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東新人王MVPはスコーピオン、松野晃汰が磯谷大心倒し敢闘賞 全試合リポート 

2022年11月3日 19時12分

 第79回東日本新人王決勝戦が3日、後楽園ホールで行われ、実施12階級で優勝者が決定した。この日決まった東軍代表は12月17日に西軍代表と全日本新人王の座をかけて対戦する。

三賞に選ばれた東から技能・五十嵐、MVP金太郎、敢闘・松野

 

 片方が棄権のため不戦となったフライ級を除く全11試合が行われた。戦前の期待通り盛り上がったのは重いほうの階級。MVPはS・ライト級を制したスコーピオン金太郎(三谷大和S)が獲得した。

 石井龍虎(渡嘉敷)との決勝は先制のダウンを奪われながらも2度倒し返して3回KO勝ち。再挑戦で念願の東新人王の座を射止めただけでなく、試合内容が評価されて最優秀選手にも選ばれた。スコーピオンは「(MVPを)まさか獲れると思っていなかった。勝つことだけに集中していたのでうれしい」と驚いた表情だった。

 「本当は魅せるボクシングをしたいのですが、新人王は(チャンピオンへの)登竜門ということで、全日本をまず獲って日本ランカーになることを考えています」と次を見据えていた。スコーピオンの戦績は6勝4KO1敗。

 敢闘賞に選ばれたのは、ウェルター級優勝の松野晃汰(神奈川渥美)。4戦4勝4KOの注目選手、磯谷大心(輪島功一S)を4回TKOで撃破。本田秀伸会長の神奈川渥美ジムとして初の新人王である。松野は3勝2KO。

 技能賞にはS・フライ級の五十嵐春輝(湘南龍拳)がゲット。決勝は渋谷亮太(T&T)に判定勝ち。こちらもジム初の新人王となった。6勝3KO1敗1分。

<東日本新人王決勝結果>(左が勝者)
■ミニマム級4回戦 石井武志(大橋)[判定3-0(40-36×3)]川上拳汰(石川ジム立川)
 石井がガードから左フックのリターンで優位に立ち、2回からはボディにも好打を集め出す。川上も左右連打え切り崩しを図ったが、体も強い石井は盤石だった。もっとも、川上の粘りと自らの力みでフィニッシュは欠いた。
 「今日は準決勝だと思っています。全日本は必ず倒して新人王になります」(石井)

■L・フライ級4回戦 服部凌河(横浜光)[判定3-0(40-36×2、39-37)]池田穂高(RK蒲田)
 しっかりと守りつつ打てる距離を確保してシャープな左ジャブ、フックで対抗する池田だが、服部の積極的な攻めを徐々にさばききれなくなった。回が進むにつれ、池田は体力も減退し、服部の攻勢の時間が長くなった。
 「素直にうれしい。これに懸ける思いは誰にも負けません」(服部)

■フライ級 長谷川優太(熊谷コサカ)[不戦]梶谷有樹(八王子中屋)
 ※梶谷の棄権により長谷川が東軍代表に。
 「成長した姿を見せたかったが(試合が行われず)成長したアフロしか見せられなかった。全日本までもっと練習をして必ず新人王を獲ります」(長谷川)

S・フライ級を制したサウスポー五十嵐㊨(技能賞)

■S・フライ級5回戦 五十嵐春輝(湘南龍拳)[判定3-0(49-46×2、48-47)]渋谷亮太(T&T)
 サウスポーの五十嵐がリズミカルに動きながら細かく手を出す。ブロックで機をうかがう渋谷は2回終盤から右ストレート、左フック、左ボディで反撃を開始したが、4回は五十嵐も持ち直した。最終回の五十嵐は脚を止めてフルスロットルの手数で訴えた。
 「2回までは、テーマだった縦横無尽の動きができたけど……。楽しめばいろんな動きができると思っています。全日本も楽しみたい」(五十嵐)

■バンタム級4回戦 熊谷祐哉(M.T)[判定3-0(40-35、39-36、38-37)]印波優心(レイS)
 リーチを生かしのびのびと動きながら右を合わせ打つ熊谷。初回終了間際には右で印波からダウンを奪った。印波も3回は右を何度か叩き込んで挽回をアピールしたが、ダウンをマークした熊谷が接戦を制した。
 「試合前に(同門の中谷潤人から)“Good Luck”と連絡がきました。勝利を報告したいですね。西軍は強いので、頑張ります」(熊谷)

■S・バンタム級5回戦 星野凌(JBS)[TKO3回1分48秒]二葉恒輝(松本ACE)
 二葉がこまめにサイドを取りながら星野のガードの隙に左フック、ボディ、アッパーと多彩な攻め。3回も快調だったが好事魔多し、そこに星野の左フックが入った。ダメージを負った二葉を逃さず、星野が連打しストップに持ち込んだ。
 「リアル幕ノ内一歩と言いながら1KOなので、今日は倒したかった。相手もしっかりと打ち合ってきてくれました」(星野)

■フェザー級5回戦 廣瀬祐也(協栄)[判定3-0(50-45、49-46、48-47)]柿元蓮(ワタナベ)
 サウスポーの廣瀬が左ストレートで先制。互いにいまひとつ慎重だったが、その後も廣瀬が柿元の攻撃を外しながら左ストレートでアピールした。
 「ようやく3度目の挑戦で獲ることができました。左ストレートで倒したかったのですが、まずは結果が大事」(廣瀬)

■S・フェザー級4回戦 岩本星弥(JBS)[TKO4回44秒]池上いつ己(八王子中屋)
 初回、池上が右クロスを放り込んでスタートした一戦は2回から激闘に。その中で岩本の左ストレートが何度もヒットし、池上にダメージを与えた。そして3回岩本は左フックでダウンを奪う。この回もう一度倒した岩本は続く4回、左を当ててレフェリーのストップを呼び込んだ。
 「初めてのスパー大会で(対戦して)めちゃくちゃ悔しい思いをして、めちゃくちゃ練習してきたのでうれしいです」(岩本)

■ライト級4回戦 川口高良(協栄)[判定3-0(39-36×2、38-37)]長沼蒼大(大橋)
 サウスポーの長沼は左もリードにチョンチョンと使いつつ、脚で川口のプレスをさばく。それでもしつこく出た川口は2回に右をねじ込んでダウンをマーク。長沼に深刻なダメージはうかがえなかったが、川口はさらに自信を増して出、3回は右アッパーのダブル-外から右フックと渋い攻め。最終回にダウンを奪い返されたものの、判定で勝利した。
 「(全日本も)しっかりとつなげたいです」(川口)

石井を倒し返した金太郎はMVPに

■S・ライト級4回戦 スコーピオン金太郎(三谷大和S)[KO3回2分54秒]石井龍虎(渡嘉敷)
 タイプの異なるサウスポー対決。先制したのは石井の左クロスで、初回これを食らった金太郎がダウン。しかしここをしのいだ金太郎は取り乱さず、スムーズな左右ストレートで石井をけん制。そうやって丁寧に戦いを進めた金太郎が、2回、槍のような左ストレートで倒し返す。3回の石井はダメージを残しつつも強打を合わせて依然試合は予断を許さない状況だった。が、石井が攻めに出た瞬間をスコーピオンの右がとらえ、石井再びダウン、10カウントとなった。
 「倒されることも想定していたのでその後も冷静に戦えました」(スコーピオン)

磯谷を倒した松野

■ウェルター級 松野晃汰(神奈川渥美)[TKO4回53秒]磯谷大心(輪島功一S)
 磯谷の間合いを松野が鋭い攻めで崩しにかかる。これに磯谷も左フックを合わせ打ちして譲らない。3回、プレッシャーを強めた松野は終了直前に左フックで磯谷に打ち勝つ。続く4回、まず左フックを当てたのは磯谷だったが、色気をみせて右で打ちかかったところ、待っていたのは松野の右カウンター。右同士のカウンターをモロに食らって倒れた磯谷を見て、主審が即座にストップをかけた。
 「自分はチャレンジャーの気持ちでやっています。(磯谷は)距離、ジャブ、リードもあって警戒しましたが、もらってしまいました。そこは課題です」(松野)

■ミドル級 時吉樹(横浜光)[引き分け1-0(39-37、38-38×2)]左右田泰臣(EBISU K’s Box)
 時吉がスピード、威力ともに十分の右ストレートを放っていくが、左右田も直撃弾を避け、軽いパンチを上下にまとめて反撃。バタバタとした左右田の攻防だが、時吉もうまく攻め込めなかった。結果は引き分けながら、優勢点で時吉が全日本へと駒を進めた。
 「苦しい戦いで、対戦してもらって感謝している。もっと練習してもっと強くなる」(時吉)

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