リング誌ランキングを読む Part13 S・ライト級
テイラーvs.ラミレスの4団体統一戦に期待
2020年5月25日 15時52分
2020年5月25日 11時43分
WBO・S・フライ級王座を7度防衛した井上尚弥(大橋)は希望していた他団体王者との統一戦が実現せず、減量の影響も考えてついにバンタム級に乗り込んだ。WBA世界バンタム級王者ジェイミー・マクドネル(イギリス)挑戦はちょうど2年前の2018年5月25日、大田区総合体育館でゴングが鳴った。
身長175センチとバンタム級でもひと際大きいマクドネル。10年以上無敗をキープしている王者であり、いくら井上でも今回ばかりは簡単にはいかない─という予想があった。ところが毎回のように予想を裏切ってしまうのが井上の“流儀”なのか。この日も猛打が初回から爆発した。
試合開始のゴングが鳴ると、チャンピオンがジャブを突き、井上も様子を見るような立ち上がり。井上がアップライトに構え、マクドネルが前傾姿勢のため、体格差は意外にも感じられない。30秒もたつと「(相手の)ジャブも強くないことが分かった」という井上がじわりとプレスをかけ始めた。
何とか距離を取り、試合を組み立てようとするマクドネル。しかし、井上が左フックをテンプルに見舞うと、王者は大きくよろけて後退。すかさず井上が畳みかけ、左フックをボディに打ち込むと、マクドネルはあっけなくキャンバスに転がった。
試合前日、マクドネルは計量に1時間以上も遅刻した。この間、ホテルで減量と格闘し、ギリギリでリミットに到達し、カサカサの肌とうつろな目で計量に合格していた。その影響で試合当日の体重はなんと63.5キロ! 12キロもリバウンドしては、体のキレもなにもあったものじゃない……。
ダウンを奪った井上は表情ひとつ変えず、ちらりと時計に目をやってフィニッシュに向かった。立ち上がったマクドネルにロープを背負わせると、左右の連打を思い切りチャンピオンに見舞う。懸命にエスケープをはかろうとするマクドネルだがもはや時すでに遅し。撃沈すると同時にレフェリーが割って入り、試合が終わった。TKOタイムは1分52秒。試合終了のゴングが大歓声にかき消される中、3階級制覇はあっさり達成された。
「これがボクシングです、早すぎるなんて言わないでください!」
ヒーローインタビューで開口一番のセリフがこれだった。
やや振りが大きくなったことが反省点と言えなくもなかったが、これも井上に言わせれば「相手が減量に失敗して、コンディションがよくないのは明らかだった」ということになる。マクドネルには相手にダメージを与えるような強い、キレのあるパンチは打つ力はなかった。だから多少荒っぽくなっても一気に攻めたということだ。
ちなみにマクドネルの試合後のコメントは「地球上で一番強い男と戦えた」。プロモーターのエディ・ハーン氏は「99%の選手が彼ほどの減量を乗り越えることはできない」とマクドネルをかばった。
バンタム級でも十分に力が通じることを証明した井上はワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級トーナメントに参戦することを明かした。井上が望んでいた“真の世界一”を決める最強トーナメントである。大きな野望に向けて新たなスタートとなるマクドネル戦だった。
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