ウシク、ヴァーホーベンに大苦戦 議論の余地のある11回TKO勝ち

3団体統一ヘビー級王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)がリコ・ヴァーホーベン(オランダ)の挑戦を受けた一戦は23日(日本時間24日)にエジプト・ギザで行われ、意外な内容の末、ウシクの11回2分59秒TKO勝ち。

この試合にはWBCタイトルがかけられており、WBAもスーパー王者ウシクが勝利した場合のみ防衛と認めることを発表していた。IBFもウシクが勝てば次戦で指名防衛戦を行うよう通達し、ウシクが敗れればベルトは空位となり、然るべき日時に王座決定戦を行うとするなどボクシング・ファンにとって釈然としない裁定となり、変則とはいえ話題先行のヘビー級タイトルマッチとして承認する統括団体に発表直後から賛否両論が挙がっていた。

ヴァーホーベンの右を防ぐウシク㊧ photo/Mark Robinson(Matchroom Boxing)

ウシクは大苦戦だった。これが14年ぶりのプロボクシングの試合だったキックボクサーのヴァーホーベンのサイズ、右フックに苦しめられた。10ラウンドまでの公式スコアは95-95が2者に96-94でリードを許していた。

身長196センチ、筋肉の塊のような体をしたヴァーホーベンは出だしからアゴを引いて前へ。ウシクはこれにサウスポーからの右ジャブ、右フックでさばきにかかった。4回、ウシクは左アッパーから攻勢をかけ、ヴァーホーベンにバックステップを強いる。しかしヴァーホーベンは頑強さで盛り返し、中盤も右フックを武器にアタックを続けた。

手数で王者、パワーで挑戦者といった予想外に競った展開で折り返し、8ラウンドにはヴァーホーベンの右で王者が後退して喚声があがった。終盤に入っても王者は、スイッチも混ぜ始めたヴァーホーベンのプレッシャーとコンパクトなパンチの前にペースをつかむことができない。

不穏なムードのなかチャンピオンは10回に鋭い連打で意地を見せると、続く11回、中間距離からのカウンターで優位に立つ。そして牛のように出てくるヴァーホーベンを右アッパーカットでとらえ、ダウンを奪う。

披露困憊のヴァーホーベンはここでマウスピースが飛び出し、イギリスのマーク・ライソン主審がカウント後にタイムをとって装着させ直した。ラウンドの残り時間はほとんどなかったが、再開されるとウシクが連打。ロープに押し込まれるヴァーホーベンを見て、ライソン主審が試合をストップした。

ストップのタイミングはすぐさま議論の的となった。ヴァーホーベン側は「早い」と異を唱えているが、これに同調する意見も多い。

辛くもこのラウンドでタイトルをキープしたウシクだが、歴史的なアップセットの犠牲者となりかけていたのは間違いのないところ。39歳のウシクは25戦全勝16KO。WBCから指名挑戦者として次戦で暫定王者のアギト・カバイェル(ドイツ)と対戦するよう通達が出ているが、ウシク自身は今回のヴァーホーベンのようにファイトマネーを含め、戦いたい選手とだけ戦っていく姿勢を示している。統括団体が毅然とした態度を示せるのか注目される。一方、大健闘を見せた37歳のヴァーホーベンは1勝1KO1敗。

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