる
――試合の1ヵ月半前に相手が変わったことについては、どう捉えていますか。
川満 特別、何か変えることもないというか、自分のやることは何も変わらないです。

――磯金選手とはタイプもサイズも違いますが、亀山選手のイメージは?
川満 毎回、ほんとにチラッと、あんまり(相手の映像を)見ないんですけど。運動量が多くて、やりにくそうだなと感じてます。

――よく動きますよね。
川満 動きますよね。その亀山くんの動きに惑わされないように。じっくり追い詰めて。逆に僕があわてないというか、自分を見失わないようにするのが一番です。

――足が止まらないし、手数も出る。盛んにフェイントをかけたり、スイッチしたり。
川満 そうですね。今まで以上に集中力を高めて、しっかりプレッシャー、圧をかけて、動きを止めないといけないです。

――そのプレッシャーのかけ方、追い込み方はずっと横井さんと練習してきたことですよね。
川満 あ、そうです。単純に行くんじゃなくて、ポジションの取り方とか、行くときと行かないときの見極めもそうですし。あと自分が行きすぎちゃうので、行きすぎないで、でも、相手に圧がかかる距離を保ちながら。

――近すぎず、遠すぎず、しっかり相手にプレッシャーを与える距離をキープし続けて。
川満 そうですね。行くときのポジションの取り方とかも横井さんとやってるので、そういうのを大事にして。

――よく直線的に相手を追いかけるんじゃなくて、横の動き、ジグザグの動きで相手を追い込む、追いつめると。
川満 横井さんには「桂馬の動き」と言われるんですけど、どんどんコーナーとか、ロープ際に追いつめて、追いつめて。

――打ち合い、接近戦というか、川満選手の得意な形にいかにうまく持ち込めるか、ですよね。
川満 はい。で、持って行けたら逃さないように。チャンスで焦ったり、カッとなったりして、大振りのパンチになってもダメですし。冷静に。

――冷静なら、チャンスをつくったところで、上下に打ち分けたり、空いたところ、空いたところを狙ったりもできるし。それを繰り返しやり続けて、相手を体力的にも、精神的にも、弱らせて、弱らせて、ですね。
川満 そうです。チャンスでも変わらず。自分のボクシングで。少しずつ弱らせて、弱らせて、最後は仕留めたいと思います。

――亀山選手は3年前のタイトル初挑戦は引き分けて、今回が2度目の挑戦です。
川満 思いは強いですよね。自分も2度目で獲って、自分がやったときの気持ちは忘れられないですし、あのときの自分と同じ気持ちで挑んでくるのが分かるんで。さっきも言ったように自分に負けないで、しっかり自信を持っていけば、またいい結果が出ると思ってます。

“一勝拳命”。今も高校時代のTシャツを大切に着ている(2025年2月)

■川満の頑張る力の源は
――3月15日には岩田翔吉(帝拳)選手がWBC王座に挑戦して(岩田が7回TKO勝ち)。4月3日には高見選手に勝ったWBA、WBO王者のレネ・サンティアゴ(プエルトリコ)に谷口将隆選手が挑戦して(谷口の判定負け)。

川満 すごいですよね(笑い)。

――川満選手の防衛戦の前日、4月13日にはIBF王者のタノンサック・シムシー(タイ)選手が防衛戦をして。日本でL・フライ級の4団体すべての世界タイトルが。
川満 動きますよね。なかなかないですよね(笑い)。でも、もちろん自分が行きたいところではあるんで、絶対に気になると思うんですけど、今は防衛戦、日本タイトルが大事なんで。亀山くんに勝つというのは絶対にブラさないで。それこそ、ここで負けたらチャラになるので。ほんとに“一勝拳命”で、何が何でも勝ちにいきます。

――“一勝拳命”って、宮古工業高校のボクシング部のTシャツにあった(笑い)。
川満 そうですね(笑い)。ほんとに大事だなって、いつも思います。

――1戦1戦、1勝1勝にすべてをかけるような。
川満 はい。1戦1戦、大事にして。どんな試合でも勝たないといけないので。

――さらに上に行くには、年齢的にも、キャリア的にも、ここからの1戦1戦が大事になりますよね。
川満 今回、ベルトを守ったら、いつチャンスが来てもいいようにボクシングに集中して。そうですね。今を必死に生きるというか。頑張ります。絶対に。

――自宅の見える場所に飾っていたベルトがなくなって。もう一度、奥さんにベルトを見せたい、取り返したいとも話していました。優希さんの反応はどうですか。
川満 ベルトについては特にないんですけど。ただ、ずっと長いこと、僕を応援してくれてるんで。弱ってるときは鼓舞してくれたり、焦ってるときは的確に支えてくれたり、なくてはならない存在で、また頑張れる自分の源というか、ほんとに力になってます。

――心の中で弱ったり、焦ったり、見せないようにしても気づいてくれるんですね。
川満 でも、自分は顔に出てるみたいなんで(笑い)。

――隠しきれない(笑い)。
川満 隠しきれてないみたいなんです(笑い)。もう、自分のそのまんまを出せる相手でもあるので。夫婦としても、ボクシングでも、いつも僕のことを的確に見て、今、弱気になっていたらダメだよ、みたいなことを言ってくれたりとか。

――最後の自分との闘いの段階に入ったときも支えになりますね。
川満 感謝ですね。一番近くにいて、鼓舞してくれますし、一緒に戦ってくれてる感じがするので。奥さんのためにも絶対に負けられないです。

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