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「相手がチヤホヤされてるので、めちゃくちゃ燃える」 “輪島功一の孫”とユース王座を争う加藤大河

2024年12月4日 6時26分

 23歳以下のA級ボクサーが争う日本ユース・タイトルマッチ。2017年の創設から数多の若手ボクサーが熱戦、激闘を繰り広げてきた。10日、東京・後楽園ホールで開催される「ダイヤモンドグローブ」のセミファイナルでは、ウェルター級の王座決定戦が行われる。この階級の初代王者はクドゥラ金子(本多)、2代目は小畑武尊(ダッシュ東保)。3代目の王者が決まる。

 ベルトと日本ランク入りを懸けて激突するのは“輪島功一の孫”磯谷大心(輪島功一スポーツ/23歳、7勝5KO3敗)と加藤大河(DANGAN越谷/21歳、6勝2KO2敗)。磯谷は2022年、加藤は2023年の東日本新人王決勝で敗れており、「絶対に落とせない」と口をそろえる。この一戦もまた熱戦となるか。

斎藤トレーナーとミット打ちをする加藤㊨

 加藤が最初に始めたのはキックボクシングに投げ技、関節技を加えた立ち技総合格闘技のシュートボクシングだった。「お兄ちゃんに勝てなかったから」というのがそもそもの理由。その兄とは9歳上の経験者というから、幼い頃から負けん気が強かった。

 同じ浅草のジムに後から入ってきたのが、シュートボクシング界で有名な笠原弘希、友希の兄弟だったという。同年代の加藤がよく相手をしたが、蹴りでやられることが多く、小学4年生のときにリタイアした。

 加藤が次に選んだのがボクシングだった。中学生からジムに通い、名門・駿台学園高校に進んだ。コロナ禍に高校2年生の1年を奪われた世代。関東大会で優勝したものの、大きな結果は残せなかった。まずは何か形を残したいという気持ちは強い。

 新人王戦から再起後、順当に6回戦に連勝し、A級昇格を果たしたところで巡ってきたチャンス。「自分がボクシングをやってきた中で、今のところでは大一番。めちゃくちゃ嬉しい」と頬を緩ませ、磯谷の著名な元世界王者の孫という看板には「相手のほうがチヤホヤされてるんで、めちゃくちゃ燃える」と闘志をかきたてる。力強く「最初からガンガン打ち合うんで、目を離さないでほしい」と宣言した。(取材/構成 船橋真二郎)

■「試合までチヤホヤされてろ」
――次の試合、ユースタイトルと日本ランク入りがかかります。そういう試合が決まった気持ちは?
加藤 自分がボクシングをやってきた中で、今のところでは大一番になるので。めちゃくちゃ嬉しいです。

――やはり気持ちが入りますか。
加藤 いや、そうですね。自分は決勝まで行って、新人王を獲れなかったんで。あれは正直、ヘコんだんですけど、今回はユースのタイトルがかかるんで。“2回目”なんで絶対に落とせないという気持ちが強いです。

――日本ランクにも入るということでは一気に取り戻せる試合ですね。
加藤 そうですね。あと、なんか相手のほうがチヤホヤされてるんで(笑い)、めちゃくちゃ燃えますね。

――磯谷(大心)選手は輪島功一さんの孫として、プロデビューしたときから注目されてきた選手ですもんね。
加藤 いや、だから、めっちゃ美味しいですよね。まあ、試合までチヤホヤされてろって感じです(笑い)。

――いざ戦う相手として見たとき、どんな印象の選手ですか。
加藤 一発があるみたいなイメージですね。ただ、それさえもらわなければ、全然いけるなって感じです。だから、それを打たせないで、自分からガンガン行こうと思って。先にバンバン。

――先手、先手で。
加藤 そうっすね。1ラウンドから思い切り行って、倒すのが一番いいんですけど。倒せなかったら、最終的に根性勝負みたいな試合になると思います。

――倒すイメージはできていますか?
加藤 倒すとしたら、自分はボディーかなと思ってるんですけどね。まあ、向こうも相当、気持ち入れてくると思うんで。なかなか。

――磯谷選手も新人王を獲れなかったから、同じ気持ちでしょうしね。
加藤 まあ、気持ちでは負けないんで、熱くなる試合をしたいです。

――となると、今回が初めての8回戦というところもポイントになってくると思いますが。
加藤 いや、4から6になるときは、ちょっと長いかな、と思ったんですけど、1回、6ラウンドをやったら(前戦、7月7日の両国国技館で6回判定勝ち)、いけるなってなったんで。練習量も変わってきてるし、全然、問題ないですね。

「会場の皆を引き付けるような試合をする」と燃える加藤

■「磯谷、倒すぞー!」と叫びながら
――練習という面でも今までとは全然、違いますか。
加藤 違いますね。普段の練習からやる気が全然。ずっと勝ったときのことを想像して、生活してるんですよ。四六時中、試合のことを考えてますね。

――ベルトを巻く自分の姿も?
加藤 もう、ずっと想像してます(笑い)。

――腰に巻いてる? 肩からさげてる? (笑い)
加藤 肩っすね(笑い)。

――そういう自分の姿をイメージすることで気持ちも駆り立てられる。
加藤 そうですね。で、自分、お父さんと一緒に走ってるんですよ。昼間はお父さんの会社でゴミ回収とかの仕事をしてて、会社に行って、仕事をして、1時間ぐらい空いたときに走りに行くんですけど。毎日、お父さんがチャリでついてきてくれて、鼓舞してくれるんで。めっちゃ嬉しいです。

――どんなふうに鼓舞してくれるんですか?
加藤 「磯谷、倒すぞー!」って、2人で叫びながら、走ってます(笑い)。

――イメージしながら。お父さんも何かの経験が?
加藤 自分が小っちゃい頃に行ってたシュートボクシングのジムで、ずっとトレーナーみたいな感じでやってたんですけど、自分のスパーリングの動画を送ったら50回ぐらい見てくれたり、オレのことをオレ以上に考えてくれますね。

――いい結果で応えたいですね。
加藤 そうなんですよ。応援してくれる人もたくさんいるんですけど、一番はお父さんを喜ばせたいな、と思ってますね。

――ジムが改装の期間があって、出稽古にも行ったそうですが、スパーリングはどんな相手と?
加藤 ジロリアン陸(フラッシュ赤羽)選手とか、あと6回戦の人たちですね。改装のときは1回だけワールドスポーツに行って、(元ミドル級王者の)竹迫(司登)さん、(元東京五輪ミドル級代表の)森脇唯人さんと4ラウンドずつやりました。

――いい相手とできましたね。
加藤 めちゃくちゃ強かったです。ただ、磯谷ぐらいデカい相手はいなくて。そこは難しいですね。

――磯谷選手の身長が182センチ、加藤選手が180センチ。
加藤 そうですね。自分より、ちょっと上ですけど、あんまりいないですね。まあ、斎藤(友彦チーフ)トレーナーがいろいろ考えてくれるんで、そこまで気にしてないですけど。

――斎藤さんとはどういう話を?
加藤 斎藤トレーナーが意見を言ってくれて、8割は素直に受け取って、2割は自分の意見と交換し合うみたいな感じで。いい感じです。

――熱い人じゃないですか?
加藤 いや、熱いっすね。めちゃめちゃオレのことを考えてくれてますね。毎日、LINEしてるっす。心配症なんですよ(笑い)。ありがたいです。

――お父さんもそうだし、斎藤さんにも応えたいですね。
加藤 いや、ほんとにそうですね。

■みんながオレのことを好きになる試合を
――プロデビュー戦の舞台が村田諒太(帝拳)選手とゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)選手が戦ったさいたまスーパーアリーナで。ダウンを取って、判定勝ちしたのをよく覚えているんですけど。
加藤 いや、楽しかったですね。すぐ「もう1試合したい」と思うぐらい「楽しい」と思って。あの試合は。

――雰囲気がまったく違ったのでは?
加藤 違いました。デカいし。リングに上がる前は結構、緊張したんですよ。でも、リングに上がったら、別に変わらなかったです。楽しめました。

――前回の7月は両国国技館の井岡一翔(志成)選手のアンダーで。大きなイベントの大きな会場で戦った経験も生かしたいですね。
加藤 そうですね。多分、運がいいんですよ。今回もA級に上がって、すぐチャンスをもらえたし。

――プロデビューしてから、ここまでの2年はどう振り返りますか。
加藤 まあ、イメージ通りじゃないですね。新人王もとんとんとんと決勝に行って、獲れなくて。まあ、高校でも結果は出せなかったし、自分がちょっとやらかして、学校も辞めたんで。これは獲りたいです。

――もちろん、まずは次の試合だと思いますが、この先、どういうボクサーになるとか、思い描いているものは?
加藤 とりあえず、これに勝って、日本タイトルまで行きたいですね。まあ、目の前が大事なんですけど、先の目標は、今はそれですかね。

――そこに一歩、近づく試合になるし、力を見せたいですね。
加藤 見せたいですね。新人王のときもそう思ってたんですけど、あの結果だったんで。次はないんで、ここはやります。

――では、どういう試合を見せて、自分をアピールしたいですか。
加藤 会場にいるみんなを惹きつけて、オレのことを好きになるような試合を見せます。最初からガンガン打ち合うんで、目を離さないでほしいですね。

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