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岡山から世界を狙う逸材 “ピンポイント・パンチャー”ユーリ阿久井政悟の強さとは

2022年2月18日 15時22分

 2021年は1試合のみだったが、後楽園ホールでインパクト抜群のKO勝ちを収めて評価をグーンとアップさせたのが、日本フライ級チャンピオンのユーリ阿久井政悟(倉敷守安)。90年代の世界フライ級王者ユーリ・アルバチャコフにあやかってリングネームを付けられた阿久井は岡山から久々に現れた世界を狙える逸材だ。今年さらなる飛躍が期待される阿久井に、自身のボクシングについて語ってもらった。《船橋真二郎》=ボクシング・ビート3月号より=

 昨年7月、同じ“1995年世代”で無敗の桑原拓(大橋)を最終10回TKOに下した2度目の防衛戦は、世界戦以外の年間最高試合候補にも挙げられるなど、評価が高かった。だが、本人の反応はそっけない。

「最後がよかったから、だけじゃないですか。判定まで行ってたら、そこまではならなかったんじゃないかな、と思いますけどね」

 初回に桑原の右に右カウンターをドンピシャのタイミングで合わせ、鮮やかにダウンを先取。3回には逆に相打ちのタイミングの左フックで阿久井が効かされたが、スピードに定評があり、ヒット&アウェーでさばこうとする桑原に終始、圧力をかけ続けた。

 巧みなブロッキングとポジション取りで追い詰め、一発を合わせる阿久井。俊敏な脚を駆使し、回転の速いコンビネーションをまとめる桑原。目の離せない攻防は終盤まで繰り広げられ、ついに最終ラウンドにたどり着く。

 ここで物を言ったのが武器の右。まずカウンターで効かせ、逃げ脚になった桑原を追いかける。ロープ際に追い込んだところで互いの右と右がほぼ同時に交差。桑原は前のめりに崩れ落ち、壮絶な幕切れとなった。

「速いし、脚もあるけど、普通にやれば、普通に捕まえられる相手だと思ってましたからね」

 それでは、スピードのある桑原をどう“普通に”捕まえようと考えていたのか。

「スピードが速い選手って、僕の考えでパターンになりがちっていうのがあって。要は動きやすいところで“やりたい動き”“できる動き”をして、その動きが積み重なるから、スピードになっていくわけで。そのパターンを切っていく。隙間、隙間に打っていく。ずっと動いてる分(桑原には)考える“間”がないんですけど、“間”を置いたと思ったら出て、考えさせない、休ませない、とか。そういうことをやってただけなんですけどね」

 速い動きの連続性で生み出される桑原のスピードを点で切っていく、気持ちよく動かせない、ということか。フィニッシュブローにもなり、狙い続けた相打ちのタイミングの右もまた点を突くものだろう。

「踏み込みの速さとか、そういうスピードには自分は自信があるし、一緒に(パンチを)出した時の速さも自信ありますね。モーションの差もあるし、で、あの時は僕のほうがリーチも長かったので、その分でも先に当たるな、と思ってました」

 基本的な戦い方は、誰に対しても変わらないという。

「プレスかけて、右をドーンって。いつも通りですよね?(笑い)」

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