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ホールを沸かせた名勝負 日本S・バンタム級王座編

2018年7月27日 12時53分

 後楽園ホールで27日ゴングとなる日本S・バンタム級タイトルマッチ、王者の久我勇作(ワタナベ)と挑戦者の和氣慎吾(FLARE山上)が激突する一戦は、試合前の盛り上がりという点ではここ数年でピカイチだ。とっておきの一番を前に、日本S・バンタム級(かつてはJ・フェザー級)タイトルマッチの名勝負を振り返ってみたい。

高橋vsマーク、あれから30年近くの月日が流れた

 最初に紹介するのはやはりこの試合、1989年1月22日の日本J・フェザー級タイトルマッチだ。4回戦時代から天才ボクサーといわれ、日本バンタム級王座に就いた高橋直人が、三沢基地勤務の米国軍人で日本J・フェザー級王者のマーク堀越に挑んだ。

高橋ナオトvsマーク堀越 語り伝えられる死闘

 6連続KO防衛中のマークが攻勢に出た4回、高橋の右でマークが2度のダウン。だがピンチをしのぐとマークが逆襲。8回、ロープを背にした高橋にマークの連打が決まり、高橋が崩れ落ちた。

 絶対絶命のピンチに陥った高橋だったが、9回に起死回生のカウンターを炸裂させ、2度のダウンを奪い返す。マークは立ち上がったもののフラフラで足元が定まらずに10カウントを聞く。高橋が劇的な逆転KO勝利を飾り、満員のホールを感動の渦に巻き込んだ。KOタイムは9回2分42秒だった。

清水精vs中島健次郎 史上最高の殴り合い

 60年代にも歴史の残る名勝負があった。清水精と中島健次郎が演じた“三部作”である。両雄は69年の4、7、11月と3度対戦した。その中身はすさまじく、全試合ダウン応酬の激戦で、しかも先にダウンを奪ったほうが倒されるというスリリングなものだった。

 この年、年間最高試合に選ばれたのは7月23日に行われた清水vs中島の第2戦。初戦で2回TKO負けを喫し、日本王座の初防衛に失敗した清水がリターンマッチでダウンを奪われながらも8回1分40秒、逆転のKO勝ちで王座を取り返すという内容だった。この試合が7つの世界タイトルマッチをおさえて年間最高試合に輝いた。

日本チャンピオン時代の六車

 ちなみに日本S・バンタム級王者から世界王者まで上り詰めたのは、六車卓也、下田昭文、小國以載の3人(六車はバンタム級で世界王座獲得)。久我と和氣の勝者が4人目になれるかどうかも気になるところだ。

世界に近づいた横田(右)と葛西

◇日本S・バンタム級王者アラカルト◇

■連続防衛
太郎浦一(新和) 9回(1964年~68年)
岩本弘行(ヨネクラ) 7回(1980年~83年)
渡辺純一(楠三好) 6回(2001年~03年)
芹江匡晋(伴流) 6回(2010年~12年)

■KO防衛
3回 横田広明(大川=91年~92年)、真部豊(宮田=98年~99年)、芹江匡晋(伴流=10年~11年)

■最短KO
久我勇作(ワタナベ) 1回2分13秒 vs小坂遼(18年)

■世界タイトル獲得選手
六車卓也(大阪帝拳)、下田昭文(帝拳)、小國以載(角海老宝石)

■世界タイトル挑戦選手
横田広明(大川)、葛西裕一(帝拳)、福島学(JBスポーツ)、木村章司(花形)、大竹秀典(金子)

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