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東日本新人王決勝 MVPは衝撃KOの牧田健之介 “3度目の正直”赤井英五郎が敢闘賞

2023年11月3日 14時29分

 第80回東日本新人王決勝が3日、後楽園ホールで開催された。実施12階級で誕生した東日本新人王は12月23日、同会場で西軍代表と全日本新人王を争う。

今年の東日本新人王たち。前列左から敢闘・赤井、MVP牧田、技能須藤

 最優秀選手賞にはフェザー級の牧田健之介(RK蒲田)、敢闘賞にはミドル級の赤井英五郎(帝拳)、技能賞にはS・バンタム級の須藤大和(伴流)が選ばれた。元プロボクサー“浪速のロッキー”で俳優、赤井英和さんの長男、ミドル級の赤井英五郎(帝拳)は3度目の挑戦で東日本新人王に輝いた。

◇ミニマム級4回戦
北野武郎(大橋=19)[3-0(39-37×3)]杉浦義(協栄=21)

 サウスポーの北野に対し、杉浦はガードを固めて前へ。サウスポーのスイッチしてボディ打ちを仕掛けていく。身長で上回る北野も接近戦を厭わず、鋭い右フック、右ボディを打ち込む。試合は初回から白熱した攻防となった。

熱闘を制した北野(右)

 2回も互いに左を決めながら、北野が前に出て左構えを続ける杉浦を押し込んだ。3回は杉浦がギアを上げ、両者が激しく打ち合うラウンドに。杉浦の日だろショートが北野をとらえ、北野の左ストレートがヒットし、互いに譲らない。最終回は両者とも力一杯打ち合ってゴングが鳴った。元日本ランカーの父、良トレーナーと世界を目指す北野は4勝1KO。杉浦は4勝2KO1敗。

北野の話「本当は距離を取る予定だったけど、杉浦選手がオーソドックスなのにサウスポーになってので打ち合ってしまった。苦戦したけど勝ててホッとしています。全日本は危なげなく勝つので応援よろしくお願いします」

◇L・フライ級4回戦
磯金龍(大橋=23)[3-0(39-37×3)]早坂峻(横浜光=19)

 上背のあるサウスポー磯金はアウトボクシング。初回から左ストレート、アッパー、右フックで早坂を迎撃した。早坂はガードを固めて磯金を追いかけるが、磯金がアッパーを多用しながらパンチをジョ下に打ち分けて試合を優位に進めた。

サウスポー磯金(左)が早坂をいなす

 早坂は手数としつこさで3回にペースアップし、4回は右ストレートを何発が決めたが逆転はならなかった。磯金は2勝1KO1敗。早坂は2勝1敗。

磯金の話「(全日本新人王決定戦に向け)ここまできたからにはもっといい練習をして、もっといい試合をしたい」

◇フライ級4回戦
高熊龍之介(松本ACE=25)[3-0(39-37×2、40-36)]山田龍斗(大橋=27)

 山田がスタートから良く動いた。相手に的を絞らせず、パンチを上下に散らし、高熊が追いかけるという立ち上がりとなったが、高熊が右で攻めると、山田が鼻血を出した。高熊は2回、山田を捕まえて、右ストレート、左フック、左ボディで山田を追い込んでいく。山田も打ち返して抵抗するが、勢いがあるのは高熊だ。

松本ACEジム初の東新人王となった高熊(右)

 3回は山田がコンビネーションを見せ、高熊はやや攻めあぐねている印象。それでも4回、高熊が左ボディを決めて山田をダウン寸前に陥ると一気にスパート。しかし山田が何とか持ちこたえて判定決着となった。高熊は7勝3KO1敗。山田は1勝1KO4敗2分。

高熊の橋「うれしくて泣いちゃいそうです。長野県でたぶん初めての新人王でそう思うとうれしい。(全日本新人王は)全力でぶつかりたい」

◇S・フライ級5回戦
佐藤祐(三迫=19)[3-0(48-47×3)]吉成亮人(ライオンズ=23)

 よく動く佐藤と距離を詰めたい吉成。初回は互いに距離感が合わず、クリンチ、もみ合いの多い攻防に。2回は吉成がアッパーをうまく使い、右をかぶせてペースをつかみにかかった。

佐藤(右)が吉成を制す

 3回以降、機動力のある佐藤がコツコツと右ショート、左ボディを打ち込み、吉成もあアッパー、左ボディで応じて譲らぬ展開が続く。最終回は両者ともに力を出し切って終了のゴング。旺盛なスタミナを武器に手数で上回った佐藤に軍配が上がった。佐藤は6勝無敗。吉成は5勝2KO1敗。

佐藤の話「5ラウンドがカギになると思っていた。1ポイント差でも勝てたことは自分の中で大きい。初めて自分の試合を見た人もいると思いますけど、次は全日本を必ず獲ります」

◇バンタム級4回戦
三浦良斗(ワタナベ=25)[KO1回1分22秒]榊原祐弥(横浜光=25)

 サウスポーの榊原に三浦がプレスをかける立ち上がり。両者が交錯した瞬間、三浦の右ストレートがカウンターになって榊原がダウンした。三浦は辛うじて立ち上がったものの、ダメージが大きく、10カウントとなった。三浦は3勝1KO1敗2分。頭が当たったようにも見えた榊原は2勝1KO4敗1分。

三浦が新人王に

三浦の話「4ラウンドきっちりやる予定でした。(相手は)強いイメージがあって、サウスポーもやったことなくて、いろいろ考えることがったけど、すぐ終わったので今は何も考えていない」

◇S・バンタム級5回戦
須藤大和(伴流=22)[TKO3回2分12秒]鳥井士恩(角海老宝石=22)

 ゴングと同時にプレスをかける鳥井がワンツー、左フックを決めれば、サウスポーの須藤も右アッパーを好打し、初回からスリリングな展開となった。2回も鳥井が仕掛け、ワンツーから左フック、ボディ打ちにつなげてペースを引き寄せにかかった。

須藤が鳥井を倒す

 3回、攻める鳥井が須藤をコーナーに押し込んでところで須藤の左カウンターが炸裂。鳥井がヒザをつくダウンとなった。ここから須藤はラッシュ。鳥井は粘りを見せるが、再び右カウンターでキャンバスに転がる。再開後、アッパーが決まったところで主審が試合を止めた。須藤はデビューから無傷7連勝(4KO)。惜しかった鳥井は4勝2KO3敗。

須藤の話「戦績にはこだわってないけど、目の前の試合をしっかり勝って、目の前のお客さんを喜ばせたい」(三賞受賞で)「ボクシングがうまいほうではないと思うけど、気持ちの強いところは見せられたと思う。MVPを取れなかったのは残念だけど、さらに力をつけたい」

◇フェザー級4回戦
牧田健之介(RK蒲田=22)[TKO2回1分32秒]山川健太(大橋=19)

 立ち上がりは両者ともに様子見でアクションの少ない展開。2回、タイミングを伺う牧田はワンツーから返しの左フックをドンピシャで決めると、山川がバッタリとキャンバスに大の字。レフェリーがノーカウントで試合を止めた。興奮のあまりリング上で雄叫びを上げまくった牧田は4勝3KO。宮崎・日章学園高でインターハイ優勝経験のある山川は4勝3KO1敗。

優勝候補の山川を沈めた牧田

牧田の話「(MVPを受賞して)残るものをもらえてうれしい。めっちゃうれしいです」

◇S・フェザー級5回戦
下村佳輝(三迫=24)[TKO2回2分22秒]山内雄輔(RK蒲田=25)

 スタートから激しい打撃戦となった。体格で勝る下村がジャブ、右ストレート、左ボディで襲いかかれば、山内は右アッパー、右フックで下村に迫る。ラウンド後半、下村の右で山内がフラつくと主審がダウンを宣告。下村は一気にフィニッシュを狙ったが、山内はアッパーを好打してピンチをしのいだ。

山内を倒した下村

 2回、両者ともダメージを負いながら、再び激しい打ち合いとなる。下村の上下の打ち分けが効いてきた。最後は下村の右ストレートが決まり山内がキャンバスにダイブ。主審がノーカウントで試合をストップした。下村は5勝5KO1分。山内は4勝1KO1敗1分。

下村の話「全日本もKOで勝つので応援よろしくお願いします」

◇ライト級4回戦
西畑直哉(竹原&畑山=24)[3-0(39-37×2、40-36)]菊池音央(新日本木村=20)

 西畑が圧力をかけ、右強打を上下に打ち込んで菊池を倒しにかかった。アップライトの菊池はロープを背負いながらも、L字ガードで上体をのけ反らせて西原のアタックをしのいだ。

西畑㊧が菊池に攻め勝つ

 西畑は2回も荒っぽく攻めたが、菊池が左フック、左ボディで反撃に出る。クリンチ、もみ合いの多い試合ながら、最終回は西畑が右、菊池が左ボディと左フックを決め、持ち味を出してフィニッシュ。前に出続けて勝利の西畑は5勝3KO1敗。菊池は1勝2敗。

西畑の話「ジムの東日本新人王初? 難しいかなと思いましたけど、気合い入れて練習したらスタミナもつきますし、あきらめずにやってよかった。全日本もジム初になれるようにがんばります」

◇ウェルター級4回戦
須賀大地(世田谷オークラ=31)[2-0(39-37×2、38-38)]加藤大河(DANGAN越谷=20)

 須賀が前に出て仕掛け、左右のボディ打ち。上背のある加藤がジャブ、ワンツー、左ボディで須賀を崩しにかかった。互いに決め手を欠く中、須賀が3回にペースアップ。須賀が手数でアピールし、インサイドでも細かくパンチをつないで加藤を突き放しにかかった。

須賀㊨が加藤を下す

 しかし加藤は粘り、最終回は打撃戦を展開。それでも体力に勝る須賀が押し切った。須賀は3勝1KO。加藤は4勝1KO1敗。

須賀の話「加藤選手がもう少し下がってくれると思ったけど決勝はそんなに甘くなかった。実は今日、いつも会場で一番大きな声で応援してくれている最愛の妻がうっかり仕事を入れて今日は来られなかった。全日本では応援してもらう」

◇ミドル級4回戦
赤井英五郎(帝拳=29)[3-0(39-37×3)]マッチョパパ一基(協栄=34)

 両者は昨年の新人王でも対戦して赤井のTKO勝ち。再戦は赤井がプレスをかけ、マッチョパパはまずはディフェンス重視。初回は赤井がジャブを突き、マッチョパパが時折繰り出す右フックを冷静にかわした。

マッチョパパを再び退けた英五郎㊧

 2回、赤井が右フックを使い出しアッパーも駆使して攻勢に出る。ボディも食らってマッチョパパが苦しくなってきた。赤井は3回、ショートの連打も繰り出して優勢をキープ。マッチョパパは懸命に手を出し、右フックが赤井の顔面をとらえるシーンもあったが、赤井の左ボディが効果的だ。

 最終回はともに全力を出し切って気持ちのこもった打ち合いを披露。赤井はボディの連打も披露し、後楽園ホールを大いに沸かせ、大トリを飾るにふさわしい試合となった。成長を見せた赤井は4勝3KO2敗。マッチョパパは1勝1KO3敗1分。

赤井の話「(新人王戦に)3回も挑戦できていることがありがたい。パーフェクトな試合ではなかったけど、次につながったと思う。あと1カ月とちょっと、短い期間ではあるけど、成長できるようにがんばりたい」
観衆=1752人

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