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ウェルター級統一王者クロフォードのIBF王座はく奪が話題に 4団体統一王者と指名試合の関係

2023年11月13日 12時48分

 ウェルター級統一王者テレンス・クロフォード(米)のIBF王座はく奪が話題になっている。クロフォードは7月、3団体統一王者エロール・スペンスJr(米)との頂上対決に勝利して4団体統一に成功。そして先週、IBFはクロフォードが暫定王者ジャロン・エニス(米)との指名試合を行わないとしてクロフォードの王座をはく奪したところ、これは拙速との意見も出た。統一王者と王座はく奪とは――。

クロフォード

 統一王者はS・ミドル級4団体統一王者のサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)を筆頭に3団体統一王者にはヘビー級オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)、L・ヘビー級アルツール・ベテルビエフ(ロシア)、ライト級デビン・ヘイニー(米)らが存在する。彼らはクロフォードと違い、現時点で王座をはく奪されていない。

 この件について詳細に説明したのがESPNのマイク・コッピンガー記者だ。それによると、まず4つの統括団体は指名防衛戦を先送りできる「例外」を設けており、その一つが統一戦となっている。事実、スペンスとクロフォードの試合は統一戦ということで統括団体から特別に許可を受けた。そしてIBFはこの試合の勝者とエニスとの対戦を義務づけた。

 ところがここでスペンスとクロフォードの再戦条項がクローズアップされる。敗れたスペンスが再戦条項を行使すれば、クロフォードは次にでもスペンスとのリマッチを行わなければならないという契約だ。ところがIBFは再戦を「例外」に認めていないため、クロフォードの王座をはく奪、エニスを正規王者に昇格させたという。

 そもそもIBF王者だったスペンスは18年6月のカルロス・オカンポとのV2戦を最後に指名試合から遠ざかっていた。その後はマイキー・ガルシアとのV3戦が選択試合、V4戦はWBC王者ショーン・ポーターとの2団体統一戦、V5戦はダニー・ガルシアとのWBC指名試合、V6はWBA王者ヨルデニス・ウガスとの3団体統一戦だった。

 統一戦が多かった上に、19年10月に交通事故を起こし、21年8月に網膜裂孔が発覚してブランクを作ったのも響いた。IBFのダリル・ピープルズ会長はESPNの取材に対し、「スペンスの負傷の程度を考えれば、もっと早く暫定王座を設置するべきだった。彼の回復時間を過小評価していた」と話した。エニスが暫定王座に就いたのは今年1月だった。クロフォードの王座はく奪について十分な説明とは言えないかもしれないが、こうした背景があったのは事実である。

 統一戦といえば、日本では井上尚弥(大橋)が12月26日、マーロン・タパレス(フィリピン)とのS・バンタム級4団体統一戦に臨む。もし4団体統一王者となれば各団体から指名試合をオーダーされるだろう。

 4団体にはそれぞれ指名挑戦者がいるわけで、統一王者これにすべて応じるのはスケジュール的にも難しい。王座統一が進むと、待たされるチャレンジャーは増え、各団体と王者、指名挑戦者はさまざまな調整(待つのか、暫定王座を設置するのかなど)を強いられる。王座統一が難しいのは言うまでもないが、それが成功しても、複数のベルトを保持することはシステム的に難しい。

 井上はそのことをよく承知していて、王座統一後は団体の方針に従ってベルトを手放す可能性を理解し、その上でS・バンタム級でさらに数試合したいと話していた。Photo by SUMIO YAMADA

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