世界王座返り咲きを目指しながら停滞している元WBC世界ミドル級王者フリオ・セサール・チャベスJr（メキシコ＝写真）の周囲が落ち着かない。ESPNのアルフレド・べリオス記者は、息子の体たらくにチャベス父が頭を抱えている─と伝えている。

　記事によると、チャベス父は、チャベスJrが先週末、ロサンゼルス郊外のビッグベアで行っていたキャンプから“脱走”したと主張。「とても失望している。息子には規律というものがまるでない。それが心配だ」とべリオス記者に嘆いた。

　しかし、チャベスJrによれば、ビッグベアを離れたのは、以前に負傷したかかとの状態を医者に診てもらうためであり、ビーチを走るなどトレーニングも目的にしていて、決して脱走などではないとのこと。チャベスJrは「オヤジはちょっとおかしい。彼のことは父親として尊敬しているけど、オレはもう30歳なんだ」とうんざりした様子だ。

　どちらの主張がより真実に近いのかはわからないが、チャベスJrはこれまでに薬物検査で2度アウトになったほか、最近は体重超過を連発し、父親がことさら神経質になるのも理解できるような失態を繰り返し演じている。

　チャベス父の苦悩は深いようで、取材に対し「私の息子がこれからも無責任な行動を続けるのであれば、もう引退したほうがいいと思う」と我が子に引退勧告まで突きつけるほど。4月30日にWBC世界S･ミドル級王者バドゥ・ジャック（スウェーデン）に挑戦する話が進んでいるようだが、これもキャンセルすべき、という考えだ。

　世界タイトルマッチから遠ざかること3年半。メキシコの英雄たる父からも見放されかけているチャベスJrに、復活の日は訪れるのだろうか。