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寺地拳四朗が余裕のV9か 矢吹正道の下克上か? 迫るWBC・L・フライ級戦展望

2021年9月20日 18時57分

 WBC世界L・フライ級王者、寺地拳四朗(BMB)が挑戦者1位の矢吹正道(緑)を迎え撃つ9度目の防衛戦が22日、京都市体育館で開催される。具志堅用高の持つ世界最多防衛の日本記録V13の更新を目指す拳四朗の優位が伝えられるが、矢吹の実力を高く評価する声は少なくない。はたして拳四朗は公約通り「余裕で勝てる」のか? 間近に迫った京都決戦を占う――。

王者の拳四朗(左)と挑戦者の矢吹

 拳四朗にとって今回はチャンピオンになって初めてとなる出身地京都での凱旋防衛戦だ。試合が決まった7月半ばには京都府庁を訪れ、西脇隆俊知事を表敬訪問。知事の激励を受けた拳四朗は「油断さえしなければ余裕で勝てます」と言ってのけた。

 確かにこれまで9度世界戦をして全勝(5KO)をマークし、特に最近の強さは安定王者という表現がふさわしい拳四朗の充実ぶりである。ところが「意外に手を焼く可能性もある」という専門家筋の意見も少なからずある。

 矢吹はこれまで3敗を喫しているが、うち2敗はWBOフライ級王者の中谷潤人(M.T)とWBA・L・フライ級暫定王者に認定されたダニエル・マテヨン(キューバ)。残る1敗が現日本フライ級王者のユーリ阿久井政悟(倉敷守安)に初回TKO負けしたものでいずれも実力者が相手だった。阿久井戦で打たれもろいという一面を見せながらも、その後は危なげなく試合を運んでいる。マテヨンの技巧に判定を失った試合は終盤に追い込んでいた(1-2判定負け)。

 そんな矢吹について、拳四朗は「待ちのボクシングをする選手。相手が出てきたところに合わせて打つタイプ」と分析する。拳四朗は参謀の三迫ジム、加藤健太トレーナーとともに矢吹を意識しながらも、「相手うんぬんより拳四朗のボクシングをすれば勝てる」(加藤トレーナー)というスタンスで試合に向けて準備を進めてきた。

 ここで2人とグローブを合わせている選手に話を聞いてみたい。矢吹と2016年の全日本新人王決定戦で対戦して判定勝ちし、拳四朗とは自身が世界チャンピオンになる直前まで6度スパーをしたという現世界王者の中谷だ。

「拳四朗選手は重心がしっかりしていて、距離の取り方、前の手(左)の使い方がうまい。パンチも見た目以上に強かった」と中谷。その上で「拳四朗選手が距離をしっかり支配して、ポイントを取っていくというイメージが頭に浮かびますけど、矢吹選手もパンチがあるので、そういったところは厳しい試合になるかと思います」と話す。

 中谷はそうした経験からチャンピオンの有利を予想しつつも、「最近の矢吹選手についてはあまりよく観ていないので」と但し書きもつける。こちらはボクシング・ビート9月号からの引用だ。

 拳四朗のボクシングは距離をとりながら、旺盛なスタミナと機敏なステップワークを駆使してジャブを軸に圧力をかけていくスタイル。相手は徐々に打つ手がなくなり、中盤から終盤に突き放すのが勝利のパターンである。

 一方の矢吹は拳四朗と同じように距離が長く、サイズ感がある上に左は多彩だ。距離感を巡るジャブのやり取りはこの試合の最初の重要なポイントになるだろう。そこで挑戦者を上回り、どんどん引き離していくのがチャンピオンの常套手段だが、矢吹も当然承知している。それゆえ、差し合いがキーになるとしつつ、「意識しすぎることはしない」とも言う。拳四朗に差し負けることも、プレッシャーをかけられることも想定して準備を進めているのだ。

 実績からいえば拳四朗の有利はその通りだが、8月末に拳四朗が新型コロナウイルスに感染し、試合が9月10日から22日に延長されたことが予想を混乱させる。拳四朗は「まったく問題ない。むしろ早く試合がしたかった」と8日ほど休養した影響を完全に否定するが、はたしてその言葉通り本当に影響はないのだろうか…。

 拳四朗のV9か、矢吹が政権を交代させるのか。運命のゴングは22日。試合の模様はカンテレドーガでライブ配信される(有料)。https://live.ktv-smart.jp/

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