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今永虎雅が齊藤陽二下しアジアT制す 豊嶋亮太、シーサー皆川がカーニバル挑戦権ゲット

2024年11月22日 1時52分

 21日後楽園ホールのセミファイナルで行われたアジア最強ライト級トーナメント決勝戦(8回戦)は、日本6位の今永虎雅(いまなが・たいが、大橋)が同4位の齊藤陽二(角海老宝石)から3回にダウンを奪っての3-0判定勝ち(78-73、79-72、80ー71)。賞金500万円も手に入れた。

齊藤㊨に最後まで逆転を許さなかった今永

 ボクシングに幅広さを持つサウスポーの今永が、強打の齊藤をほぼ完封した形。だが齊藤は、最後の最後まで逆転する雰囲気を醸し出し、スリリングな空気を演出し続けてくれた。

 強く速い右ジャブと強烈な右フック。フェイントを入れながら大胆な左右アッパーを振り抜く。今永は立ち上がりから、ガードを固めて迫る齊藤を巧さと強さの両面でコントロールした。2回には痛烈な右フックで齋藤の左耳裏を切り裂いて、大量出血させた。続く3回に今永は巻き込むような右フックを叩きつけて齊藤にヒザを着かせる。しかし、これはダメージをさほど感じさせないものだった。

 齊藤は再三にわたってドクターチェックを受けた。試合を止められるかもしれない、と心理的に揺れ動いていたことは間違いない。だが、逆にそれで肚が座ったか、今永をロープやコーナーに猛然と追い込んでいく。

 今永は、当初こそ巧みなブロッキング、ダッキング、サイドステップや、右フックを打ってからのターンで齊藤の連打を遮断していたが、試合が中盤を越えていくと被弾が増えた。齊藤がこれまでの試合以上に進化していたからだ。

 闇雲に左右フックを叩きつけたわけではない。右ショートストレートを見せておき、左ボディーフック、さらには右フックを顔面へと、上下対角への打ち分けを上手に織り交ぜていたからだ。5回には今永も左目下が腫れだした。けれども、今永は決して心を退かず、齊藤の相打ち狙いを恐れずに、自身のシャープな強打を叩き込んでいった。蓄積ダメージは齊藤がより強かっただろう。

 ともに打つパンチはほぼすべて強打。スタミナの消費も相当だったはず。それでも最終回まで両者の手数は止まらない。しこたま打たれた齊藤のタフネスぶりは驚異的だったが、今永もかなりの打たれ強さと心の強さを証明した。今永は7勝5KO。齊藤は8勝8KO4敗2分。

減量苦から解放され、2階級制覇に王手をかけた豊嶋㊧

 S・ウェルター級最強挑戦者決定8回戦は、元元OPBF、WBOアジアパシフィック、日本ウェルター級王者で現日本2位の豊嶋亮太(帝拳)が、同1位・左右田泰臣(そうだ・やすおみ、EBISU K’s BOX)にフルマーク(80-72、80-72、80-72)判定勝利。チャンピオンカーニバルでの日本王座への挑戦権を獲得した。

 立ち上がりから多彩な左を上下に突き刺してプレスをかけた豊嶋は、左右田が返す右から左フックをアームブロックで止める。2回に入ると両者が左ボディーフックの応酬。豊嶋が左ジャブを多用して右ストレートへつなぎ、左右田がモーションの小さい右ショートを返すが、豊嶋の左ショートフックダブルが左右田にはどうにも邪魔になっていた。

 3回、ジャブ、フックに加えアッパーも入れ始めた豊嶋の左はいよいよ多彩になる。そして左右田の攻撃パターンの少なさが目立ち始めた。5回に入り、いきなり近づいた豊嶋は、左ボディーアッパー乱打から左フックで顔面を攻めて、勝負を決めにかかったように見えたが、左右田はビクともせずに右から左フックを返していた。

 豊嶋は右アッパーでも再三、左右田の顔面を跳ね上げたが、左右田はまったく怯まずに左右を打ち返し、体の力でも上回ってみせた。手数、クリーンヒット、技術で豊嶋が大きくリードしたが、左右田の打たれ強さも相当だった。豊嶋は20勝11KO3敗1分。初黒星の36歳左右田は7勝4KO1敗1分。

ボディーが効いたものの踏ん張って湯場を倒したシーサー㊧

 もうひとつ行われた最強挑戦者決定8回戦(ウェルター級)は、3位のシーサー皆川(平仲ボクシングスクール)が、2位・湯場海樹(ゆば・かいき、YUVAX)に最終8回1分45秒TKO勝ち。カーニバルでの日本王座挑戦を決めた。

 サウスポー同士の一戦は、右を上下に突きながら左クロスをヒットした皆川に対し、湯場が右を小さく動かしながら左強打を狙う様相。皆川は引いていたかと思えば突然攻めに転じるなど、押し引きを上手く使う。皆川が入ってくる瞬間に左カウンターを狙う湯場だが、そのタイミングをなかなかつかめなかった。

 3回、バッティングで右目上をカットした湯場は、5回に皆川の入り際に左ボディーアッパーをカウンターして流れを変え始める。距離を取る皆川の足は、“逃げ”の方向へと変化し始めた。

 6回、皆川の左クロスに湯場が左ボディーアッパーをカウンタ―し、皆川を大きくよろめかせる。疲れも見え始めた皆川はしかし、クリンチも駆使してうまくごまかしていた。

 迎えた最終回。左相打ちでカウンターを取ったのは皆川だった。この一撃でダウンした湯場は立ち上がったものの、皆川が追撃の左2発。キャンバスに横倒しになった湯場を見て、レフェリーが即、試合を止めた。

 湯場の左一撃狙いを十分に把握していた皆川は、それを打たせまいと右ブローを丁寧に使った。対して湯場は、巻き込む右フックは打っていたものの、自身の動きを先導する意味での右リードブローをほぼ打たなかった。あらためて、前の手で打つリードブローの重要性を感じた試合だった。

 皆川は5勝1KO3敗。元日本5階級制覇の父・忠志会長のジムへ移籍しての初戦を飾れなかった湯場は11勝7KO4敗2分。

 前日本王者で現2位の仲里周磨(ボクシングクラブオキナワ)と日本S・ライト級2位・アオキ・クリスチャーノ(角海老宝石)のライト級8回戦は、仲里が77-75、78-74、79-73の3-0判定勝ちを収めた。

 4月に三代大訓(みしろ・ひろのり、横浜光)に王座を奪われた仲里。ライト級戦は11年ぶりとなるアオキ。立ち上がりからリラックスした仲里が、テンポや距離を変えていく。アオキは時折右強打で仕掛けるものの、仲里はそれをかわして左リターンをヒットするなど、ボクシングの技術で上回った。

 アオキは中間距離、接近戦ともに、打った左腕を伸ばしっぱなしにする癖があり、仲里はそれを読んで、右を再三かぶせてヒット。さらにはインサイドから左フックも決めた。
 しかし、そのまま仲里が攻撃を強めていくと、アオキは左フックをカウンター気味に決めて辛くも跳ね返す。最終回、アオキは手数で迫ったものの、疲れからか体が流れてしまい、逆転はならなかった。仲里は15勝8KO3敗3分。アオキは17勝11KO12敗2分。

◆L・フライ級6回戦
磯金龍(大橋)[KO1回1分22秒]オアトコウィット・カムランチャロエイ(タイ)

◆ヘビー級4回戦
高山秀峰(スパイダー根本)[TKO1回32秒]河瀬啓吾(金田)

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