比国の「スリラ・イン・マニラ50周年記念」超ロング興行 ジェルサレムV3、タパレスも勝つ

試合情報(日本語)

 現地時間29日、フィリピンのメトロマニラ、ケソン市のクバオ地区にあるスマート・アラネタ・コロシアム(旧フィリピン・コロシアム)で、1975年10月1日に同会場で行われたモハメド・アリ対ジョー・フレージャー第3戦“Thrilla in Manila”の50周年記念イベント『Thrilla in Manila 50th Anniversary』が開催された。

 フィリピンのトップ選手、そして日本にもお馴染みの選手が数多く出場するビッグイベントは全13試合の超ロング興行。事前のアナウンスでは開場が午前10時、第1試合開始は正午だったが、実際に第1試合がスタートしたのは15時過ぎ。判定決着も多く、メインイベント終了は深夜1時30分を回った。

 なお第6試合にあたるバディム・トゥコフ対セナ・アグベコ戦後にはフィリピンのボンボン・マルコス大統領、元6階級制覇王者のマニー・パッキアオがともに会場入りし、リングサイドで観戦。大きな歓声が沸き上がった。

 メインイベントのWBC世界ミニマム級タイトルマッチはチャンピオンのメルビン・ジェルサレム(フィリピン/104.8ポンド)が同級シルバー王者で2位のシャコルワ・クセ(南アフリカ/104.8ポンド)に12回判定勝利。王座を防衛した。スコアは115-113、116-112(2者)の3-0。

 広いスタンスのサウスポー、クセの長いリーチにやや戸惑いながらもジェルサレムは3ラウンド早々に左フックでクセに両手を着かせる。これをレフェリーはスリップと裁定したが、ジェルサレムは徐々に距離をつかんでいく。

 しかし中盤に入ると強引に距離を詰めにいく場面が目立ち、クセの左からの逆ワンツーなど有効打が増えた。試合は一進一退のまま終盤へ。10ラウンド終了間際、右フックの打ち合いとなり王者のパンチがやや早くヒットするとクセがたたらを踏んだ。

 最終回は両者懸命に手を出し合うものの有効打が少なく、前に出続けたジェルサレムがやや優勢。3度目の防衛に成功した31歳のジェルサレムは25勝12KO3敗。22歳のクセは9勝4KO3敗1分とし、初めての世界挑戦、そして初海外遠征は黒星に終わっている。

■元トップアマのマルシアル際どい勝ち
 セミファイナルは19年エカテリンブルグ世界選手権でミドル級銀メダル、東京五輪でも同級銅メダルを獲得した元トップアマ、エウミル・マルシアル(フィリピン/158.7ポンド)が空位のWBCインターナショナル・ミドル級王座決定戦に出場。元WBCラテン・ウェルター級王者のエディ・コルメナレス(ベネズエラ/159.6ポンド)に薄氷の10回判定勝利で、新チャンピオンとなった。スコアは95-93が2者に94-94の2-0。

 上背で勝るコルメナレスはバッティングにより初回から左まぶたをカット。しかし3ラウンド終盤、コルメナレスの右からの連打でサウスポーのマルシアルがダウンを喫する。フットワークを駆使しゴングに逃げ込んだマルシアルは4ラウンド、勝負に出たコルメナレスとの打ち合いに応じ、激しい打撃戦になった。

 5ラウンドはマルシアルが先に仕掛け、ダウン寸前まで追い込むものの終盤はコルメナレスの反撃でマルシアルの顔が跳ね上がるといった具合に、その後はラウンドの中で攻守が目まぐるしく入れ替わる激しい消耗戦となって終盤へ。

 迎えた最終回残り30秒でコルメナレスの右がカウンターとなりヒットするとマルシアルがヒザから崩れてダウン。再開に応じた直後にゴングが鳴っている。29日で30歳を迎えたマルシアルは7戦全勝4KO。ランキングはWBOアジアパシフィックでスーパーミドル級7位、OPBF東洋太平洋でもスーパーミドル級10位にランクされているが、この日は判定に助けられた印象。一方、2度のダウンを奪いながら判定負けの28歳、コルメナレスは11勝全KO3敗1分。

 セミセミの125ポンド契約10回戦はWBOスーパーバンタム級2位、IBFでも8位にランクされる、カール・ジェームス・マーティン(フィリピン/124.6ポンド)が世界挑戦経験を持つアラン・ディパエン(タイ/124.8ポンド)に10回判定勝ち。(98-91、97-92、98-90の3-0)。

 3ラウンド、前足が引っ掛かると同時にディパエンの右フックを浴びダウンを喫したサウスポーのマーティンは、反撃をディパエンのボディーへまとめ徐々にスタミナを削って失点を挽回した。迎えた9ラウンドにマーティンの右足がディパエンに引っ掛かり尻もちをつくとレフェリーはこれをダウンと裁定。マーティンがダメ押しの印象を与えてフルラウンドを終えている。

 世界ランカーとの対戦経験がないまま全勝街道を往く26歳のマーティンは27戦全勝20KO。トレーニングの基盤を米国に置きながらビッグチャンスを待っている。一方日本で1勝2敗の34歳、ディパエンは21勝18KO5敗。現在はアジア圏地域団体のランキングからも名前を消している。

■アリの孫ウォルシュは引き分け
 IBA PROインターコンチネンタル・ヘビー級王座決定戦はWBAブリッジャー級暫定チャンピオンのゲオルギー・ユノヴィドフ(ロシア/227.3ポンド)がクリス・トンプソン(南アフリカ/232ポンド)に8回判定負け。トンプソンが新チャンピオンとなった(78-74×2、77-75)。サウスポー、トンプソンがプレッシャーと技巧でユノヴィドフに対抗し、中盤以降は近い距離での回転力で上回り、番狂わせの白星を手にした。30歳のトンプソンは16勝9KO6敗1分。33歳のユノヴィドフは11勝7KO1敗。(ともにプロボクシング戦績)

 この日は50年前のスーパーファイトとの繋がりから、ニコ・アリ・ウォルシュ(米国/159.6ポンド)もフィリピン・デビュー戦としてミドル級8回戦に出場した。「祖父が歴史をつくったこのマニラで戦うことは私の夢でした。その偉業を称えつつ自分自身の力を証明するため全身全霊でクリンソン戦に臨みます。素晴らしい打ち合いを期待してください」と試合前の会見でコメントしていたアリの孫。結果はキティサック・クリンソン(タイ/159.6ポンド)と8回引分に終わっている(76-76×2、75-77)。初回終盤にパンチをまとめられたウォルシュは観客からの“ALI”コールにも助けられピンチを回避すると、その後は一進一退の展開となった。25歳のウォルシュは11勝5KO2敗1分。31歳のクリンソンは10勝6KO2敗1分。

 IBA PROインターコンチネンタル・ミドル級王座決定戦はバディム・トゥコフ(ロシア/159.1ポンド)がセナ・アグベコ(ガーナ/159.9ポンド)に8回判定勝利。(78-74×2、79-73の3-0)。2ラウンドに左フック、6ラウンドには右ストレート、最終回には右ボディーフックを好打したアグベコだったが、いずれも単発。フルラウンドを通して手数で優勢をキープしたトゥコフが盛り上がりの少ない試合で全勝をキープしている。WBAミドル級ゴールドチャンピオンで同級2位でもある31歳のトゥコフは16戦全勝7KO。33歳のアグベコは29勝23KO4敗。(ともにプロボクシング戦績)

■タパレスも登場しKO勝ち
 フェザー級10回戦として元2階級制覇王者のマーロン・タパレス(フィリピン/125.1ポンド)もノンタイトル戦に出場し、フェルナンド・トロ(ベネズエラ/125.1ポンド)に6ラウンド2分31秒KO勝利を収めた。6ラウンドに右を上下に打ち分けてダウンを奪ったタパレスが10カウントを聞かせ、サウスポー対決を制した。WBCとWBOでスーパーバンタム級3位、IBFでも4位と世界再獲得を目指す33歳のタパレスは41勝22KO4敗とし、井上戦後4連勝(3KO)。敗れた29歳のトロは11勝9KO3敗。

 WBCインターナショナル・ライトフライ級タイトルマッチはチャンピオンのアルビン・マグラモ(フィリピン/108ポンド)がフィリピン・フライ級1位、バーランド・ロブレス(フィリピン/107.3ポンド)に10回2-1判定勝利で王座を防衛(96-93、95-94、94-95)。サウスポーのマグラモが手数で押し、対するロブレスは長い距離でいい動きを見せた。一進一退で迎えた最終回、ロブレスはそれまでもたびたび池原信遂レフェリーから注意を受けていたホールディングの反則により減点1。マグラモが辛くも防衛に成功したかたち。WBO10位、WBCで11位、IBFでは13位にランクされる28歳のマグラモは20勝11KO2敗1分。日本でもお馴染みのジーメルの実弟であり、これまたお馴染みの元OPBF王者デニス・ローレンテがチーフ・トレーナーに就いていた。惜敗の25歳、ロブレスは12勝5KO1敗1分。

 フィリピン・ライト級ユース王座決定戦はフィリピン同級14位のスピーディーボーイ・アコペ(フィリピン/133.8ポンド)がロネリック・バレステロス(フィリピン/133.8ポンド)に5ラウンド50秒TKO負け。勝利したバレステロスが新ユース王者となった。2ラウンドに右アッパーでダウンを奪ったバレステロスは迎えた5ラウンドに左ボディーで2度目のダウンを奪う。立ち上がったアコペだったが追撃を受けて防戦一方となったところでレフェリーがストップしている。21歳のバレステロスは6勝5KO1分、23歳のアコペは6勝4KO2敗。

 空位のWBCインターナショナル・フライ級シルバー王座決定戦はフィリピン同級チャンピオン、アルバート・フランシスコ(フィリピン/111ポンド)とフィリピン同級3位のラメル・マカドJr(フィリピン/111.7ポンド)が争い、8回引分に終わっている(76-76×2、77-75:フランシスコ)。サウスポー同士の一戦は前半をマカド、後半はフランシスコとはっきりペースが分かれたものの決着はつかず。OPBFではノーランクながらWBOアジアパシフィックでは8位にランクされる25歳のフランシスコは14勝10KO1敗1分。OPBFでは同級7位の29歳、マカドJrは10勝5KO1敗1分。

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