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五輪メダリストたちの悲喜こもごも

2大会連続金メダルの“天才”がまさかの黒星発進 
五輪メダリストたちの悲喜こもごも

2019年8月13日 11時51分

 オリンピック2大会連続金メダリストの“天才サウスポー”ロベイシ―・ラミレス(キューバ)が10日のデビュー戦で敗れるというショッキングなニュースには驚かされた。

 調べてみると2012年ロンドン五輪で金メダルに輝いた男子10人のうち5人、女子は3人全員がプロで世界王者になっているから、やはりメダリストたちは金のタマゴ。一方でだれもが簡単にベルトを巻いたかといえば決してそうではない。プロ転向組の活躍をチェックしてみると─。

ミドル級の村田(右)。7月の試合から

 ミドル級金の村田諒太(帝拳)は現在、WBAミドル級王座を保持しているが、初世界戦はアッサン・エンダム(仏)にまさかの判定負け。再戦で勝利するも、2度目の防衛戦でロブ・ブラント(米)に敗れた。引退の瀬戸際からのリマッチで劇的な勝利を飾ったが、決して平たんな道は歩いていないことはだれもが知るところだ。

■ロンドン五輪金メダリスト(☆はプロ世界王座獲得)
(男子)
L・フライ級 ☆ゾウ・シミン(中)
フライ級 ロベイシ―・ラミレス(キューバ)
バンタム級 ルーク・キャンベル(英)
ライト級 ☆ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)
L・ウェルター級 ロニエル・イグレシアス(キューバ)
ウェルター級 セリク・サピエフ(カザフスタン)
ミドル級 ☆村田諒太(帝拳)
L・ヘビー級 イゴール・メコンツェフ(ロシア)
ヘビー級 ☆オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)
S・ヘビー級 ☆アンソニー・ジョシュア(英)

(女子)
フライ級 ☆二コラ・アダムズ(英)
ライト級 ☆ケイティー・テイラー(アイルランド)
ミドル級 ☆クラレッサ・シールズ(米)

最強ロマチェンコも世界初挑戦は黒星だった

 成功組の一人、世界3階級制覇の“ハイテク”ロマチェンコはいまや飛ぶ鳥を落とす勢いだが、デビュー2戦目の世界初挑戦は、体重超過のオルランド・サリド(メキシコ)に惜敗。信じがたいことだが、世界王者になる前に敗れている。

 同じく軽量級のゾウも世界初挑戦はアムナット・ルエンロエン(タイ)に敗れた。2度目の挑戦で王座を獲得したものの、初防衛戦で木村翔(青木)にベルトを奪われて現在は無冠だから、プロで大成功したとは言えないだろう。

プロでは辛うじてベルトを巻いたゾウ

 キャンベルも世界初挑戦はホルヘ・リナレス(帝拳=ベネズエラ)に判定負け。今月31日、ロマチェンコとライト級の3ベルトをかけた“金メダル対決”に臨むことが決まっているが、はたして不利予想を克服することができるだろうか。

 ジョシュアはヘビー級で無敗のまま3冠王者となり、試合のたびにサッカースタジアムを満員にして我が世の春を謳歌していた。ところが6月、格下と見られたアンディ・ルイスJr(米=メキシコ)に大番狂わせのTKO負け。12月7日サウジアラビアにリマッチがセットされ、プロキャリア初にして最大の試練を迎えようとしている。

■ロンドン五輪金メダリスト以外の主な選手
フライ級 銀 ツグスソグ・ニャンバヤル(モンゴル)
フライ級 同 マイケル・コンラン(アイルランド)
フライ級 準々決勝 ☆ノルディーヌ・ウバーリ(仏)
フライ級 2回戦 ☆ルーシー・ウォーレン(米)
バンタム級 銅 清水聡(大橋)
バンタム級 1回戦 ☆アイザック・ドグボエ(ガーナ)
L・ウェルター級 ☆ジェフ・ホーン(豪)
ミドル級 銀 エスキバ・ファルカン(ブラジル)

ウバーリ(左)は五輪ベスト8

 たとえ金メダルに届かずとも、プロで活躍している選手はたくさんいる。ホーンは17年、マニー・パッキャオ(比)を下してWBOウェルター級王座を獲得しシンデレラボーイとなった。五輪1回戦で清水に敗れたドグボエはWBO・S・バンタム級王座を獲得している。

 WBCバンタム級王座に就いたウバーリは、暫定王者井上拓真(大橋)との対戦が義務付けられており注目。ウバーリに2回戦で敗れたウォーレンはプロでWBAバンタム級スーパー王座に就き、WBC王座戦ではアマに続いてウバーリに敗れた。

 当たり前の話だが、メダルを獲ったからといってプロでの活躍が保証されているわけではなく、メダルを獲れなくてもプロでチャンピオンになった選手もいる。

 ぐっとさかのぼると、1956年のメルボルン五輪ヘビー級金メダリストのピート・ラデマッハー(米)は翌年のプロデビュー戦でフロイド・パターソンの持つ世界ヘビー級王座に挑戦して黒星。その後もプロのリングに上がったが、凡庸な成績でプロ生活を終えている。

 デビュー戦黒星のラミレスは大ショックに違いないが、本当の勝負はこれからだ。Photos/SUMIO YAMADA

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