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元ライト級3冠王者 吉野修一郎に聞く 6.17 スティーブンソン戦以来、1年2ヵ月ぶり復帰

2024年6月12日 9時20分

 6月17日、東京・後楽園ホールで開催される「ダイヤモンドグローブ」で元ライト級3冠王者の吉野修一郎(三迫/32歳、16勝12KO1敗)がリングに帰ってくる。昨年4月8日、米国ニューアークで、現WBC世界ライト級王者で世界3階級制覇のビッグネーム、シャクール・スティーブンソン(米)と世界挑戦権をかけて戦い、6回TKOで敗れて以来、1年2ヵ月ぶりに戦線復帰する。

 再起戦の相手を務めるジュレス・ビクトリアーノ(比/26歳、13勝10KO7敗)はちょうど5年前、「ダイヤモンドグローブ」に出場し、のちに東洋太平洋&WBOアジアパシフィックS・フェザー級王者となる木村吉光(志成)に5回TKO負けも、ダウン応酬の激闘を演じた。

 この一戦の先に再び米国のリングを目指すのが吉野の希望。三迫貴志会長はブランクで外れてしまった世界ランク復帰を視野に「世界ランカーと対戦するチャンスを探りたい」と話す。長期離脱の原因となった右ヒジのケガ、この間に取り組んできたこと、群雄割拠の国内ライト級戦線で日本王者となった三代大訓(横浜光)が対戦希望を表明したことなど、吉野とプロ転向時からコンビを組んできた椎野大輝トレーナーにも聞いた。(取材/構成 船橋真二郎)

■「帰ってきたな」という感じ

――1年2ヵ月ぶりの再起戦になりますが、心境としては?

吉野 そうですね。「帰ってきたな」という感じですね。

――右ヒジの手術を経ての試合でもあります。不安などはないですか。

吉野 不安は特にないですね。ボクシングから完全に離れた期間もあったんですけど、息子と過ごして、リフレッシュもできましたし、いろいろ考えたり、試したりする時間もできたので。自分のボクシングを見つめ直す期間になりました。

――シャクール・スティーブンソンと向かい合った経験を踏まえて、いろいろ自分で考えたり、試したりしてきた。

吉野 はい。自分もそうですし、椎野さんといろいろ話して、共有しながら進めてきました。見ているところは同じなので。

椎野 結構、(パンチを)打てない期間が長かったので、フラストレーションも溜まったと思いますし、モチベーションの面とかも心配だったんですけど、少しずつ動けるようになってきて、打てるようになってから、向上心を持って練習に取り組んでくれたので。一安心でした。

――昨年5月、シャクール戦から1ヵ月後に少しずつジムワークを再開して、その時期に別の取材で話を聞かせていただきました。

吉野 そうですね。5月から少しずつ。でも、ダメでした。最初は我慢したんですけど、集中できないぐらい痛くて。だったら、このタイミングかなということで会長、椎野さんと相談して。

――手術はいつ頃だったんですか。

吉野 7月末です。

――どんな症状で?

吉野 (右ヒジの)変形性関節炎、尺骨神経麻痺というのと、あとネズミ(離断性骨軟骨炎)ですね。

――いろいろ併発して。元世界王者の内山高志さんも左ヒジの遊離軟骨、関節ネズミの除去手術をしたことがありましたが、パンチの動作を繰り返してきた消耗というか。言ってみれば、ボクサーの職業病ですかね。

吉野 そうですね。職業病と言われました。

――完全に離れた期間もあったということですが、ジムワークの再開は?

吉野 安静にしていないといけない期間もありましたし、リハビリもあったので。ジムワークは10月中旬ぐらいからですね。

――伊藤(雅雪=横浜光)戦と中谷(正義=帝拳)戦の間ぐらいには右ヒジのことを少し聞きましたが、痛みが出始めたのはいつ頃からだったんですか?

吉野 (2021年8月の)仲里(周磨=オキナワ)戦の前ぐらいですね。最初は左ヒジが痛かったんですよ。

――左ヒジが?

吉野 はい。で、(左ヒジを)カバーしてたら、今度は右が痛くなってきて、それがどんどん酷くなって、という感じです。

――今は左ヒジのほうは?

吉野 今は全然なんですよね。その後は右ヒジだけで、仲里戦では軽く痛いぐらいだったんですけど、中谷戦のときは映像を見てもらうと、ところどころ手を回してると思います。リラックスさせようとして、脱力させてるみたいな感じで。ほんとは痛いんですけど(笑い)。

――そういう状態だったけど、チャンスが続いて、休むわけにはいかず。

吉野 そうなんですよ。トントンと行けてたので。だまし、だまし。

――手術をして、右ヒジの状態は?

吉野 今は思い切り打ててますし、だいぶストレスはないです。ただ、練習を始める前は固まっちゃってるんで、いきなりやったら結構、痛いんですよ。なので、念入りにマッサージして、ゆっくりアップして、ほぐしていけば問題はないという感じです。

吉野(左)と椎野トレーナー

■自分のボクシングを見つめ直して

――自分のボクシングを見直したということですが、どういうことを意識してやってきましたか。

吉野 シャクールには僕の嫌なポジションとか、距離をずっと支配されてる感じがあって。もっと(距離の)詰め方とか攻撃のバリエーションを増やしていかないといけないなと思いましたし、大げさに言ったら野性的というか、荒々しいボクシングも入れていこうと椎野さんと話しています。

椎野 吉野のボクシングって、整ってるというか、攻防一体で、攻めれるし、守れるし、打ち終わりも取れるしっていう感じでやってきたんですけど、そこにいい意味での荒々しさ、怖さをプラスアルファするイメージですね。

吉野 相手をロープに詰めたり、コーナーに入れたりしたときに(パンチを)思い切りよく振ったり、一発一発、ドン、ドンって打ったり。そういうこともやっていかないと、というのは考えてますね。

――以前、吉野選手のボクシングはバランス重視で、本当はもっとパンチ力があるんだけど、100では打ってなくて、コンビネーション主体で70、80程度のパワーで打っていると。ときには100で打つことも織り交ぜるような。

椎野 はい。そういうのもプラスして。

――相手に怖さを与えて、精神的にもプレッシャーをかけていく。

吉野 そうですね。当たらなくて、ガードの上でも嫌だと思うので。

椎野 あとは、吉野はブロッキング主体で、ブロックして打つっていう感じだったんですけど、やっぱり黒人系とか、速いやつとやったとき、反応が一歩遅れちゃうんですよね。なので、ブロックに頼らないで、相打ちのタイミングで打つとか、吉野はフック系の印象が強いと思うので、アッパー系を入れたりとか。

吉野 そうやって攻撃のバリエーションを増やして。

――今までの戦い方にプラスアルファしていくということですね。

椎野 そうです。変えるんじゃなくて、プラスするイメージです。

――スパーリングはいつ頃から? 確か仲里周磨選手が2月末にやったときは、まだ「吉野さんは体重が重くて、めっちゃパンチがあった」と(笑い)。

吉野 そうなんですよ(笑い)。2月は2回目なんですよね。最初は12月に磯谷(大心=輪島功一スポーツ)くんとやって、また間が空いて。2月ぐらいからでしたかね、また磯谷くんとちょこちょこやって、それから3月に神足(茂利=M.T)くんが来てくれて、本格的に。で、あとはキックの選手とか、うちのジムの選手、渡来(美響)ともやってますし。

椎野 渡来とのスパーはお互いに緊張感を持ってやれるんでいいんですよね。

吉野 そうですね。渡来とはスパーリングでも試合と同じ緊張感を持てるし、一番いい練習になりますね。日本人じゃなくて、黒人に近いようなボクシングをして、スピードもパンチもあるので。こっちもどう対応するかを考えないといけないので。

――先ほどテーマに挙げた距離の詰め方という面でもいい練習になるのでは?

吉野 同じ詰め方をしても対処されるので、自然といろいろ試しますからね。

椎野 見ていて、スパーが終わってから、2人とも楽しそうに話してますからね(笑い)。

吉野 僕はあまり後輩に聞いたりすることはないんですよ。でも、渡来にはアドバイスをもらって、こっちも勉強させてもらってます。

■米国のリングで勝ちたい

――ここから先についてはどう考えていますか。

吉野 今、世界ランクから外れたので、世界ランカーとやって、まずは世界ランクを戻したいですよね。で、また米国で戦って、勝ちたいです。

椎野 シャクールとやって、ああいう舞台でまたやりたいなと思いましたし、今度は勝ちたいですね。ただ思い描いてるだけじゃなくて、1回立ってるし、目指すところは明確に見えているので。

――三代選手の吉野選手とやりたいという声は届いていると思いますし、今のライト級には実力者がそろっていて、吉野選手が伊藤選手、中谷選手に勝って、国内ナンバー1を証明して米国に行ったように、今度は吉野選手に勝って、上に行きたいと考えている選手も少なくないと思います。そういう自分の立場については?

吉野 まあ、僕は3つのベルトを全部獲って、日本も7回防衛して、それで(伊藤雅雪の)名前を出したと思うので。僕からしたら、まだ早いんじゃないかなと思いますけどね。

――前の吉野選手のようにベルトをまとめるとか、防衛を重ねるとか、実績をつくってからなら、と。

吉野 そうですね。まあ、僕は大きいことは言えないですけど(笑い)。

――では、今回の相手のビクトリアーノ選手についてですが、映像は見ましたか。

吉野 1回見ましたけど、前に木村吉光とやってる試合を(会場で)見てるんですよ。いい選手ですよね。ダウンも1回取ってるし、フィリピン人らしいというか、倒すか倒されるか、という選手なので。足もとをすくわれないように。

椎野 動画で見た感じ、そこまでやりにくさはないと思うので、圧倒しないといけない相手ではありますよね。で、そういう(国内の)選手たちも見てると思うので。やっぱり強えな、嫌だな、やりたくねえな、と思わせたいですね(笑い)。

吉野 まあ、内容は問われると思いますし、お客さんは倒すところが見たいと思うんですけど、僕は前回負けて、ブランクも1年以上空いたので、そこは意識し過ぎないように。しっかり動きを確認しながらですね。まずは吉野が帰ってきたというところを見せて、最終的に倒せたらいいと思います。

――この1年の間にジムのトップだった小原(佳太)さんが引退しましたし、ジムの変化をどう見てきましたか。

吉野 そうですね。だいぶメンバーが入れ替わってきましたよね。僕がジムに入った当初(2015年8月)は、小原さんとか、いろいろな先輩がいましたけど、だんだん僕が(世代的に)真ん中ぐらいになって、今では後半ぐらいになってきたので。新しいメンバーになってきたな、というのが一番ですね。

――吉野選手がジムのトップですよね。

吉野 いや、トップではないですけど(笑い)。

――年齢的には最年長の出田(裕一)選手がいますけど、実績などを考えても。

椎野 そうです、そうです。吉野がジム頭になるんで。強さを見せて、ジムの若手とか、下のやつらを引っ張ってあげて、ジム全体を押し上げてほしいんですよね。

――性格的に言葉で引っ張るタイプではないでしょうから。

椎野 そうですね。強さで見せていくしかないですし、吉野のスパーを見ても、ディフェンスとか、カウンターとか、すげえな、と感じると思うんですよ。まだまだ強えな、届かねえな、そういう存在でいてほしいですね。

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