May
21
Tuesday

ボクシングニュース | ボクシングビート編集部制作

share

19°C Clouds
Tokyo

Boxing News(ボクシングニュース)

Home > Match Information > 井岡一翔のドーピング違反なし 倫理委員会が答申書 JBCのずさんな検体管理と手続きミス非難

井岡一翔のドーピング違反なし 倫理委員会が答申書 JBCのずさんな検体管理と手続きミス非難

2021年5月19日 19時52分

 昨年大みそかのWBO世界S・フライ級タイトルマッチにおけるドーピング違反騒動で、日本ボクシングコミッション(JBC)から事実関係の調査を委嘱された倫理委員会が19日、答申書を発表。今回のドーピング検査を持って違反疑惑が浮上したチャンピオン井岡一翔(Ambition)の違反行為は認められないとの結論を出した。

オンライン会見で事情説明する永田JBC理事長

 この日、オンラインで記者会見したJBCの永田有平理事長は井岡に対して全面的に謝罪した。井岡と対戦相手の田中恒成(畑中)に対して直接と会って謝罪すること、JBC内にドーピング委員会とガバナンス委員会を設置し、再発の防止に努めることを約束した。

 では、答申書をもとに事態の経緯を説明しよう。JBCは大みそかの世界戦前、試合会場で両選手の尿を採取し、A検体とB検体に分けて保管した。年末で病院が休みのため、検体はJBC職員がかばんに入れて自宅に持ち帰り、冷蔵庫で冷蔵保存した。休みが明けて1月5日、電車に乗って病院に検体を届けた(採取から試合が終わるまでと移動の間は常温保存)。

 A検体を簡易キットで1月6日に検査したこところ、井岡の尿から禁止薬物であるTHC(大麻)が検出された。その後、第三者機関で行ったB検体の検査では大麻以外の3つの禁止物質が検出された。このうちエフェドリンは覚せい剤取締法違反になる可能性もある成分だった。これが判明したのが1月29日のことだった。

 これを受けてJBC内で3月5日に会議を開き、警察に相談すべきかどうかも話し合った。結論は出なかったが、会議に出席していた弁護士が所属する法律事務所に相談した上で警察庁富坂署に情報を提供した。警察は捜査に乗り出し、同月9日にB検体を差し押さえ、JBCに対しては倫理委員会の開催を当面控えるように要請した。

 4月9日ごろ、警察から捜査を終了したこと、警察の捜査でB検体を使い切ったことが報告された。

 弁護士2人とスポーツドクターで構成する倫理委員会が「井岡の違反行為は認められない」とした理由は次のようになる。

 まず、A検体の検査で大麻成分が出たが、これは市販の簡易キットによるスクリーニング検査にすぎないと指摘された。簡易キットで出た結果はいわば“仮の結果”であり、本格的な検査を再度して同じ成分が出なければ陽性とは言えないということだ。さらにキットの使用説明書には長期保管する場合は冷凍保存を求めており、JBCは説明書通りの保存をしていない。以上のことからA検体の中に大麻成分が含まれていたとは言えない、と結論づけた。

 B検体からはエフェドリン,フェネチルアミン,チラミンの 3成分が検出されたが、A検体と同じく管理がずさんであり、尿の腐敗が進んでこれらの成分が産生された可能性があり、「禁止物質が存在したと認定するのは困難」とした。

 会見に参加した倫理委員会の貞弘賢太郎弁護士は「最初の検査で出た大麻は偽陽性の疑いが強い。B検体から出た3成分については、検査した1月20日の時点で出たことを否定しないが、これは保管の悪さによってもともとなかったものが生まれた可能性がある」と指摘した。

 また、答申書は「結果的に,審議対象者に弁明や再検査実施要請の機会を与えないまま,B 検体の再検査が不可能となった点において,審議対象者(井岡)の権利が保障されていないという重大な手続上の瑕疵があるというほかない」とJBCの手続きミスを厳しく断じた。

 検体のずさんな管理について永田理事長は、倫理規定に保管や移動に関する規定がなく、「冷蔵保存でいいと思っていた」と説明。B検体が警察に差し押さえられて、警察の捜査によりなくなってしまったことについて、「警察に検体を残すようにお願いしたが、量が少なかったのですべて使ってしまったとの説明を受けた」と話した。

 答申書の指摘によると、そもそもJBCにはドーピングに関する規定があいまいで、オリンピック競技などに比べてルール上の不備が多くあることを指摘。1990年代から行われている簡易検査も数ある禁止物質のうち8種類の成分しか検出できない。永田理事長は今後、A検体から本格的な検査を導入することを表明した。

Related article
関連記事