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堤駿斗が元王者アルバラードに8回TKO勝ち WBA・S・フェザー級挑戦者決定戦

2025年1月1日 0時08分

 31日、東京・大田区総合体育館で開催された『LIFETIME BOXING FIGHTS25』は、メインイベントで予定されていたWBA世界S・フライ級タイトルマッチ12回戦が王者フェルナンド・マルティネス(亜)のインフルエンザ発症により中止。セミファイナルから“格上げ”となったWBA世界S・フェザー級挑戦者決定10回戦で、同級9位の堤駿斗(つつみ・はやと、志成)が元王者で14位のレネ・アルバラード(ニカラグア)を8回1分55秒TKOで下し、2024年国内最後の試合を飾った。

アルバラードを攻める堤㊨

 5回にアルバラードを後退させた一撃と同様、最後に効かせたのも体を若干スウェーバックして決めた左フックの“引きカウンター”だった。怒涛の連打から右強打でグラつかせ、レフェリーストップまで一気に持ち込むと、堤は体全体を使って喜びを爆発させた。

 今年4月に元WBAバンタム級王者アンセルモ・モレノ(パナマ)を3回KOに仕留めたものの、前日計量で体重超過をおかして半年間のライセンス停止処分となっており、この日が復帰の一戦だった。

 開始直後はアルバラードのスローテンポに合わせて手を出させ、右ストレートをボディーに刺しながら相手のタイミングを読んでいき、徐々にハンドスピードの速さで圧倒。長いキャリアの中でスピードボクシングにも慣れているアルバラードが、堤の連打の合間をぬって右フックを叩き込む場面もあったが、堤はさらにギアを上げてテンポアップ。ワンツーでガード上を叩いてアルバラードに圧をかけ、左ボディー、右アッパーと多彩な左右で攻め込んだ。

 5回にチャンスを築いた堤は、続く第6ラウンド、左ボディーの打ち終わりに右のリターンを食らって一瞬動きを止めたが、速いテンポで築いたリズムは止まらない。その後は歴戦の雄を置き去りにしてゴールを迎えた。

 「前回の失態があったにもかかわらず、僕を支えてくれた家族、スタッフ、ファンの方に感謝します」とあらためて頭を下げた堤は、「まだ世界と言うつもりはなく、来年はこの階級で強い選手に一つひとつ勝っていきたい」と階段を着実に上がっていく宣言をした。6勝(3KO)。

 4日前、IBFフライ級挑戦者決定戦に勝った双子の兄フェリックス(元IBF・L・フライ級王者、13年大みそかに井岡に挑戦し判定負け)に続くことができなかったアルバラードは34勝(22KO)15敗。なお、WBA同級王者ラモント・ローチ(米)は、3月1日に同ライト級王者ジェルボンテ・デイビス(米)に挑戦する予定となっている。

 セミでは、計量キャンセルにより1年のライセンス停止となっていた元OPBF&WBOアジアパシフィックS・フェザー級王者・木村吉光(志成)が昨年8月以来のリング復帰。ライト級8回戦でウー・ハンユン(中国)に78—74、78—74、79—73の3—0判定で勝利した。

 左リードから左右フックで迫るウーに対し、サークリングしながら右ストレートと左ボディーブローのカウンターで迎え打つ木村。これを狙いすぎるあまり、手数は少なめだったものの、5回あたりから先手で攻める姿勢も見せ始める。6回に右の相打ちを決め、7回に右ストレートでウーをのけ反らせた木村だが、ウーを仕留める攻勢はかけられなかった。
 
 高く掲げる両腕が固まって、ウーのフックを内外に通されるシーンもあった木村だが、全体的には丁寧に戦った印象だ。16勝10KO3敗1分。前戦(7月、齊藤陽二=角海老宝石に4回KO負け)に続き、日本で連敗となったウーは4勝1KO3敗1無効試合。

 7月に宇津木秀(ワタナベ)にOPBFライト級王座を奪われた日本S・ライト級2位の鈴木雅弘(角海老宝石)が同級8回戦に登場。ノーランカーの加藤亜礼史(かとう・あれじ、折尾)に6回1分18秒TKOで圧勝した。

 初回からサウスポーの加藤に対してインサイドジャブを突き通した鈴木。左右ブローともに縦拳と軌道の変化を自在に操って、2回に左ボディーを効かせると以降は加藤を打ちまくる。鼻血を流した加藤はなす術なし。6回に鈴木が猛攻を仕掛けると、レフェリーはようやく加藤を抱き止めた。

 実力差は回を追うごとに深まった。5回終了間際に加藤が大きくフラついたシーンをはじめ、セコンドやレフェリーが止めていい場面は何度もあったように思う。派手なステップインは見せず、じわりと気づかずに忍び寄る鈴木得意の間合い詰めは健在だ。11勝8KO2敗1分。鈴木のステップや攻撃力に開始から翻弄され続けた加藤は10勝3KO6敗。

 58.0kg契約8回戦は向山太尊(むかいやま・たいそん、DANGAN)が篠田将人(山木)に77—75、78—74、79—73の3—0で判定勝ちした。

 サウスポー同士の一戦は、長身の向山が落ち着いて距離をコントロール。2回に左で効かせるが、左クロス、右フックの強打をためて狙う篠田に冷静に対処。篠田はパワーパンチを振って向山を巻き込みたかったが、向山は要所で打ち合いに応じつつ、最後まで落ち着きを乱さず対応した。

 向山は11月に移籍初戦を飾ったばかりだが、センスに任せた強引な強打狙いのボクシングから、一転して安定したスタイルを試行中のようだ。9勝5KO5敗。猛然と追う場面があったものの捕えきれなかった篠田は7勝6KO3敗1分。

 S・フライ級8回戦は白石聖(しらいし・じょう、志成)が佐藤剛(さとう・つよし、角海老宝石)に77—75、77—75、78—74の3—0判定勝利。昨年7月以来の復帰戦で勝利した。

 身長で10cm上回る白石が、左でフェイントをかけながら右ストレートを狙い距離をキープ。サウスポーの佐藤は左ボディーから右フックを狙うが、白石の間合いをなかなか崩せない。6回、右をヒットして攻撃を強めた白石に、佐藤も右フックをヒット。鼻の頭をカットした白石は、左ボディーを打って佐藤を止めて再び距離を取り、最終回になって強引に攻める佐藤を振り切った。

 白石は12勝6KO1敗1分。4月に3年半ぶりの復帰を果たした佐藤は11勝6KO3敗1分。

◆72.0kg契約6回戦
緑川創(EBISU K’s BOX)[TKO4回1分31秒]為田真生(ワールド日立)

◆S・バンタム級4回戦
中田雅大(秩父)[KO2回2分55秒]山城勇希(天熊丸木)

◆フェザー級4回戦
愛甲隼士(DANGAN越谷)[判定3—0(39—37、40—36、40—36)]髙橋虹空(東京拳闘会)

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