30日、日本武道館で行われたWBC世界バンタム級タイトルマッチ、チャンピオン長谷川穂積(真正)-WBO王者フェルナンド・モンティエル(メキシコ)の一戦は、モンティエルが4回2分59秒で長谷川をストップした――。
WBC王者長谷川とWBO王者モンティエルの“統一戦”。歴史的ファイトは期待通りの好試合だった。序盤から互いにスピードとフェイントを駆使し、緊迫した攻防が続く。どちらも相手をピンチに追い込むようなヒットはなくとも、その駆け引きでファンをうならせた。そんな展開で4回途中までは長谷川がややリードしていたのだが……この回終了10秒前を告げる拍子木が鳴った瞬間だった。左を打った長谷川のバランスが一瞬崩れたところをモンティエルの左フックが急襲。被弾した長谷川がロープへと後退したのを見逃さず、モンティエルはここぞと追撃。意識の飛んだ長谷川をローレンス・コール主審がモンティエルの連打から救った。長谷川の好調スタートから一転、まさかの結末に武道館1万1千人のファンが凍りついた。
長谷川はウィラポンから奪った王座の11度目の防衛に失敗。同時に5年間の王位に別れを告げた。控室では「最後は気を抜いたところにもらったのかもしれない。(意識もあって)何で止めたのかと思ったが、映像で見て、あれだけもらってたら仕方がない」と潔かったが「悔しさはある」と話したところで涙した。それでも最後まで「最高の状態をつくった。負けましたけど言い訳はできない。今日の試合は試合で満足している」と気丈に話した。モンティエルとのリマッチを希望するか、との問いには「できるならやりたいけど」と語っている。
結果は日本のファンにとってショッキングなものだったが「これぞ世界戦」という格調高い一戦だった。勝者モンティエルはWBO王座2度目の防衛に成功するとともに、待望のグリーンベルトを腰に巻いた――。