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前人未踏5階級制覇の“女王”藤岡奈穂子が引退 米国進出もはたし「すべてやり切った」

2023年5月29日 14時58分

 日本選手初の世界5階級制覇を達成した女子第一人者の藤岡奈穂子(竹原&畑山)が29日、東京・大森のジムで記者会見を開き引退を発表。女子ボクシングを牽引し続けてきた47歳は「すべてやり切った」とすっきりした表情で会見した。引退ではなく「選手を卒業」とも表現した。

会見した左から柴田トレーナー、藤岡、竹原会長

 藤岡は昨年4月、WBCフライ級王者マーレン・エスパーザ(米)とのWBA&WBC統一戦に敗れた。「負けたら引退。もう呼ばれることはない」と思っていたが、敗戦後の控室にゴールデンボーイプロモーションズの副社長が訪れて「また必ずアメリカに呼ぶ」と言われて心が揺れ、引退を思いとどまった。

 同年7月、アメリカに渡って3カ月弱の長期合宿を敢行。現地で試合が決まることも期待していたがまとまらずに帰国した。その後もいいオファーはなく、前回の試合から1年たったという節目に引退を決意。体には何ら問題はないものの、「期限を決めないといけない」との思いから今回の発表に。目標に掲げた5階級制覇、アメリカ進出をはなしたことが「やり切った」との思いとなった。

 宮城県出身の藤岡はソフトボールでインターハイに出場。社会人でも選手として活躍した。99年にボクシングを始め、アマチュアで全日本王者に輝き、世界選手権にも出場。09年に34歳でプロデビュー。17年12月にWBO・L・フライ級王者となって5階級制覇に成功した。当時、5階級制覇はアマンダ・セラノと並ぶ女子2人目の快挙だった(セラノはその後、7階級制覇に成功)。

 思い出に残っている試合は「一つに絞れない」と前置きして、故郷の宮城県を襲った東日本大震災のあとに初めて世界タイトル(WBCミニマム級)を獲得した11年5月のアナベル・オルティス戦、13年11月の3階級上げてWBA・S・フライ級王座を奪った山口直子戦を「強烈に印象に残っている」と話した。

 現在の女子ボクシングの注目選手を問われ、「晝田(瑞希)選手は華もあるし日本の女子を引っ張っていける存在だと思う。今後は海外にも進出すると思う。ただ、晝田選手だけではどうにもならないので、そういう選手が他にも3人、4人と出てきてほしい」とエール。「最近の女子のレベルは確実に上がっている。でもうまくなったから強くなったというわけではない」とも話し、よりハートの部分で強くなってほしいとも語った。

 生涯戦績は23戦19勝7KO3敗1分。今後何をしていくか「具体的には何も決まっていない」そうだが、当面は解説やイベントへの参加など、ボクシングには関わり続けていくという。

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