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ゴロフキンあすV20戦 村田諒太が語る絶対王者

2018年5月4日 20時57分

 村田諒太(32=帝拳)がWBA王座に君臨するミドル級で、WBAスーパー王座、WBC王座、IBF王座を保持しているゲンナジー・ゴロフキン(36=カザフスタン)が5日(日本時間6日)、アメリカのカリフォルニア州カーソン、スタブハブ・センターで通算20度目の防衛戦に臨む。

 挑戦者は1階級下のS・ウェルター級でWBC1位にランクされるバネス・マルティロスヤン(32=アルメニア=米)。ともに04年アテネ・オリンピックに出場し、ゴロフキンはミドル級で銀メダル、マルティロスヤンはウェルター級2回戦で敗退している。圧倒的有利とみられているゴロフキンとの対決が期待される村田にWOWOWがインタビューした。

ゴロフキン戦を語った村田=「(C)NAOKI FUKUDA/WOWOW」

■強いだけでなく人としての器も大きなゴロフキン

――世界王者の称号を手にしてから、無冠時代と比べて他の選手たちを見るときの基準は変わりましたか。

村田「変わりはしないけれど、自分がアメリカで戦う話もあるので、誰と戦うのかなと、気にするのはそれぐらいですかね」

――自分も主役のひとりだという意識は強くなりましたか。

村田「その意識は強くなりました。タイトルを持っているということは、すごく大きな意味がありますね」

――初防衛も果たして自信も増したことと思います。

村田「そうですね。形のうえの問題ですが、オリンピックの金メダリストとして(プロの)世界タイトルを手にしたという事実を残せたので、あとは冒険ができます」

――やるべきことのひとつにゴロフキンとの試合も入ると思いますが、そのゴロフキンの試合を初めて見たのはいつでしたか。

村田「彼がアテネ・オリンピックの決勝でロシアの選手と戦って負けた試合です。序盤はリードしていたけれど、振り回していたので途中からスタミナが切れて逆転されたんです。でも、強い選手だなという印象でした。体はそれほど大きくないけれど、踏み込みが速かった。

当時は軽いパンチでもポイントが入るため“タッチ・ゲーム”と言われていましたが、ゴロフキンのスタイルは全然違っていました。僕ら日本の選手がやってきたベースのようなものがあって、だから参考になると感じました」

■僕の上にいる“スーパー”チャンピオン

――ボクシングの知識がない人にゴロフキンのことを紹介するとしたら、どう説明しますか。

村田「僕のことを知ってくれている人には『僕の上に設定されているスーパー・チャンピオン』と。上のランクに位置するチャンピオンといえば分かりやすいのでは」

――どんな選手なのかと問われたら。

村田「勝つこと、KOすることが当たり前のこととして考えられている選手、17連続KO防衛という記録を打ち立てている選手」

――あらためてゴロフキンの強さを分析してください。

村田「とにかくパンチ力があり、加えてタフ(打たれ強い)。打たれても頑丈ですね。昨年9月のカネロ(サウル・アルバレスのこと)戦ではパンチをもらうシーンがあったけれど、ビクともしませんでしたからね。この階級で最強の選手です」

――同じミドル級の村田選手も「最強」と認めるわけですね。

村田「はい。だから僕は彼と戦いたいんです。そしてゴロフキンは紳士でクリーンな選手です。アスリートとして尊敬に値するし、だから戦いたいんですよ」

――しかし、直近の3試合は消化不良の印象もあります。

村田「ボクシングは相手あってのことですから。判定勝ちに終わったジェイコブスは(当時の)WBAチャンピオンだったし、カネロ戦(12回引き分け)は接戦だったけれど、内容的にはゴロフキンの圧勝といってもいいほどだったじゃないですか。

でも、ピーク時よりは勢いが落ちているかもしれないですね。全盛期のマイク・タイソン(アメリカ=元世界ヘビー級王者)の相手がリング上がった時点で倒されることを覚悟しているような、それと似た雰囲気がゴロフキンにもありましたが、いまはその魔法は解けていますよ」

■スパーでは意外とパンチが当たった

――村田選手がアメリカでゴロフキンと一緒にトレーニングし、スパーリングもしたことがあるんですよね。

村田「プロデビューして1年後ぐらいだったと思います。3ラウンドのスパーリングを2日間やりました。パンチ力が異質でしたね。硬くて強い、そして重い――まるで石で殴られているようで、初めて受ける衝撃でした。こんなにパンチがあるんだと思いました。

加えてジャブも巧い。“タッチ・ゲーム”全盛のなかで世界選手権で金、オリンピックで銀メダルを取るぐらいですから。長い距離でも戦えるし、高い技術もありました」

――村田選手も手応えを感じましたか。

村田「意外と僕のパンチも当たったし、ゴロフキンのパンチそのものも見えなくはなかった。こちらはデビューしてから1年ぐらいなので、加減してくれたところはあったと思いますけど。たしかに強いという印象はありましたが、あの当時より僕も成長していると思います。4年前とは単純に比較できませんね」

――人間性についてはどう感じましたか。

村田「とてもソフトな人です。あのときも僕を撮影するためにテレビのクルーが来ていたんですが、『邪魔だ、俺は試合前なんだ』と言っても不思議ではないところを、彼はカメラの前を横切る際、『エクスキューズミー』と言って通るんです。そういう人です。人としても器の大きさを感じました」

■マルティロスヤンは簡単に倒れない

――今回、ゴロフキンに挑戦するマーティロスヤンについてもアテネ・オリンピックのころから見ているのでしょうか。

村田「いや、オリンピックでは彼は途中で負けた(2回戦敗退)ので見ていません。初めて見たのはプロになってからです。ガードを高くして強打を打ち込んでくる、基本に忠実な選手だと思います。

(王座決定戦で対戦した)デメトリアス・アンドレイド(アメリカ)との試合では負けたけれど物議を醸す2対1の判定だったし、初回には右から左の返しでダウンを奪っていますからね。もともとファイター型に近いので足をつかう相手とは相性が悪いかもしれないけれど、ゴロフキンのようなタイプとは噛み合うと思いますよ。

ただ、2年のブランクが気になりますね。マ ルティロスヤンが良い状態をつくってきたとしたらゴロフキンにとって簡単な試合にはならないんじゃないですかね。マルティロスヤンはガードが堅いし臆するところがないので」

――では、挑戦者サイドから見たゴロフキン攻略法は?

村田「まずはガードをしっかりして大きなパンチをもらわないこと。ただ下がるのではなく長い距離で打っていって、できればアッパー系のパンチをつかいたいですね」

――展開と予想となると、やはりゴロフキンですか。

村田「順当にいけばゴロフキンですが、マルティロスヤンも序盤は良い勝負をすると思います。あの選手はそう簡単には倒れないと思います。でも、結局は持っているパワーの差、体重の壁、耐久力といった点でゴロフキンでしょうね。4ラウンド以降、中盤にゴロフキンがKO、あるいはTKOで防衛というのが順当なところかと思います」

■自分ならゴロフキンとこう戦う…

――その先の展開しだいでは村田選手自身がゴロフキンと戦う可能性がありますが、気持ちの準備はできていますか。

村田「やれればいいですね。その試合ができるのであればボクシング界が盛り上がると思うし、僕がボクシングから受けた恩恵を返せるのではないかと思います。もちろん戦う心づもりはあります」

――楽しみと不安の両方があると思います。

村田「もちろん両方あります。でも、それはそれで全部、乗り越えるしかないでしょう。苦しみだって恐怖だって人生に必要なものだし、それを乗り越えて人間は成長していくものだから。そういうことが味わいのあるものになればいいと思います。プレッシャーがかかるけれど、最高の目標になりますよね」

――どう戦うつもりですか。

村田「しっかりジャブを突いて自分の距離を保ちながらプレッシャーをかけて、守るところは守る。自分のボクシングをするだけです。イメージはありますよ」

――ゴロフキンだけでなく、村田選手のいるミドル級にはアルバレス、WBO王者ビリー・ジョー・サンダース(英)、ジェイコブス、ジャーマル・チャーロ(米)、セルゲイ・デレフヤチェンコ(ウクライナ/ロシア)、アンドレイドと錚々たる猛者が集まっていますね。

村田「ホントですね。ここに集まってくるなよ、あっちに行けよと言いたくなる(笑)。でも、ゴロフキン、カネロというスター選手がいるので当然ですね」

――ゴロフキン以外では戦いたい相手はいますか。

村田「ジェイコブスですね。実績もあるし、戦えば面白い試合になると思います」

◆◆◆WOWOW番組情報◆◆◆ ★

『生中継!エキサイトマッチスペシャル
ミドル級最強王者ゴロフキン防衛戦』
【放送日】5/6(日)午前10:30~[WOWOWプライム]
WBA・WBC世界ミドル級タイトルマッチ
ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)/3団体統一世界ミドル級チャンピオン
 vs バネス・マルティロスヤン(アメリカ)/WBC世界S・ウェルター級1位

★『生中継!エキサイトマッチスペシャル 光速対決!リナレスvsロマチェンコ』
【放送日】5/13(日)午前9:00~[WOWOWプライム]
WBA世界ライト級タイトルマッチ
ホルヘ・リナレス(ベネズエラ・帝拳)/3階級制覇王者
 vs ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)/2階級制覇王者

■WOWOW番組オフィシャルサイト
http://www.wowow.co.jp/sports/excite/

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