2020年4月6日月曜日

きっかけのエピソード ビート選手名鑑 中谷潤人
中学卒業と同時に単身アメリカへ

 ボクシング・ビートで連載中の「きっかけのエピソード」で選手を紹介するビート選手名鑑がスタートします。第1回は4月4日の世界挑戦がコロナ禍で延期になったフライ級世界ランカー、中谷潤人(M.T)の“きっかけ”。

 三重県東員町に「十兵衛」というお好み焼き店があった。なじみの客に町の空手道場の先生もいて、とある日店主は小学4年の息子に入門を勧めた。礼儀作法を学ばせるのが目的だった。素直に通い始めた少年はやがてボクシングに興味を抱く──将来のチャンピオン中谷潤人が中学1年の時。

兄潤人(左)と弟の龍人さん

 放課後、電車で30分かけて桑名市のジムへ行き、練習を終え、十兵衛に戻ってくる。店で晩御飯を食べていると、常連からよく「潤人、ボクシングどうだ」と声をかけられた。ニコリとこたえる少年はこの時すでに真剣に世界チャンピオンを目指していたのだ。中学を卒業すると単身ロサンゼルスに向かった。

「高校は出ておいたほうが……」。当初、両親が心配したのは当然だったが、潤人の思いの強さを知って最大の理解者となる。プロボクサーとなり、世界を狙うホープまでに成長する中谷の夢をバックアップするために、十兵衛をたたんで神奈川県・相模原へ。そして同市南橋本に再び家族経営の店をオープンさせた。

「家族を振り回してばっかりですけど、早く恩返ししたいです」

 あどけなさの残る21歳が表情を引き締める。

 十兵衛から名を「とん丸」に変えたお店の売りは郷里の名物トンテキ。いまも潤人の試合に東京まで駆けつける十兵衛のあの常連もさぞかし喜ぶだろう。=ボクシング・ビート2019年9月号より=

■中谷潤人(なかたに・じゅんと)
生年月日 1998年2月1日
出身 三重県員弁郡東員町
所属 M.Tジム
アマチュア戦績 12勝8KO4敗
スタイル 左ボクサーファイター
主なタイトル 2016年全日本フライ級新人王、日本ユース初代フライ級王者、日本フライ級王者

19年10月、元世界王者メリンドを撃破

◇戦績(20勝15KO)
2015.4.26 4R〇 TKO 1R1’33” 糸賀純一(広島三栄)
2015.7.17 4R〇 TKO 4R1’06” 小久保聡(三迫)
2015.11.22 4R〇 判定 マグナム西田(厚木ワタナベ)判定
2016.1.28 4R〇 TKO 3R2’17” 富岡哲也(REBOOT)
2016.4.28 4R〇 TKO 1R1’43” ユッタナー・シーサケットパッタナー(タイ)
2016.7.27 4R〇 TKO 2R0’15” 村松崇(協栄山神)
2016.10.4 4R〇 TKO 2R終了 田中公士(三迫)
2016.11.13 5R〇 TKO 1R1’40” 山田大輔(REBOOT)
2016.12.23 4R〇 判定 矢吹正道(薬師寺)
2017.2.9 6R〇 TKO 2R0’43” ミンクワン・アールアールナコンパトム(タイ)
2017.4.16 6R〇 TKO 4R0’53” ジョエル・タドゥラン(比)
2017.5.16 6R〇 判定 工藤優雅(マナベ)
2017.8.23 8R〇 TKO 6R2’01” ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)
2018.1.20 8R〇 KO 1R1’56” ジョロニル・ボレス(比)
2018.4.15 10R〇 TD 8R0’43” マリオ・アンドラーデ(メキシコ)
2018.7.7 10R〇 KO 3R0’36 デクスター・アリメンタ(比)
2018.10.6 8R〇 判定 小坂駿(真正)
2019.2.2 10R〇 TKO 9R0’23” 望月直樹(横浜光)
※日本フライ級王座獲得
2019.6.1 10R〇 KO 1R1’23” フィリップ・ルイス・クエルド(比)
2019.10.5 10R〇 TKO 6R2’02” ミラン・メリンド(比)

※中谷は2020年4月4日、後楽園ホールでジーメル・マグラモ(比)とWBOフライ級王座決定戦が予定されていたが、新型コロナウイルスの影響により延期が決定。新たな日程は発表されていない。


-->