6.9大分・別府の“探求者”小畑武尊が永田大士とサバイバル戦 「自分を常に変化させ、進化しないといけない」

6月9日、後楽園ホールで開催される「ダイヤモンドグローブ」のメイン、ウェルター級8回戦は元チャンピオン同士のサバイバルマッチとなる。

S・ライト級で3冠を獲得するなど、実績を残した永田大士(三迫、36歳/21勝7KO5敗2分)は階級を上げ、ボクサー人生の「最終章」と位置づける「新しいチャレンジ」に踏み出す。一方17歳のデビューから大分・別府を拠点に日本ウェルター級暫定王者となった小畑武尊(27歳/14勝6KO9敗1分)。「事実として、地方のハンデはある」のは前提の上で独自の探求を続けてきた。

どちらが久しぶりの勝利をつかみ、タイトル奪還に道をつなげるか。《取材・文 船橋真二郎》

大分・別府のジムで腕を磨く小畑武尊(ダッシュ東保ジム提供写真)

■自分のスタイルを試行錯誤
同じ競技でこんなにも違うのか。やっぱり、ボクシングって面白い――。5月2日、東京ドームを舞台にした全7試合、合計14人のトップボクサーたちが繰り広げた色とりどりの攻防を見て、あらためて、そう納得したと小畑は言う。

「自分はどういうスタイルを追求すべきか」をテーマに取り組んできたなかで、感じるところがあった。

一昨年12月には当時の日本ウェルター級王者で、現・WBOアジアパシフィック王者でもあるセムジュ・デビッド(中日)、昨年6月には当時の東洋太平洋同級王者で、東京ドームで佐々木尽(八王子中屋)との注目対決に敗れた田中空(大橋)に挑んだが、王座返り咲きはならなかった。

「このレベルになってくると、人それぞれ違う武器を持っているな、というのがあって、それはこれまでも感じてはいたことなんですけど。“自分の武器”を磨かないと、この先には行けないと、より感じました」

では、磨くべき自分の武器とは。これまで「ディフェンス重視でつくってきたスタイル」に攻撃のアクセントをいかに加えるか。試行錯誤してきたという小畑が思い返したのが、フェザー級からスタートし、ライト級で全日本新人王決定戦に進出した当時の原点の姿だった。

「本来は攻撃的で、パンチをもらったら、それ以上、打ち返すような感じだったんですよ。でも、そのスタイルで6ラウンド、8ラウンドはできないので、そこからいろいろ考えながらボクシングをするようになるんですけど。ベースのディフェンスは維持して、あの頃の持ち味をどう出すか、突出した攻撃力を瞬間的にどう発揮するかを考えて、スタイルを組み立て直しているところです」

セムジュ(左)にタイトル奪還を阻まれた

■ボクシングをどう探求してきたか

普段は場所を問わないフリーのウェブデザイナー、パーソナルトレーナーの顔を持つが、出稽古で九州から出ることはほとんどないという。

そのなかでスポーツ科学関連の書籍、論文を読みあさって、人間の体の構造、体の使い方など、さまざまな知識を蓄え、実地で試しながらボクシングに落とし込む。貴重なスパーリング、日々のジムワークの質を高め、効果を最大化する努力を続けることで結果を出してきた。

のちに日本王者となるメキシコ帰りの坂井祥紀(横浜光=引退)には判定で敗れたものの、ジム移籍初戦の安達陸虎(大橋)を左一撃で初回に沈め、日本ユース王座を奪取。さらに前日本王者の永野祐樹(帝拳=引退)を5回TKOで下し、暫定王者となった。23歳のときだった。

現在、27歳の小畑は「ボクシング×科学」を掲げ、クラウドファンディングで資金を募って、一般向けのパーソナルジムを開設する計画も進める。現在進行形の自身の経験、知識を地域ひいては社会に還元したいと考え、地元の別府で活動の幅を広げる。

※https://camp-fire.jp/projects/936099/view?list=search_result_projects_popular

日本ユース王座を奪取し、ダッシュ東保こと東保佳秀会長(右)と

都市部の大手のジムでなければチャンピオンになれない。地方のジムで能力を高め、のし上がるのは難しい。そんな定説を覆したい――と肩ヒジ張っているわけではない。

「僕自身が都会はちょっと苦手で(笑い)。うちのジムには(東保佳秀)会長はじめ、ミットを持ってくれるトレーナーも数名いますけど、基本的には自分でいろいろ実験しながらボクシングをつくらせてもらっていて。これが都会のジムなら担当トレーナーがつくので、意見がぶつかったりもしますよね。この環境だから、楽しくできているところはあります」

もちろん「プロボクサーとして結果を出さないといけない。その責任はしっかり持った上で」と付け加えた。

3年半前、正規王者だった小原佳太(三迫=引退)との統一戦に敗れて以来、タイトルマッチで3連敗中。スタイルの試行錯誤とともに心の置きどころ、気持ちの上げ方にも目を向ける。

タイトルマッチだから、強い相手、名前のある相手だからと特別視したり、構えたりするのではなく、「平常心」を心がけてきたが。

「ここ数年、攻め切れてない試合が多いんですけど、それは僕が平常心(でいようとし)すぎて、闘争心を抑えちゃってたからだと思うんです。メンタルのバランスをどう自分でコントロールするか。そこも今、調整中です」

自らの経験を通して、見えたもの、感じたものに合わせて、常に自分を変化させ、進化しないといけないと語る。勝利からは2年近く遠ざかるが、「前に進んでいる手応えはあるので、前向きな気持ちで取り組めています」と笑った。

攻撃型のファイターで、グイグイと距離をつぶしてくる永田は「苦手な部類に入る」と明かす。だが、だからこそ、「今、自分のなかで変化をつくろうとしていることを試し、進化を確かめるには絶好の相手」と歓迎した。

アマチュアを含め、分厚いキャリアを誇るベテランに探求してきたボクシングをぶつける。

※「ダイヤモンドグローブ」は9日18時の第1試合開始から三迫ジムのYouTubeチャンネル『MISAKO BOXING TV』でライブ配信される。

MISAKO BOXING TV
東京の東武練馬にあるプロボクシングジムです。

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