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大盛況すみだボクシング祭り2025 トークショーにJCL大会初開催、ブラインドボクシング&車いすボクシング初出展

2025年5月18日 21時06分

 「すみだボクシング祭り」(すみだスポーツレガシー実行委員会/墨田区共催)が17日、東京・錦糸町のひがしんアリーナ(墨田区総合体育館)で開催。大勢のボクシングファンや子どもたちがリングでのミット打ち体験、記念写真撮影会、サイン会でプロの現役チャンピオンやトップ選手との交流した。昨年に続き、メインアリーナで行われた恒例のボクシング無料体験イベントは5年目の今年も大盛況だった。《取材・船橋真二郎》

盛り上がった堤×比嘉のトークショー

 毎年好評のトークショーは午前と午後の各1回開かれ、それぞれ対戦経験のある2人がステージに登壇した。午前は6月19日、大田区総合体育館でWBO世界ウェルター級王者ブライアン・ノーマンJr(米)に挑むWBO同級2位の佐々木尽(八王子中屋)、世界挑戦決定間近のWBA世界S・ライト級1位の平岡アンディ(大橋)、中量級期待の2人が集まったファンに力強く世界獲りを誓った。

 午後は2月に世界戦で再戦し、ダウン応酬の末、再び引き分けたWBA世界バンタム級王者の堤聖也(角海老宝石)、元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(志成)という仲の良い顔合わせ。自身のSNSで目の手術を公表、休養王者となる見込みの堤は医師も驚く回復ぶりをアピール。「トレーニングはバリバリやっているので、しっかり強くなって戻ってきます」と宣言し、大きな拍手を浴びた。

 これで堤に対戦オーダーが出されていた暫定王者(17日付で正規王者昇格)のアントニオ・バルガス(米)の対戦候補に浮上したのがWBA同級3位の比嘉。その話を振られると「ノーコメントで」と返し、「自分はできるだけ早くやめたい人間。職業として求められるなら頑張る」とした上で、今後については「いい人生にしていきたい」と比嘉節で煙に巻いた。

堤×比嘉トークショーに飛び入り参加した岡澤セオン

 質問コーナーでは堤、比嘉と1995年度生まれの同い年で、東京五輪・パリ五輪代表の岡澤セオンが手を上げ、飛び入り参加。9月にWB(ワールドボクシング)がリバプールで初開催する世界選手権をアピール。“2度目”の世界選手権優勝を果たし、例年参加していた本イベントに「帰ってくるので、楽しみにして」と盛り上げていた。

 今年はJCL(ジュニア・チャンピオンズリーグ)全国大会(9月7日、後楽園ホール)出場をかけた東日本地区予選も「すみだボクシング祭り」の中で開催。一般のイベント参加者たちも小、中学生が繰り広げる熱戦に足を止めた。育成の柱となるJCLをアピールするとともに西日本、中日本、西部日本予選(いずれも6月1日スタート)に先駆け、今年のJCL開幕を告げた。次の東日本予選準決勝は6月29日にドーム立川立飛で行われる。

JCLの東日本地区予選も開催

 午前と午後に分かれたJCLの合間の同じリングでは、帝拳ジムのフェザー級地域王者、藤田健児と中野幹士がスパーリングを披露。互いに技術は見せ合うものの、終始、軽めの手合わせに粟生隆寛トレーナーが「もっとやれ」と声を飛ばして笑いを誘うなど、なごやかな空気に包まれたが、多くのファンが豪華な“同門対決”に見入っていた。

 また、「ブラインドボクシング」と「車いすボクシング」の体験ブースが初出展。藤田と中野のスパーリング後のリングでブラインドボクシングを実演した。対戦形式ではなく、電子音を発するスピーカー付きのチェスト―ガードを着用したガイド役を追いかけ、アイマスクをしたブラインドボクサーがパンチを繰り出すもので、1ラウンド2分でフットワークやパンチの有効性などをもとに採点し、勝敗を競う競技という。

中央の関章芳さんを挟んで左が村松竜二さん、右が石井渡士也

 まず長年ブラインドボクシングに親しんでいる関章芳さんが元日本S・フェザー級1位の福永健治さんを相手に実演。動く福永さんをピタリと追いかけ、パンチを正確に放つ姿に拍手が起こった。関さんに続き、4月に日本S・バンタム級王者となった石井渡士也(RE:BOOT)が体験。あらぬ方向にパンチを打ったり、悪戦苦闘した。

 これまでに何度か体験したことがあったという石井だが、「距離感がつかめないし、自分がどこにいるか分からないから怖い」と苦笑い。いかに視覚のみに頼り、他の感覚を働かせていないのかをあらためて実感した様子で「関さんはすごい」と舌を巻いていた。関さんによると聴覚だけではなく、相手がどちらに動いたか空気感で感じ取るのだという。

 ブースではイベント参加者もアイマスクを着用し、元全日本ミドル級新人王の青山次郎さんらを相手にミット打ちを体験。車いすボクシングでは、トレーニングの一環で隔週1回程度で取り入れるというパラアイスホッケーの選手2人(東京アイスバーンズ所属)がミット打ちを実演後、一般向けに体験ミット打ちを行なった。関係者によるとイギリス、ポーランドで盛んで、こちらは対戦形式で行われるという。

ミット打ちを実演する東京アイスバーンズの選手

 車いすボクシングとともに「将来はパラリンピックの種目に」と目標を語ったのは元日本ライトフライ級1位で、現在は一般社団法人ブライドボクシング協会の村松竜二代表理事。自身も現役時代の20歳のとき、不慮の交通事故で左手の4本の指の腱を切り、左手首が曲がらない障がいを抱える。

 精神、知的障がい者のボクシングトレーニングにも携わってきた中で村松さんの印象に残るのが「上手くなる、強くなる以上に日々を充実させることが一番と気が付いた」という教え子の言葉。「共生」を胸に競技としての認知、普及とともに愛好者を含めた競技人口の拡大に努めたいと熱く話していた。

 今年のミット打ち体験、記念撮影会、サイン会に参加したゲスト選手は次の通り(順不同、敬称略)。李健太、豊嶋亮太、藤田健児、中野幹士、波田大和、高見亨介(以上、帝拳)、井上浩樹、今永虎雅、中嶋一輝、坂井優太(以上、大橋)、高田勇仁、渡邉海(以上、ライオンズ)。

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