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フューリーの大苦戦がヘビー級戦線に及ぼす影響 ビート12月号より

2023年11月14日 14時28分

 ヘビー級の中心人物であるWBC王者のタイソン・フューリー(イギリス)が10月28日、サウジアラビアのリヤドで元UFC王者でこれがプロボクシング・デビュー戦のフランシス・ガヌー(カメルーン)と対戦したが、ダウンを喫して薄氷の2-1判定勝ちという結果。統一戦に合意しているオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)はもちろんのこと、数多くのファンをハラハラさせた。今後のヘビー級戦線にどのような影響を与えるのか。《ボクシング・ビート12月号より》

フューリー対ガヌーのヘビー級戦

 総合格闘技UFCのスター選手が著名ボクサーとボクシングルールで対戦したがるのは、動くマネーが巨額だからだろう。もし今回フューリーがUFCルールでガヌーと対戦していれば、ファンの関心は頂点に達しても興行面でこれほど大きなイベントにはならなかったはずだ。

 そしてボクシングルールならボクサーが勝つ確率はかなり高い。そういった点でボクシングは恵まれているが、そこに大きな風穴を開けたのがガヌーのパフォーマンスだった。必ずしもボクサーの勝利は保証されていない、と……。

 試合が締結した時点で米国メディアは「彼はUFC最高のパンチャーだが、まだフットワークの速さとシャープさに課題がある。3ラウンドまでは期待できるが、その後フューリーの動きのスムーズさに追従できなくなり、メンタル&フィジカル両面で崩されるのではないか」(バッドレフトフック・ドットコム)といった論調が主流だった。

 試合後多くの専門家が指摘したように、フューリーのコンディション不良とモチベーションの低さが苦戦を招いたことは否定できない。推定6000万ドル(約84億円)を超えるといわれた報酬とノンタイトル戦という設定に心が弛緩したのかもしれない。だが試合前のナルシシズムを感じされる発言や「ソーセージ(ガヌー)をうまく焼き上げる」といったジョークはまったくの虚勢に感じられてならない。

 初回、ガヌーが放つ左フックにスピードがある。それでも「これを食らうフューリーではない」という印象がしたのも事実だ。フューリーの右が決まるがガヌーも右を返す。2回、スピーディーな左を繰り出したフューリーは左構えにスイッチ。同時にガヌーも左にスイッチしサウスポー対決となる。クリンチの場面は格闘技家ガヌーの土俵と思えるが、キャリア最重量で計量を終えたフューリーが体力で圧倒する作戦に出たようにも思えてくる。

 そして3回。ここもサウスポー対決となり、ジャブの差し合いでガヌーは対抗。残り30秒の時点でガヌーの左フックが頭部に当たり、フューリーの巨体がキャンバスに這った。デオンテイ・ワイルダーとの3戦で喫した4度のノックダウンを想起させるシーン。パンチャーぶりを誇示したこの場面だけでも、ガヌーの商品価値は急カーブを描いて上昇した。..

 一躍話題の人となったガヌーの横顔、この試合を観た関係者の反応、そしてこの試合が今後のヘビー級シーンに与える影響とは――記事全文はあす発売のボクシング・ビート12月号に掲載しています。
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