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井上尚弥「次にアピールする試合を」拓真と公開練習

2016年8月28日 17時11分

 9月4日スカイアリーナ座間で防衛戦を行うWBO世界S・フライ級チャンピオンの井上尚弥(大橋)が28日、弟で前OPBF同級王者の井上拓真と横浜市内のジムで公開練習を行った。尚弥が1位ペッチバンボーン・ゴーキャットジム(タイ)とV3戦、拓真はフローイラン・サルダール(フィリピン)と世界前哨戦に臨む。

練習後に報道陣の質問に答える井上尚

 ペッチバンボーンはランク1位ながらこれまで日本で1勝4敗。「ファンの人から相手の力量不足を指摘する声もある」と本人も決して挑戦者が強敵ではないことを認めているが、だからこそトレーニングで自らを磨くことに集中した。

 これまでピンチらしいピンチを迎えたことのない尚弥だが、今回はディフェンスの強化、特に打ち終わりのガードを意識して練習した。尚弥にディフェンスを意識させるほどのスパーリングをできる選手がなかなかいない中、今回はカシミジムに所属するWBO世界S・バンタム級8位ジェネシス・セルバニアがパートナーを務めた。

 福井で開かれたイベントに尚弥が参加し、ファンの前でスパーリングをしたことが縁で、セルバニアが大橋ジムで2週間にわたり尚弥と拓真の相手を務めた。さすがS・バンタム級の世界ランカーとあって、チャンピオンの強打にもひるむことなく、井上は「最後まで気を抜けなったし、ディフェンスの練習にもなった」と満足した様子だ。

 かねて尚弥との対戦が期待されている世界3階級制覇王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)がついにS・フライ級に進出した。尚弥の防衛戦から1週間後の現地時間10日、ロサンゼルス近郊のザ・フォーラムでWBC世界S・フライ級王者カルロス・クアドラス(メキシコ)に挑戦する。

 パウンド・フォー・パウンドでナンバーワンと言われるロマゴンの尚弥の対決は、海外でも期待の声があるだけに「しっかり圧倒して勝ち、次の試合につながるようアピールしたい」と将来のドリームマッチに向けて前景気をあおっていく意気込みだ。

“世界前哨戦”に挑む成長株、20歳の拓真(右)

 一方、ここまで7勝2KO無敗の拓真はOPBFタイトルを返上し、はっきりと世界前哨戦と位置付けた一戦を迎えることになった。

 偉大な兄と比べるといま一つの印象もあった拓真だが、「ジムでいま最も成長している選手。大いに期待できる」と大橋秀行会長の期待は絶大。父の真吾トレーナーも「これまでは慎重すぎるところがったけど、ここはバカになる、ならないという判断ができるようになってきた。大人の感覚が身についてきた」と評価した。

 拓真本人も「前よりも自分の距離を保てるようになったし、リードもスムーズに出せるようになってきた」と自らの成長を実感する。勝てば世界挑戦が既定路線になっている試合だけに「勝ちにこだわりたい」と引き締まった表情で語った。

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