衝撃の1ラウンドKO特集 まさかの「王座陥落編」
あの柴田国明が、リナレスが、八重樫東が…
2020年6月1日 12時22分
2020年5月31日 13時50分
日本ボクシング史上4度目となる1ラウンドKO奪取は世界2004年6月28日、横浜アリーナで起きた。川嶋勝重にまさかの敗北を喫した王者、徳山昌守のコメントがこの試合が大番狂わせであったことを伝えている。
「負けたときのコメントは用意していなかった…」
徳山は長いリーチと鋭いジャブ、右ストレートを武器に巧みに距離を操り、4年間にわたってWBC・S・フライ級王座を8度防衛している安定王者だった。一方の川嶋は負けも経験しながらキャリアを積んできたたたき上げ。武骨なスタイルが魅力だったとはいえ、技術的には徳山に及ばないと思われた。
しかもこの試合の1年前に両者は対戦しており、徳山が川嶋を難なく3-0判定で退けていたのだから、予想が「徳山絶対有利」なのは当然だったろう。
しかし、リベンジに燃える川嶋は虎視眈々と安定王者の首を狙っていた。ジャブを磨いて試合に臨んだ川嶋は初回、左の差し合いで負けず、徳山に圧力をかけていった。ラウンド中盤、左を外された川嶋がグッと踏み込んで右を放つと、これがクロス気味に徳山に直撃。ダメージを被った徳山は川嶋の追撃でキャンバスに崩れ落ちた。
「一瞬夢を見ているのかと思った。自分がいいパンチをもらって倒れているのではないかと…」(試合後の川嶋)
何とか立ち上がった徳山は足元がおぼつかない。試合再開と同時に川嶋は突進。右、左、右と打ち込むと徳山が背中からキャンバスに落下。ジェイ・ネイディ主審がすぐさま試合を止めた。試合開始からわずか107秒のKO劇に、横浜アリーナのファンもただ唖然とするしかなかった。
大橋秀行会長がプロテスト受験を思いとどまらせようとするほど才能がなかったという川嶋だが、ガッツと努力で這い上がり、ついには名チャンピオンの徳山を倒した。「これからも倒すボクシングを心がけます」というセリフが、新王者らしく初々しかった。
一方の徳山は試合後の控え室では「何を言っても言い訳です。相手が強かった」とサバサバした表情。防衛戦で一度勝った相手と再び拳を交えるのだからモチベーションの問題もあったかもしれない。翌年、川嶋と3度目の対戦をしてリベンジ。プライドとベルトを取り戻した。
日本人選手5度目の1ラウンドKO世界奪取となると、この試合から14年後、井上尚弥がジェイミー・マクドネルを下してWBAバンタム級王座を獲得した2018年5月の試合となる(詳しくは井上尚弥プレイバック参照)。https://boxingnews.jp/news/74740/
言うまでもなく、井上は大橋ジムの川嶋の後輩。大橋秀行会長もこのとき、まさか14年後に再び1ラウンドKO世界奪取を目の前で見ることになろうとは想像できなかったことだろう。
=第3回は近日公開=
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