告知 ビート3月号発売! 全6階級オリジナル日本ランキング、S・バンタム級王者列伝」
2023年2月18日 7時31分
2023年2月17日 17時39分
川崎真琴を9回TKOで破り、38歳のタイトル初挑戦を実らせた出田裕一(三迫)。遅咲きの王者誕生とともに話題になったのが、ここに至るまで長い低迷期があったことだ。一時引退のブランクを挟み13戦も白星に縁がなく(12敗1分)、10年ぶりに勝ったと思ったら、前哨戦で初回TKO負け。そんな男がチャンピオンになった。あきらめずに自分を信じてやればいつか報われる――と、出田は教えてくれた。《文・船橋真二郎=ボクシング・ビート3月号より》
デビューから実に17年7ヵ月。念願だったベルトを手にした38歳は、喜びを体いっぱいに表現するでもなく、感情を露わにするでもなく、うっすらと目に涙をたたえながらリングに立ち尽くし、ただ静かに思いを噛みしめているように見えた。あの時、胸に去来していたものはなんだったか。
「いちばん強かったのは安心感でした。チームとして三迫ジムの皆さんに支えられて、その気持ちも背負っていたので。自分で勝手に感じていただけなんですけど、絶対に勝たなきゃいけないなと。そういう気持ちで試合をしたのは初めてだったと思います」
昨年11月8日のタイトル初挑戦。王者の川崎真琴(RK蒲田)とは約3年半前に対戦し、1-2判定で敗れていた。同い年で、こちらも苦労して念願を果たした当時の現役最年長王者には「前回以上の気持ちの強さを感じた」という。歴戦の古傷である両目の上を早々に切り、流血に見舞われながらの激しい攻防となったが「気持ちで負けないように」。前に出て、手を出し続け、終始、間合いと時間を与えなかった。
「行け、行け!」「手を出せ!」と絶え間なくコーナーから飛ぶ声も出田の背を押し続けた。迎えた終盤9回、最後は根負けしたように川崎の手が出なくなったところでストップとなった。
「古い考えなのか、ボクシングは個人競技で試合をするのは選手だけなんだから、勝つのも負けるのも自分の責任というのがあって。練習も自分で考えて黙々とやる、誰のせいにもしないように自分で敢えて、そういう環境をつくってやってきたんですけど、そうではないと今回で分かりました」
試合の1ヵ月ほど前だったか。別の取材に訪れていた三迫ジムで出田のスパーリングを見る機会があった。少しでも相手との間合いが開けば、「行け、行け!」。少しでも手が止まると「打て、打て!」。ヨネクラジム時代からの師である担当の横井龍一トレーナーだけではない。三迫貴志会長、加藤健太チーフトレーナー、ジムメイトも加わり、激しく叱咤するような声が出田を煽り、盛り立てていた。試合とまったく同じ光景があった。
ただ思い思いに声をかけていたわけではなかった。
「会長、横井先生、加藤さん、言う人は違っても言うことは一緒、同じ方向を向いているから、自分もブレることなくやれるんです」
トレーナー陣が川崎を分析し、戦略を立て、どう動き、攻めるのか、戦術が描かれ、チームとして共有されていた。共通理解のもと実際はもっと具体的で的確な声がかけられていた。一丸の力を実感させられた日々だった。
「練習していくうちに自分の中に確固たるものが湧いてきましたし、あとはやってきたことを試合でやるだけでした」..
不屈のチャンピオン、出田にフォーカスした記事全文(Eye of BEAT)は発売中のボクシング・ビート3月号に掲載しています。
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