メキシコ・テピクでのWBA世界スーパーウエルター級正規王座決定戦(現地9日)に惜敗した石田順裕(35=金沢)が13日、帰国した。
家族とともに関西空港に到着した石田は、出迎えた知人らに笑顔も見せるなど、敗戦を漂わせない雰囲気だった。試合は同級9位リゴベルト・アルバレス(32=メキシコ)を相手に1―2の小差判定負け。「まったく悔しくないと言えばうそになるが、ほっとしている気持ちはある。今後についてはちょっと分からない。新しいこともしたいし、迷っている」と胸中を語った。
石田によると、序盤のラウンドでは、ノーガードで相手をおびき寄せるなどの挑発的な態度が、アルバレスにポイントが流れる要素になったと、WBA役員から告げられたという。また石田が攻勢だった最終12回も、ジャッジ3者ともにアルバレスの10―9だった。試合終了直後に石田陣営がジャッジペーパーの開示を求めても「あとでホテルに届けるから」と拒否されたという。石田は「負けたとは思っていないけど、自分が甘かった。敵地ではKOしなきゃだめというでしょ」と潔かった。
二転三転した日程の変更など、周囲に翻弄(ほんろう)され続けたことで、精神面の疲弊も相当なものだったようだ。たとえ現役続行した場合でも「今のジムで試合するつもりはない」ときっぱり。再戦要求についても「ジム側がするでしょう」と大きな関心を示さなかった。最後には「今月中にどうするか結論を出したい」との方針を示した。