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渡邊海が石井龍誠を7回TKO、石井渡士也は福井勝也を10回TKO、山口仁也が吉田京太郎を制す トリプルタイトル戦

2025年4月23日 0時14分

 22日、東京・後楽園ホールで開催された『フェニックスバトル133』。メインイベントのWBOアジアパシフィックS・フェザー級王座決定12回戦は、前王者で11位の渡邊海(ライオンズ)が4位・石井龍誠(金子)を7回40秒TKOで破り、王座に返り咲いた。

石井を倒した渡邊

 1月に日本王者・奈良井翼(RK蒲田)と“実質統一戦”のノンタイトル戦に1-2判定で敗れた渡邊は、WBOの規定によって王座を剥奪されていたが、わずか3ヵ月で同王座を取り戻した。それも鮮やかで凄まじいカウンター一撃で。右ストレートを敢えて空振りさせて石井の左ブローを引きずり出し、それに合わせた「狙っていた」左フック一閃。回転しながら沈んだ石井を見て、レフェリーが即座に試合終了を宣した壮絶な幕切れだった。

 オーソドックスの渡邊とサウスポーの石井。ともに前の手でリズムを取りつつ後ろ手を打ちこむタイミングを計る。そして両者とも相手の攻撃を引きずり出してこれをかわしてリターンを狙い、あるいは同時打ちでカウンターを狙う。緊迫した時間が続いていく。

 4回に一気に打ち合いの様相となってスイングし合った2人だが、渡邊はここで露呈した雑さを省みたのだろう。小刻みなステップで出入りを始め、石井の打ち気をはぐらかしていく。中・長距離でスウェーバックを駆使し、この距離を得意とする渡邊に付いていった石井だが、狙っていただろう至近距離での打ち合いで渡邊に上回られた。渡邊の駆け引きが長けていた。

 「防衛戦よりも統一戦をしたい。波田選手、奈良井選手。どっちでもいいのお願いします」と、観戦していたOPBF王者・波田大和(帝拳)と奈良井に呼びかけた渡邊は14勝8KO2敗1分。スリリングさを演出したものの敗れた石井は12勝9KO8敗1分。

成長したボクシングで福井に勝利した石井㊨

 セミファイナルで行われた日本S・バンタム級王座決定10回戦は、1位の石井渡士也(RE:BOOT)が2位・福井勝也(帝拳)を最終10回2分38秒TKOで下し、新王者となった。

 石井が丁寧に距離を管理しつつ、ワンツーストレート強打を意識させての多彩な攻めで福井を制した。福井は得意の左ジャブで石井を牽制し、石井の入り際に左ボディーダブルを打ちこんだ。が、石井が徐々にジャブでも上回り、攻撃のタイミングを様々に変化。当初こそ迎え打つ様相だった福井は回を追うごとに戸惑いを膨らませ、受け身の態勢となっていった。

 これまでの石井は、チャンスとみると力んで心も体もバランスを乱す傾向にあったが、この日は自身に対するコントロールが繊細だった。常にリラックスした状態を保ち、福井をじりじりと煽っていく。福井が焦りの反撃を見せればこれをしっかりと距離とダッキングでかわし、右の攻撃でイン&アウトを使い分ける。そして右を意識させておき、近距離で肩を開かず打つ左フックを効果的に打った。

 左ボディーブローと右ストレートで逆転を狙い続けていた福井は最終回に連打を仕掛けるが、石井はこれをかわしてワンツーをヒット。左アッパーを織り交ぜた4連打を決めると、レフェリーが止めた。

 23年10月に、当時王者だった下町俊貴(グリーンツダ)に挑戦し、10回ドローで涙をのんだ石井。その下町が世界挑戦準備に入り返上した王座を見事に獲得した。9勝6KO1敗2分。これが初黒星となった福井は8勝6KO1敗。かつての石井がそうだったように、福井もこの悔しさを今後に生かしてほしい。

吉田を攻め抜いた山口㊧

 日本S・フライ級王座決定10回戦は、1位の山口仁也(三迫)が2位の吉田京太郎(ワタナベ)に95-94、96-93、96-93の3-0判定で勝利し、新チャンピオンとなった。

 サウスポーの山口に対し、間断なく突く左ジャブと右ストレートで先制したのは吉田だった。吉田の右を食って2回に左目上をカットした山口は、左右フックでボディーを叩き、距離を詰めての手数で反撃する。間合いを取ってカウンターを狙う吉田に、その距離とタイミングをつかませまいとする手数は圧倒的で、吉田はロープを背負って釘づけになることが増える。

 5回終了後の公開採点はジャッジ三者とも1ポイント差をつける2ー1で山口がリード。すると続く6回、それまで左右のサイドボディーを叩いていた山口は、左アッパーでみぞおちを刺す。これが効いた吉田だが、ここを踏ん張ると8回には右を見せておいての左フックで山口をグラつかせ、9回にはワンツーを立て続けに決めて山口を倒す。

 しかし、ダメージを受けながらこれをごまかす山口がうわてだった。体を密着させて連打。吉田の追撃を封じつつ、スタミナを奪うことに成功した。

 接近戦の上手さを披露した新王者・山口は6勝2KO1分。同門の高山涼深が体調不良で王座を返上。“代役”としてこの試合に臨んだ吉田は6勝3KO4敗。

あっけなく倒されたアポリナリオ

 元世界ランカーのデーブ・アポリナリオ(フィリピン)が仕切り直しの51.5kg契約8回戦に臨んだが、伏兵フー・ロンイー(中国)に3回1分45秒KO負けを喫する波乱。

 開始から距離を詰めて猛然と連打するフーを、サウスポーのアポリナリオがいなしながら左ボディーアッパーで迎え打つ。だが、まとわりついて上下内外と打ち分けるフーの攻めを、アポリナリオは持て余す形に。迎えた3回、右をリードブローにするフーが、その右をショートで打ち込むとアポリナリオがキャンバスに落下。立ち上がったものの、ふたたび右を打ち込まれたアポリナリオはヒザを着きながらテンカウントを聞いた。

 23年10月に、元日本ランカー苗村修吾(SRS)を沈めたフーの硬いパンチは驚異的だ。8勝5KO2敗2分。アポリナリオは昨年8月の世界挑戦(IBF王座決定戦=前王者アンヘル・アヤラに6回KO負け)に続く手痛い2敗目(21勝14KO)となった。

 国体バンタム級優勝経験のある岡聖(大橋)が54.0kg契約6回戦でプロ初戦。タサナシン・ウォンスワン(タイ)を初回にワンツーからの左フックで倒し、10カウントを聞かせての42秒KO。あっさりと初陣を飾った。

◇東日本新人王予選ライト級4回戦
山口聖矢(大橋)[TKO1回3分4秒]栗原宗太郎(E&Jカシアス)

◇東日本新人王予選ライト級4回戦
劉家瑋(渡嘉敷)[TKO4回1分15秒]竹澤大治郎(大橋)

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