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アウェーで戴冠目指す鈴木雅弘マニラへ 海外での東洋太平洋タイトル戦記録を深掘り

2023年10月3日 9時19分

 元日本S・ライト級王者でOPBF東洋太平洋ライト級3位の鈴木雅弘(角海老宝石)と同11位のロルダン・アルデア(比)が空位の東洋太平洋ライト級王座を争うタイトルマッチが7日、フィリピン・マニラで行われる。先発隊の田部井要トレーナー、元WBOアジアパシフィック・フライ級王者で日本フライ級4位の山内涼太とともに鈴木は2日にマニラ入り。現地で最終調整を行い、本番に備える。

マニラでライト級王座決定戦に臨む鈴木雅弘

 近年、国内ジム所属選手が出場する東洋太平洋タイトルマッチが海外リングで行われることはほとんどない。1953年12月6日、金子ジム先代会長の金子繁治さんが大阪府立体育会館でフィリピン人王者ラリー・バターンに4回KO勝ち。フェザー級で戦後初の日本人東洋王者(当時)となってから間もなく70年。この機会に海外における東洋太平洋タイトルマッチの記録を調べてみた(下に別表)。※1977年11月6日、オーストラリアの加盟を機にOBF(東洋連盟)からOPBF(東洋太平洋連盟)に改称。

 長い歴史の中で国内ジム所属選手が海外で戦った東洋太平洋タイトルマッチは通算157戦を数える。だが、勝利はわずか10勝と勝率1割にも満たない。今のところ最後の勝利にして、最後のタイトルマッチは比較的最近で、2019年10月9日、韓国・天安で内藤律樹(E&Jカシアス)が判定でS・ライト級王座のV3に成功している。今回、その内藤とスパーリングを重ね、サウスポー対策に自信を深めた鈴木がバトンを受け取るように4年ぶりの11勝目を目指すことになる。

4年前に韓国でS・ライト級王座防衛に成功した内藤

 1990年代以降、海外開催の東洋太平洋タイトルマッチは16戦。当然ながら戦績は3勝(1KO)13敗(7KO)と大きく負け越している。久しぶりの勝利は内藤の2ヵ月前。2019年8月11日、韓国・ソウルで渡部あきのり(角海老宝石)がS・ウェルター級王者のイ・ジュンギュンを10回TKO勝ちで下し、ウェルター級に続いて2階級制覇を成し遂げた。これが日本人選手では1988年12月4日、韓国・光州で王者の姜哲に挑み、9回KO勝ちでS・ライト級王座の奪取に成功した伊藤直樹(角海老宝石)以来、実に30年8ヵ月ぶりの勝利だった。

 先輩王者2人に続き、角海老宝石ジム海外3勝目がかかる鈴木には心強い援軍も加わる。渡部の勝利を後押しした佐藤直樹トレーナーが試合前日、岡田博喜マネジャーとともに後発隊としてマニラに到着する予定。4人体制で鈴木を強力にサポートする。

渡部あきのりは韓国で戴冠した

 フィリピンでの勝利は2008年8月2日、同国出身のロリー松下(カシミ)がセブでガーオナー・クローンパジョン(タイ)を判定で退けた防衛戦以来となるが、これはロリー・ルナスとしての凱旋試合の趣が強い。日本人ではバンタム級の小室恵市(青木)、フェザー級の金子繁治(笹崎)、ミドル級の辰巳八郎(新和)が揃って勝利した1955年12月3日、東洋連盟(OBF)総会に合わせてマニラで集中開催された約68年前以来となる(同日に行われたライト級戦は王者の沢田二郎(極東)がレオ・アロンゾ(比)に4回TKO負けで王座陥落)。

 ライト級では1975年2月21日、米・グアムでフレッド・バスター(比)を判定で退けた柏葉守人(野口)がベルト奪取に成功したのが2勝目で最後の勝利。しかし、フィリピン(すべてマニラ)では1955年12月3日に前出の沢田がアロンゾの軍門に下ってから、2007年8月25日に鮫島康治(グリーンツダ)がランディ・スイコ(比)に8回TKO負けで屈するまで9戦全敗。なかでもフラッシュ・エロルデには1950年代後半から1960年代半ばにかけて6戦全敗だった(国内を含めたバンタム級、フェザー級、ライト級での東洋戦における日本人の対エロルデ通算戦績は3勝13敗)。

 そのフィリピンの英雄の名が冠されたエロルデ・スポーツセンターが今回の試合会場。鈴木には先人たちの無念に一矢を報いるとともに、ベルトだけでなく、大きな経験と自信を持ち帰ってもらいたい。(船橋真二郎)

◆国内ジム所属選手の海外OPBFタイトル戦全勝利=10勝

1955.12.3 B ◯小室恵市(青木)反則6回 ●サノンETB(タイ)比・マニラ(決定戦)

1955.12.3 Fe◯金子繁治(笹崎)判定 ●ビル・ティンデ(比)比・マニラ(防衛)

1955.12.3 M ◯辰巳八郎(新和)判定 ●セーマ・クラスク(タイ)比・マニラ(決定戦)

1969.5.10 SW◯溝口宗男(リキ)TKO3回終了 ●李アンサノ(韓国)韓国・ソウル(挑戦)

1970.10.17 L◯門田新一(三迫)KO3回 ●趙永政(韓国)韓国・ソウル(決定戦)

1975.2.21 L ◯柏葉守人(野口)判定 ●フレッド・バスター(比)米・グアム(挑戦)

1988.12.4 SL◯伊藤直樹(角海老宝石)KO9回 ●姜哲(韓国)韓国・光州(挑戦)

2008.8.2 B ◯ロリー松下(カシミ)判定 ●ガーオナー・クローンパジョン(タイ)比・セブ(防衛)

2019.8.11 SW◯渡部あきのり(角海老宝石)TKO10回 ●イ・ジュンギュン(韓国)韓国・ソウル(挑戦)

2019.10.9 SL◯内藤律樹(E&Jカシアス)判定 ●ジョン・ギュボム(韓国)韓国・天安(防衛)

◆90年代以降の海外OPBFタイトル戦全戦績=16戦3勝(1KO)13敗(7KO)

1991.6.9  SW◯鄭栄吉(韓国)KO2回 ●塩見真司(陽光アダチ)韓国・大田(挑戦)

1992.11.14 W ◯朴政吾(韓国)判定 ●曽根大裕(輪島功一スポーツ)韓国・議政府(挑戦)

1993.10.9 W ◯朴政吾(韓国)判定 ●宅間健夫(石橋)韓国・木浦(挑戦)

1995.4.23 SW◯金冒澤(韓国)KO3回 ●青山次郎(角海老宝石)韓国・ソウル(挑戦)

1996.8.30 Fe◯サムエル・デュラン(比)KO6回 ●平瀬昇(千里馬神戸)比・リバシティ(決定戦)

1999.5.15 F ◯メルビン・マグラモ(比)TKO10回 ●秋田勝弘(協栄)比・サンホセ(決定戦)

2005.6.28 F ◯ワンミーチョーク・シンワンチャー(タイ)判定 ●榎本信行(三迫)タイ・バンコク(決定戦)

2006.7.28 M ◯プラディーブ・シン(豪)判定 ●中村頴司(大阪帝拳)豪・メルボルン(決定戦)

2007.8.25 L ◯ランディ・スイコ(比)TKO8回 ●鮫島康治(グリーンツダ)比・マニラ(挑戦)

2008.8.2  B ◯ロリー松下(カシミ)判定 ●ガーオナー・クローンパジョン(タイ)比・セブ(防衛)

2012.9.22 F ◯ロッキー・フエンテス(比)判定 ●李明浩(大阪帝拳)比・セブ(挑戦)

2013.8.18 SL◯金民旭(韓国)TKO11回 ●細川バレンタイン(宮田)韓国・ソウル(挑戦)

2015.3.25 Fe◯ビンビン・ルフィーノ(比)負傷判定8回 ●マーク・エコー・メリゲン(カシミ)比・マニラ(決定戦)

2018.9.21 LH◯アーロン・ライ(豪)TKO3回終了 ●松本晋太郎(ワタナベ)豪・シドニー(挑戦)

2019.8.11 SW◯渡部あきのり(角海老宝石)TKO10回 ●イ・ジュンギュン(韓国)韓国・ソウル(挑戦)

2019.10.9 SL◯内藤律樹(E&Jカシアス)判定 ●ジョン・ギュボム(韓国)韓国・天安(防衛)

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