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覇権奪回狙う元世界ランカー三代大訓に聞く 4.9日本ライト級王者の仲里周磨に挑戦

2024年3月27日 11時50分

 日本王者と最強挑戦者が激突するチャンピオンカーニバルの中でも最注目のカードがそろった。4月9日、東京・後楽園ホールで行われる「ダイヤモンドグローブ」はダブルタイトルマッチ。国内中量級屈指の戦いになる。

 強打を武器に躍進する王者・藤田炎村(三迫/29歳、12勝10KO1敗)の攻撃力か、リーチのあるサウスポーの挑戦者・李健太(帝拳/28歳、6勝2KO1分)の高いスキルか。対照的な2人による日本S・ライト級タイトルマッチ。一発のある王者・仲里周磨(オキナワ/27歳、14勝8KO2敗3分)の雪辱か、戦略に長けた挑戦者・三代大訓(横浜光/29歳、14勝4KO1敗1分)の覇権奪回か。6年半ぶりの再戦で両者が雌雄を決する日本ライト級タイトルマッチ。ともに緊迫感あふれる攻防に期待が高鳴る。

マスボクシングで汗を流す三代(右)

 昨年4月、元東洋太平洋S・フェザー級王者の三代は韓国で5回負傷判定負け。まさかの初黒星を喫し、世界ランクも失った。8月のセイ・ヨウチョウ(中国)との再起戦、11月の浦川大将(帝拳)との最強挑戦者決定戦に判定勝ちも勝利を優先し、「我慢の2試合だった」と振り返る。すべては仲里戦にたどり着くためだった。「ここは発揮の場。爆発すると決めてたのがここです」。

 3年ほど前にライト級に進出し、元世界王者の伊藤雅雪(横浜光=引退)を破って存在感を示しながら、キャリアは停滞。ジムを移籍し、再出発した矢先の試練だった。

 6年前、ダウン応酬の熱戦の末に勝利した仲里に対し、三代は「ライバルとは思ってない」と言う。ライト級で現役ナンバー1の実績を誇る吉野修一郎(三迫)を「標的」と定め、「ライバル」には元同門でアマチュア時代に3度対戦し、2勝1敗の宇津木秀(ワタナベ)を指名する。

 その宇津木を痛烈に3回で倒し、センセーショナルに王座を奪取したのが仲里だが、「(6年前と)根本的な部分は変わってない。付け入る隙は見える」。対戦相手を徹底的に分析し、戦術を立てるのが三代だ。そこに「最近加えた」という新たな視点が興味深かったのだが、「これは内緒で」と釘をさされた。前回は6ラウンドの短期決戦。10ラウンドの戦いになる今回はどうなるか。

「客観的に見て、勝つ自信はある」としながらも「楽な試合にはならない」と三代。「被弾もするし、その痛みに耐えて勝ちに行く覚悟もある」。この一戦で本来の実力を発揮し、群雄割拠の国内ライト級戦線の主役に返り咲く決意だ。《取材/構成 船橋真二郎》

■自信もある、覚悟もある

――ライト級で初のタイトルに挑む相手が仲里選手ということで、6年ぶりの再戦になります。前回、プロ4戦目で対戦した時は、プロで迎える初めてのターニングポイントで、ここで負けたらキャリアが終わる危機感があったと。

三代 ありましたね。あの時は。

――プロ初黒星から這い上がっている、このタイミングで迎える今回の仲里戦はキャリアの中でどういう試合と捉えていますか。

三代 あの負けた試合から再起して、2回勝ったじゃないですか。正直、自分の出来がよくないことは分かってて、一気に勢いが落ちたなって、周りの評価がなるのも分かるんですよ。現にパフォーマンスに出てないんで。

――試合後、我慢の2試合だったと言っていましたよね。

三代 我慢の2試合だったっすね。ほんとに我慢だった。で、この次の試合にかける自分のメンタリティーは、例えば、伊藤選手と試合をした時は、自信はない、けど、覚悟はあるっていう状態。

――当時、そう話していましたね。

三代 そうですよね。あの時のメンタルが一番いい状態だと僕は思ってて。次にいいのが自信はある、けど、覚悟もある状態。で、一番ダメなのが自信はある、でも、覚悟はない。よく格下とやる時、普通に勝てます、みたいなのが3つ目なんですけど、今回は珍しく、自信もあるし、覚悟もある。

――2番目にいい状態。

三代 はい。1回勝ってるのもあるし、今回は客観的に見て、勝つ自信はある、けど、勝てるっしょみたいな生半可な自信じゃなくて、楽な試合にはならない、被弾もするし、その痛みに耐えて勝ちに行く覚悟もある。もらわないとかじゃないと思います。もらってもっていう。

――リスクを恐れず、そういう試合を勝ち抜く覚悟も自信もある。

三代 リスクも取るし。それが今回です。

――ここにたどり着くための我慢だった。

三代 はい。ここは発揮の場です。爆発すると決めてたのがここです。ここで爆発しなかったら、ここで出なかったら、出ないやつなんだっていう。それが今の自分の実力ということです。

――そう評価されても受け入れる覚悟があると。

三代 そう評価されてもしゃーない。言い訳はできないです。

■自分のほうが実力、格は上

――前回の対戦から、ここまでの仲里選手のことはどう見ていましたか。

三代 僕も初めてダウンを奪われて、それ以降は奪われてないんですけど、誰にでも一矢報いる怖さ、思い切りのよさがある。負けた吉野戦、宇津木戦、引き分けた木村(吉光=志成)戦、見せ場をつくったじゃないですか。実力はある選手です。でも、ライバルとは思ってない。僕のほうが実力は1個上、格は上だと思ってます。

――ライバルではない。

三代 はい。宇津木のことはライバルだと思ってます。仲里くん、宇津木を倒したじゃないですか。あの試合、すごいなと思うんですけど。正直、あれは(立ち上がって)テンカウントを数えられましたけど、ちょっと(レフェリーの判断が)早いなと思いました。もし、あのまま続いたら、僕は相当な確率で宇津木が勝ったと思うんですよ。まあ、仲里くんの動向は追ってました。でも、またやるとも思ってなかったし、僕が負けなければ、やることはなかったんで。

――実力は上で勝つ自信もある。それでも覚悟があるのは現在の自分の立場。

三代 立場です。キャリアも終盤に来て、ここで負けるわけにはいかない、後がないっていう危機感もあるし。で、あっちは僕へのリベンジに燃えてて、尋常じゃないものがあるはずなんで。ボクシングって、メンタリティーが大事じゃないですか。覚悟次第で実力以上のものが出たり、持ってるものの数十%しか出なかったり。土台にある一番大事な部分だと思ってるんで、その部分で警戒はしてます。

――仲里選手には「絶対にやり返す」という戦う理由が明確にあるから、並々ならない覚悟で来るだろうと。

三代 でも、僕も今、すごくいいメンタリティーなんですよ。多分、(仲里は)東京に出稽古に来て、いい練習を積んでると思いますけど、もっと強くなって来い、どんどん来いよ、その分、俺の強さが引き出されるからって、そういうメンタルの状態です。今は(自分を)超えられる、超えていける気がする。

――実力の100%、120%でもぶつけて来いと。

三代 はい。ぶつけて来てほしいです。その分、超えていけるから。あっちが120%でくるなら、121%出すみたいな(笑い)。

――ちょっと超える(笑い)。

三代 いや、もっと超える(笑い)。僕のほうが実力は1個上なんですけど、(仲里を)そんなに下には見てない。強い選手です。

――ある意味、伊藤雅雪戦以来のメンタルで臨む試合。

三代 はい。入り込んでる試合です。でも、試合後の興奮度合いで言ったら、4戦目の仲里くんとの試合が今までの試合では一番かもしれない。

――前回の仲里戦は帰りの電車の中で高揚感があったと言っていましたよね。SNSに「生きてる感じがする」と投稿して。

三代 いや、あったっすね。あれは高揚感あったな。伊藤さんに勝った時は冷静に嬉しかったですけど、仲里くんの時は感情的に嬉しかったですね。

――プロでやっていく上で自信になる試合だったと。

三代 自信になる試合でした。伊藤さんとの試合も得るものは大きかったんですけど。仲里戦がなければ、次はやれてなかったというぐらい。あそこからですもんね。自分はプロでやっていけるなと思って、このスタイルで行こう、みたいに決めたのは。

――徹底的に相手を分析して、こう来たらこうとか、戦術を立てて、ノートに書いて、書いて、臨むようになったのは、あの試合からでしたよね。

三代 はい。まあ、あれからボクシングの幅も広がって、自分のやれることも増えてきたんで。そういう準備力も含めて、自分の持てる力を発揮して。

――今回も後がないという危機感の中で迎える試合で、目の前に立つのがまた仲里選手。巡り合わせというか。

三代 いや、そうですね。面白い。

――また印象的な試合になる予感が。

三代 あるっすね。これは。結構ある。

■いろいろな勝ち方、選択肢がある

――仲里選手が6年前と変わった、成長したと感じるところは?

三代 この前(昨年12月)の沖縄も見に行きましたけど、サウスポー(村上雄大=角海老宝石)だったし、参考になんねえなと思いましたけど。あんまり変わってはないですね。細かいところはありますよ。あ、このパンチをここで選ぶのか、とか。まあ、次の試合で絶対にキーにしてくるなっていうパンチがあるんですけど、そういう細かいところは前とちょっと違う。でも、長所とか短所、根本的な部分は変わってない。付け入る隙は見える。

――伊藤戦の前、いくら時間が経って、変わったと言ってもボクサーの根本的な部分は変わらないと。

三代 変わらないですね。でも、一発勝負だし、やつには一矢を報いる力がほんとにあるんで。そこは警戒です。

――前回、3回に倒されたダウンはかなり効きましたよね。

三代 いや、ちゃんと効いてる(笑い)。効いてるというか、ドンピシャの“ど・ストレート”を真正面から全力でもらいましたからね。

――だから、最初からリスクを取って、仕掛けていきましたよね。

三代 行きました。あれは。1、2ラウンドを取って、3ラウンドもダウンを取られる2分ぐらいまではずっと行って、一方的になりかけた時にドーンともらって。で、4(ラウンド)も行きましたからね。

17年の仲里戦でダウンを奪った三代

――外からの右でダウンを取り返して。

三代 はい。右フック。

――ああいうところにも気持ちが見えた試合で。

三代 いいですよね。ああいう試合。5も6も行ったし、全部行った(笑い)。僕、あの試合が一番好きですもんね。あれ以降は形を整えていきましたけど、あの時はまだ形が定まってなかった分、ジャブとか今と変わらない自分の特長と荒々しさがマッチした試合で。でも、僕も最近は結構、行く感覚を持ってて。アマチュアの時、倒せた時があったんですよ。あのアマチュアのグローブで。その感覚が戻ってきて。判定もあるし、KOもある。僕にはいろんな勝ち方、選択肢がある。

――それだけ相手に対する準備をしているからこその選択肢でもありますか。

三代 はい。1試合1試合の準備の熱量、大事ですよね。韓国で負けた時は、横着だったかもしれない。

――分析しないでアドリブのような。

三代 まあ、韓国人なんで深いところまで(分析)できないと思いました。で、差を見せて勝ちたいという欲が甘さにつながりましたね。覚悟がなかった。

――そういう意味では、再起戦の中国人選手の映像は1試合しかなくて。

三代 なかった。怖かった。だし、再起戦って、めっちゃ怖いですよ。ここで負けたらどうしようって、ほんとに思っちゃいました。ここは負けられないみたいな試合が2個続いたんで。だから、我慢、我慢で。

――浦川選手には対策を立てたでしょうけど、再起戦も浦川戦も、試合後の話では、その場の判断でポジションを中に置いて、相手の攻撃を殺すというか、負けない選択肢を取ったということですよね。

三代 まあ、中間距離だと相手が前に来て、乗ってきそうだなと思ったんで潰しました。相手との兼ね合いで中が一番落ち着けるところだと僕は判断して。でも、負けない戦いに徹したわけじゃなくて、少しは行きましたけど、正直、行ききれないところがありました。絶対に負けられないんで。まあ、次の試合も展開は僕次第ですけど、ここは我慢じゃないんで。次も負けられないけど、発揮すると決めてる試合なんで。

■標的は吉野修一郎、ライバルは宇津木秀

――今のライト級は、特に仲里選手が宇津木選手に勝ったことで、戦国時代になったというか、群雄割拠の状況で。WBOアジアパシフィック王者には三代選手の中央大学の先輩の保田克也(大橋)選手がいて。12月には宇津木選手が再起して。1月に鈴木雅弘(角海老宝石)選手が東洋太平洋王者になって。ここでベルトを獲ることで、いろいろな試合がイメージできそうですよね。

三代 そうですね。でも、僕は変わらず、吉野選手が標的です。

――ああ。1回、すれ違ったこともあるし。

三代 はい。この階級なんで、世界なんて遠いから、吉野さんみたいにまずは国内でってなるじゃないですか。

――国内で証明する試合をしていかないと上につながらない。

三代 そう。証明したいです。客観的に見て、吉野選手(が勝つ)でしょ、みたいな、そういう試合をやっていきたいんですよ。でも、ずっと勝機はあると思ってるし、それは僕しか分からないような繊細な勝機なんですけど、証明したい。このベルトを使って、たどり着きたいですね。

――標的は吉野選手、で、ライバルは宇津木選手。

三代 まあ、アマチュア時代は僕が勝ってるし、同門だったんで。勝ち逃げでいいや、みたいな感じで思ってたんですけど(笑い)。やっぱり、宇津木も実力があって、強いから、無視できない存在になってきたんで。

――日本王者になって、宇津木選手の評価がどんどん上がりましたよね。

三代 はい。もともとアマチュアの実績は僕より上だし、実力は認めてるし、人間性も好きだし、ほんとのライバルと言いたいぐらいのライバルなんですよ。ありがたいことに。まあ、あっちも僕とやりたくて仕方ないと思うし。

――吉野選手が伊藤選手、中谷正義(帝拳=引退)選手に勝って、さらに上につなげたように。お互いが自分を証明できる相手として。

三代 はい。面白いですよね。アマチュア時代からのライバルで。元同門で。あいつとはチャンピオン同士で、ベルト3本かけてとか、舞台が大きければ、大きいほどいいな、と思います。

――ここから始まるのかもしれないですね。仲里選手もまた三代選手に勝って、さらに上を目指しているでしょうし。

三代 そうですね。始まる。まあ、僕は僕で吉野さんのことも見て、仲里のリベンジ、宇津木とのサバイバルマッチを乗り越えて、証明していきますよ。

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