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2022年1月16日 日曜日

正統なるヘビー級王者タイソン・フューリー、その強さとカリスマに迫る

 タイソン・フューリー(イギリス)とデオンテイ・ワイルダー(アメリカ)の偉大な第3戦は、欧米の有力メディアで軒並み「ファイト・オブ・ザ・イヤー」に選ばれ、まさにボクシングの華であるヘビー級の面目躍如といったところ。それにしても、常に我々ファンの予想を超えてくるのがフューリーである。あらためてその謎に迫ってみたい。=ボクシング・ビート2月号より=

 デオンテイ・ワイルダーをなぎ倒し、ダウン応酬の歴史に残る激闘を制したフューリーは持ち前のトークで自画自賛した。

「今夜の277ポンドは、おそらく歴代ヘビー級チャンピオンの中で最重量だろう。体重だけではない。私は彼らの誰にでも勝てると信じている。チャンスが十分にあることはわかっているよ」

 フューリーの発言と並行するように、メディアの記事もヘビー級歴代グレーテストの中で彼がどれくらいの地位を占めるか分析するものが出始めている。33歳の彼にはまだ潜在能力が秘められていることを考慮するといっそう期待が膨らむ。

 他方で彼の母国イギリスの「ボクシングニュース」誌は「タイソン・フューリーは甘美な過去のいかなる時代の強豪とも比較できないものを持っている」と評している。これは仮想対決で彼と過去の名選手のどちらが強いかではなく、フューリーが異彩を放つ存在であることを意味する。同誌は彼の戦闘スタイルを端的に表現するのは難しく、多くの言葉を要するからだと解説している。

 難解に思える彼のボクシングだが、ヘビー級3団体王座に就いたウラジミール・クリチコ戦にそのエッセンスが含まれている気がする。9年に及び王座に君臨し盤石の強さを誇ったクリチコを攻略した一戦。本格派のクリチコを向こうに回して人を食ったようなポーズを交えながらフルラウンドを乗り切った。自由自在のフットワーク、天才的なディフェンススキル、とりわけ上体の柔軟さが目立った。ジャブの差し合いでクリチコに勝り、断続的に右を叩き込んでポイントに結びつけた。それらを後押ししたのはサイズとフィジカルの強靭さだった。

 ところが偉業を達成したフューリーは坂道を転げ落ちるように表舞台から消えてしまう。2016年、クリチコとの再戦が発表されながら何度も延期を余儀なくされ、重度のアルコール依存症とドラッグ中毒に陥ったことが発覚。同年9月には双極性障害であることが判明。「車をぶっ飛ばし、そのまま死にたいと思ったこともあった」と告白している。

 結局、WBAスーパー、WBO王座は返上(IBF王座はクリチコ戦直後にはく奪)、ライセンス停止処分を受け、リング復帰まで2年7ヵ月を要した。フューリーが自壊したのは3団体統一王者となった重圧に耐えられなかったからと推測される。アリに勝ったレオン・スピンクス、タイソンを倒したバスター・ダグラスのより極端なケースだったかもしれない。

 もしここでブランクをつくらなかったら、彼のキャリアはどう展開しただろうか。…

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