粘るバラを鎮圧した佐々木尽 ウェルター級2冠戦詳報
2024年9月4日 1時02分
2024年9月4日 0時54分
3日、東京・有明アリーナで行われた日本S・バンタム級タイトルマッチ10回戦はチャンピオンの下町俊貴(グリーンツダ)が挑戦者3位・津川龍也(ミツキ)に8回にダウンを奪われながらも試合運びの上手さを見せて3—0判定(96—93、96—93、97—92)で勝利。3度目の防衛に成功した。
濃密な駆け引きに満ちた、スリリングな展開が続いた。179cmと長身のサウスポー下町に対し、津川は繊細に下町の距離をずらして間合いをキープするステップでスタート。下町の打ち気を誘ってこれをかわし、リズムを狂わせて右強打を決める作戦を遂行し始めた。
右から長い左ストレートを打ち込んでいく下町は、普段にはない空振りが目立ったが、敢えて先に攻めて津川の反撃を誘い、これをかわす駆け引きを使う。そうして津川の右のタイミングを把握していくと、左アッパーをボディーに必ずカウンターし、津川のリズムを止める。対する津川はツーステップからの右ストレートなど、入りと打ち込むタイミングを変えて下町に対応していく。
互いに相手の間合いやタイミングを外し、クリーンヒットを奪わせない高度な展開が続いていく。津川が右ストレートで仕掛ければ、下町は右フックを合わせ、下町が左ストレートで仕掛ければ津川は左ボディーフックを合わせる。一瞬の斬り取り合いが緊迫感を生み出して、場内は固唾を飲んで見守る展開が折り重なっていく。だが、試合が進むにつれて、タイミングや打ち込む深さを変える下町の右ジャブ、津川の接近に必ず狙う右アッパーが効果も印象も上げていった。
5回終了後の公開採点はジャッジ三者ともに49—46で下町を支持。だが、どのラウンドもほんのわずかの差で下町が上回る様相で、下町の駆け引きに、津川もしっかりとついていく瞬間の連続だった。
右ストレートの印象を強く与えていた津川だが、8回、意表を突く左ショートフックの前フリから、踏み込み鋭い右ストレートをクリーンヒット。下町が尻もちをつくダウンを喫した。
ここが攻め時と一気呵成に攻めかかる津川だが、下町はガードや回り込み、体の寄せなどで追撃をかわす。連打による打ち疲れが見える津川、ダメージが残る下町。続く9回は両者が回復に充て、最終回に激突。左ストレートを狙う下町に津川が左ショートフックを決めて下町の足元をフラつかせた。
効果的な攻防を選択し、危険なものを排除していく。その取捨選択の妙を披露した下町が、経験値で上回ったが、津川の底知れぬ力と将来性の豊かさも感じさせられる高度な10ラウンドだった。
下町は14勝12KO1敗3分。前日に日本ユース王座を返上していた津川は13勝9KO2敗。
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