チューがスペンスJrに3-0勝ち 豪州のビッグネーム対決

現地時間25日、オーストラリアのシドニー・オリンピック・パークにてノー・リミット・ボクシング主催興行が開催。今回、同プロモーションは『USA vs. AUS』と対抗戦の図式でプロモーション活動を行ってきたものの、試合前約1週間のうちにセミとセミセミが中止に追い込まれる異例の事態となっていた。

メインイベントのミドル級12回戦は元統一ウェルター級王者のエロール・スペンスJr (米国/159ポンド)が元WBOスーパーウェルター級王者のティム・チュー(豪州/159ポンド)に12回判定負け。(3対0/118-110、117-111×2)。

23年7月に行われたテレンス・クロフォード(米国)との頂上決戦で9回TKOの完敗を喫した後、白内障の手術や、長年サポートしてきたデリック・ジェームス・トレーナーとの給料未払い裁判など、ネガティブなニュースばかりだったスペンスが約3年ぶりのリング。クロフォードもリングサイドで観戦するなか、サウスポーのスペンスはポンポンとジャブを出してスタートし、チューがガードを上げながらじりじりと前進する。チューが左フックを引っかけて右フックを当てると早くもスペンスの膝が揺れた。

2ラウンドはプレスを強めるチューにスペンスも左ストレートを返して対抗。4ラウンドに入りチューが上下にパンチを打ち分け、スペンスはハッキリと退がりはじめる。5ラウンドはスペンスが手数で流れを食い止めたが、6ラウンドは再びチューの上下の打ち分けが有効。その後はチューが追いかけてコツコツとパンチをヒットし、スペンスはジャブとフットワークで決定打を外すものの、ポイント的にはチューがリードを広げる展開だった。

31歳のチューは28勝18KO3敗。WBO1位、WBC5位、IBF6位につけている。36歳のスペンスは28勝22KO2敗。連敗となった。

■チャーロ、フルトンの試合が消滅し散々
セミファイナルは当初、元2階級制覇王者でWBAスーパーミドル級4位のジャモール・チャーロ(米国/34勝23KO)が、これまた約14ヵ月ぶりの一戦として、OPBF東洋太平洋スーパーウェルター級4位のコーエン・マズーディアー(豪州/15勝6KO4敗1分)と対戦するはずだったが、22年にチャーロが起こした暴行事件や24年の飲酒運転による前科を問題視したオーストラリア側がビザを発給せず、約1週間前に中止が発表。

巻き添えを食ったマズーディアーは8月26日の同プロモーション主催興行、ニキータ・チュー(豪州)の世界挑戦者決定戦アンダーカードに出場する予定。

そしてセミセミ。こちらも当初、WBA世界スーパーフェザー級挑戦者決定戦と謳われていたWBA6位のスティーブン・フルトン(米国/23勝8KO2敗)対WBA7位のリアム・ウィルソン(豪州/18勝10KO3敗/133ポンド)戦だったが、フルトンは試合前の公開練習を欠席し、ウェイトがつくれないことをプロモーターと協議して、急遽133ポンド契約ノンタイトル戦に変更した。しかしそれでもフルトンは公式計量でさらに重い139.5ポンド(約63.2kg)と、スーパーライト級リミットをわずかに下回るウェイトで、プロモーターが試合の中止を決めた。当然だろう。

同プロモーションは「本当に恥ずべきことです。フルトンは私たちがこの10年間、扱った中で最もプロフェッショナルらしくないボクサーです。私たちは130ポンドをつくれないという彼のリクエストに応じ、133ポンド契約を受け入れた。ところが139ポンドで来るなんて冗談のような話です。ウィルソンは戦意も旺盛で出場すると言いましたが6ポンドオーバーは到底受け入れられるものではありません」と声明を出した。ベン・ハリントン・トレーナーも「リアムと彼の家族を守る義務があります。彼はほぼ140ポンド、本来は133ポンドのはずです。彼は体重を落とす気がなかったんだ、努力もしなかった、本当にがっかりです」と述べている。

■無敗の23歳レダがベテランのフレミング下す
セミファイナルに繰り上げられたスーパーライト級10回戦。アーメド・レダ(豪州/134.5ポンド)が元IBFパンパシフィック・スーパーフェザー級王者のポール・フレミング(豪州/133.2ポンド)に10回判定勝利を収めた。スコアは99-91、97-93、96-94の3-0。

15歳下のレダがスピードを生かし、サウスポーのフレミングにプレッシャーを掛けていく。これにフレミングは退がりながらもクリンチを混ぜベテランらしくのらりくらりと試合を運ぶ。相手を挑発しおどけるようなところを見せたかと思うとワイルドなパンチを振ったりするフレミングだが、レダはコンパクトなパンチで対抗し、手数で僅差優勢の印象だった。

7ラウンドにフレミングは右まぶたから出血。決定打こそ外すフレミングだが、ペースは一層レダに傾いていった。フレミングも左まぶたを腫らしながら気持ちを切らさず、最終回は前に出て左右フックを振る。ここでレダに右フックを合わされるなど逆転打を封じられ、終了のゴングを聞いている。

23歳のレダは9戦全勝6KO。一方、08年北京五輪フェザー級ベスト32、38歳のフレミングは28勝18KO2敗2分。ここ5年間は6試合(2勝2敗2分)に留まっている。

パリ五輪ライトヘビー級ベスト16のカラム・ピータース(豪州/159ポンド)はミドル級10回戦でイバン・アクティス(アルゼンチン/159.8ポンド)に7ラウンド55秒TKO勝利。

両者、開始から積極的にパンチの交換を見せるが、終盤にはピータースの左を食ってサウスポーのアクティスが膝を揺らす。有効打数でややピータース優勢の序盤にあってアクティスも懸命に応戦するものの、4ラウンドに左まぶたをカット。アクティスは徐々に被弾が増え、しかし戦意は衰えずパンチを返していくなか迎えた7ラウンド序盤、ピータースの右が入ったところでダメージを考慮したウィル・スラウス(豪州)レフェリーが割って入った。アクティスの健闘に拍手があがっている。WBOアジアパシフィック・ミドル級9位、23歳のピータースは8戦全勝7KO。29歳のアクティスは13勝9KO1敗1分、セコンドはストップのタイミングに不満の意思表示を示した。

IBFインターコンチネンタル・ライトヘビー級王座決定戦はIBF13位のパウロ・アオクソ(豪州/174.5ポンド)がルイス・アントニオ・テヘダ(ドミニカ共和国/173.3ポンド)に10ラウンド21秒KO勝利。アオクソが新王者となった。

東京五輪ライトヘビー級ベスト16、サウスポーのアオクソがタイミングのいい左を合わせるが、テヘダも踏み込みが速い。2ラウンド、テヘダが先に仕掛けていい右フックを好打、するとアオクソもテヘダをロープに詰めて右フック、左ストレートを返す、見応えある攻防となった。スイッチを混ぜながら前進を続けるテヘダだが5ラウンド序盤、アオクソに右フックをラリアット気味に引っ掛けられてつまづくと、レス・フィアー(豪州)レフェリーはカウント8を数える。

しかし不運な裁定にめげずテヘダは懸命に前進、アオクソをロープに詰めコンパクトな連打を浴びせて流れが変わり始める。6ラウンドはテヘダの手数がポイントを挙げ、7ラウンドもアオクソ自らスリップするなど、序盤から続くテヘダの攻勢にスタミナを削られたアオクソはロープ際で棒立ちになる場面が増え、番狂わせの空気が漂いはじめた。9ラウンド、長い距離をキープしたいアオクソは退がりながらジャブを突き、クリンチワークを混ぜながら回復に努め、最終回はゴング直前に観客を煽りながら自らを鼓舞する。すると前に出てきたテヘダにアオクソの左ストレートがアゴへクリーンヒット。テヘダが大の字に倒れこんだ。ダメージの深さを考慮したレフェリーはカウントを数えず試合を止めた。29歳のアオクソは11戦全勝6KO。中盤の劣勢は今後のキャリアに生きるだろう。惜敗の27歳、テヘダは12勝9KO1敗1分。

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