イタリアを代表するボクサー、ジュニアミドル級とミドル級で世界王者に君臨したニノ・ベンベヌチ氏が20日、亡くなった。87歳だった。イタリアのオリンピック委員会が明らかにした。死因は公表されていない。

　旧ユーゴスラビア領（現スロバキア）出身のベンベヌチ氏は16歳の時にイタリアに一家で移住。1960年、地元開催のローマ五輪ウェルター級で金メダルを獲得。61年１月にプロデビューし、65年サンドロ・マジンギ（イタリア）にＫＯ勝ちで世界ジュニアミドル級（スーパーウェルター級）王座に就いた。２度目の防衛戦で金基珠（韓国）に判定負けで無冠に。デビュー以来の連勝は65でストップした。

　再起すると67年、エミール・グリフィス（バージン諸島）に３－０判定勝ちで世界ミドル級王者に輝く。再戦で王座を明け渡したが、翌年の第３戦でベルトを奪回した。３度の防衛に成功した後、70年、ローマでカルロス・モンソン（アルゼンチン）にＫＯ負けで王座転落。翌年のリマッチで返り討ちにされ、ラストファイトになった。

　甘いマスクで人気を博したベンベヌチ氏は引退後、テレビ番組の司会者、スポーツ中継の解説者などを務めた。映画俳優としても当時のトップスター、ジュリアーノ・ジェンマと共演し話題となった。終身戦績は82勝35ＫＯ７敗１分。96年に国際ボクシング名誉の殿堂博物館入り。近年も健在ぶりが伝えられていたが、突然の訃報がもたらされた。