4.14山口仁也が吉田京太郎と2度目の東福岡高校先輩・後輩対決 V2と2冠をかけ、先輩とか関係なしに倒しに行く

東福岡高校の先輩・後輩対決再び――。14日、東京・後楽園ホールで行われる「ダイヤモンドグローブ」で日本S・フライ級王者の山口仁也(三迫/26歳、7勝2KO無敗1分)が最強挑戦者決定戦を勝ち抜いた同級1位の吉田京太郎(ワタナベ/28歳、7勝4KO4敗)と2度目の防衛と空位の東洋太平洋王座をかけて戦う。

両者の激突は昨年4月以来の因縁のリターンマッチ。1年前の王座決定戦では2学年下の後輩・山口が小差判定で先輩を振り切った。だが、接近戦に切り替えて流れを引き寄せ、ポイントリードを広げた終盤9回に吉田の右でダウンを喫するなど、内容には納得していない。

東福岡高校、三迫ジムの先輩・宝珠山晃(左)、保坂剛と(2024年10月)

山口は2戦続けての再戦になる。前回の初防衛戦で迎えた重里侃太朗(志成)は一昨年10月の最強挑戦者決定戦で引き分け、優勢点で挑戦権をつかんだ相手だった。「白黒はっきりつける」と臨んだが、2-1判定で競り勝つ形になった。「相手も研究してくる。それ以上のことをやらないといけない」と再戦の難しさを痛感した。「今回はしっかり、はっきり勝ちたい」と意気込む。

デビューから山口を見てきた丸山有二トレーナーも「スカッと完勝」を掲げる。描いているのは2戦目以来、3年半、遠ざかっているKO勝ち。「狙って倒すのではなく、相手を削って、削って、TKOが理想の流れ」とイメージする。

このところの山口は激闘が続いている。ガード、頭の位置、ボディーワーク、ポジション取り。「引き続き接近戦でのディフェンス」を課題に練習に取り組み、今回の再戦で「仁也の進化、真価が問われる」と丸山トレーナーは気を引き締める。

山口としても激闘は不本意。接近戦に切り替え、流れを変えることができるのは「自分のひとつの強み」だが、「これから上に行くには自分で(展開を)組み立てるのが大事になってくるんで。ボクシング、接近戦、どちらでも上回りたい」と力を込める。

今回の吉田には「後輩には負けられないという強い気持ちがプラスされる」と見る。「気持ちを含め、すべて上回りたい」と気合十分。「僕も人生がかかっているので。先輩とか関係なしに倒しに行く」。力強く完全決着を誓った。(取材/構成 船橋真二郎)

※「ダイヤモンドグローブ」は14日18時の第1試合開始から三迫ジムのYouTubeチャンネル『MISAKO BOXING TV』でライブ配信される。

1年前は接近戦に切り替えた山口(左)が小差の判定勝ち

■出だしから流れをつかむ

――前戦に続いての再戦になります。その重里選手との初防衛戦では、初戦を超えるような内容で勝つことを目標に臨んで。試合後は納得できない表情でした。

山口 前回(初防衛戦)で分かったんですけど、再戦なんで、相手も研究してくるじゃないですか。うまくいかないことも出てくるんで、それ以上のことをやらないといけないですね。

――吉田選手との再戦は、次こそ、という気持ちが強いのではないですか。

山口 そうですね。前回は、ポイントは自分が取ってたんですけど、終盤にダウンを食らって、危ないシーンがあったので。そこが一番の反省点やったんで、今回はしっかり、はっきり勝ちたいと思ってます。

――あらためて吉田選手は東福岡高校の2つ上の先輩でもありますけど、実際に手を合わせて、どう感じましたか。

山口 多彩な動きをしてくるな、というのは感じました。普通の(ストレートの)ワンツーだけじゃなくて、フックとか、アッパーとか、いろんなパターンで、いろんな角度から打ってくるな、というイメージはありました。でも、特にやりづらさとかは感じなかったですけど。

――中盤に入るあたりで接近戦に切り替えましたよね。

山口 まあ、序盤は(ポイントを)取って、取られてだったと思うんですけど、あまりしっくりこなくて。で、(コーナーの)指示どおりというか、前に行ったほうがいいとなって、切り替えて前に行ったら、それがハマった感じでしたね。

――そこから流れを引き寄せて。

山口 確か5ラウンドぐらいから、僕がポンポンポンとポイントを取りだして、ストップできるかな、ぐらいのところまで行ったと思うんですよね。やっぱり、粘り強くて。先輩だから(後輩には)負けられないという気持ちもあったと思うんですけど、9ラウンドにもらってしまって。

――序盤はうまくいかなくて、接近戦で流れを変える。というパターンが続いていると思います。それについては?

山口 まあ、それも自分のひとつの強みかな、と思ってるんですけど。出だしから流れをつかむのが一番いいと思うんで。だから、前回の試合(重里戦)も工夫してやったりもしてて、そんなに悪くなかったかな、と思うんですけど。

――練習で取り組んでいたサイドの意識、動きは見えました。

山口 でも、今回は、それ以上にもっと出だしをよくできるように仕上げないといけないな、と思ってます。

丸山トレーナーとのミット打ちで対策を落とし込む

■3年半ぶりのKO勝ちを狙う

――高校当時の吉田選手のボクサーとしての印象と今を比較するとどうですか。

山口 京太郎先輩は僕が1年のときの3年で。選抜とか、全国に出てたんですよ。

――山口選手が入学する直前の選抜で3位に。

山口 はい。で、階級がL・フライ級で同じやったんですよ。でも、県大会では先輩と当たる前に僕が負けてたんで。試合でやることもなくて。(吉田が)全然、上でしたね。

――お互いに勝ち進んでいけば、県大会で当たる可能性があったんですね。

山口 そうですね。でも、手が届くようなところにはいなかったです。当時は。

――ボクシングスタイルは今とは違ったんですか。

山口 基本はアウトボクサー寄りのイメージで。(ベースの)スタイル的には、そんなに変わったとかはなかったです。

――普段はどんな先輩でしたか。

山口 おちゃらけ系というか(笑い)。周りを笑かせるような感じの。

――場を盛り上げるような。

山口 そうですね。面白いなっていう感じの印象でしたね。

――1学年上に山口選手と親しい先輩がいて。その先輩と吉田選手も。

山口 あ、そうです。仲が良くて。3人で一緒にご飯を食べに行ったことがありましたね。まあ、そういうときでも笑かせるというか、面白い人だなっていう感じでした。

――高校の先輩とタイトルマッチで、それも2度も戦うことになったのはどうですか?

山口 いや、別に。僕も人生がかかっているので。先輩とか関係なしに倒しに行きます。

――倒しに行く。丸山トレーナーも最近、倒してないから、と。

山口 まあ、ここ数戦、ずっと考えてることなんですけど(笑い)。

――2戦目のアルジェル・サムソン(フィリピン)戦以来、3年半、KO勝ちがないんですね。

山口 そろそろ、倒したいですね。

――丸山さんによると特に接近戦のディフェンスを課題にして、引き続き練習していると。

山口 一発もらったら、もう全然、(展開が)ガラッと変わるんで。

――吉田選手は、そういう怖さを思い知らされた相手でもありますよね。

山口 そうですね。前回は、ああいうヒヤッとさせるシーンがあったんで。今回はそういうこともなく、しっかり勝ちたいと思います。

――それも踏まえて、どういう内容で前回を上回りたいと考えていますか。

山口 前回は攻める一方な展開が多くて、ここ何試合も、そういう試合が続いてると思うんで。遠い距離でボクシングをしても上回りたいです。ここから上に行くには、そういう駆け引きとか、自分で(展開を)組み立てるのが大事になってくるんで。

――どちらもできるのが本来の山口仁也なんですよね?

山口 前に行く感じが多いですけどね(笑い)。ボクシング、接近戦、どちらでも上回りたいですね。

――先ほど、吉田選手に先輩として負けられないという気持ちを感じたということでしたが、今回の再戦も。

山口 そうですね。絶対に後輩には負けられないという強い気持ちがプラスされると思うんで。気持ちを含め、すべて上回りたいです。その気持ちを上回る練習して、仕上げれば、必ずいい形で勝てると思ってるんで。

サンドバッグラッシュで自分を追い込む山口

■勝つと負けるでは天と地の差

――丸山さんに聞いてビックリしたんですが、試合だと接近戦に切り替えて、あれだけ前に攻めて行けるのに、スパーリングでは「行け!」と言っても、なかなか切り替えられないと。

山口 はい(笑い)。まあ、試合だと気持ちが入ってるから、行くなら行く、行かんなら行かんで、気持ちがはっきりするんで。スパーだと切り替えが難しい感じはあります。

――ああいう激しい打ち合い、接近戦を普段のスパーリングでもやっていて、その上での試合だと思っていたので意外でした。

山口 そうですよね。ぶっつけ本番みたいな感じですね(笑い)。

――練習ではできても、試合ではできないとか、逆はあるように思うんですけど。

山口 でも、それができるから、これまでダウンをもらっても、勝ってこれたのかな、というのは思います。倒されて、行けなかったら、そのままストップされることもあるじゃないですか。

――それこそ、ぶっつけ本番じゃなくて、今、取り組んでいる接近戦のディフェンスを、しっかりスパーリングで高めて、練習からつくりあげられたら、また変わってくるかもしれないですね。

山口 そうですね。今、そういうところも意識して、やってるんで。

――でも、それだけ勝ちたい、負けたくないという気持ちが試合で出るということなんでしょうね。

山口 そこが一番デカいと思います。勝つと負けるでは天と地の差があるなと思うんで。

――そういう天と地の差というのをプロで実感したことが何かあるんですか。

山口 (弟の)友士が一昨年の2試合は負けたじゃないですか。共通の応援してくれる方たちがいるんですけど、そういう人たちが悲しんでるのを見たら。あと親も佐賀から来るんで。そういうので感じたりしますね。

――友士選手が去年の10月、今年の2月と2連勝して。また逆の意味で感じるでしょうね。

山口 そうですね。10月は初めて一緒に試合をして、2人で勝てて。みんなが喜んでくれたんで。よかったです。

――2月は友士選手が日本ランカーに快勝して。あれがプロ6戦目で初のKOでした。

山口 この前の勝ち方は、ほんとによかったなと思って。タフな相手やと思ってたんで、接戦になると思ってたら。刺激をもらったというか、僕も倒したいなと思いました(笑い)。

――兄弟でいいステージに上がっていきたい、という気持ちもあるでしょうからね。

山口 そうですね。自分はタイトルがかかるんで、負けたら、タイトルがなくなると考えたら。天と地だなって、そこでも思います。だから、今回も東対決とか、先輩・後輩とか、まったく関係なくて。ただ、目の前の相手に勝つ。それだけしか考えてないです。誰が相手にせよ。

ボクシングビート最新号

ボクシングビート

   3月12日発売!好評発売中

特集記事(日本語)
シェアする
OFFICIAL SNS
タイトルとURLをコピーしました