2019年7月13日土曜日

リベンジ大成功の村田諒太コメント 
被弾覚悟の前進「絶対に後悔したくなかった」

  WBA世界ミドル級タイトルマッチが12日、エディオンアリーナ大阪第1競技場のメインで行われ、前王者で挑戦者4位の村田諒太(拳)は王者ロブ・ブラント(米)に2回2分34秒TKO勝ち。王座返り咲きに成功した。ブラントは2度目の防衛に失敗した。

解説の長谷川穂積氏と拳を合わせる村田

 昨年10月、ラスベガスでブラントに完敗した村田のリベンジマッチ。前回とは変わった姿を見せるべく、村田は立ち上がりから積極的に前に出た。ブラントも果敢に打ち合うなど、前回とは違った戦いぶりを見せた。

 しかし、この日の村田は上下にパンチを打ち分けて、ブラントを瞬く間にロックオン。左フック、右ストレートでダウンを奪って、最後はストップ勝ちを呼び込んだ。以下は、試合後の控え室で村田と報道陣の主なやり取り。

村田(左)は初回から思い切り攻めた

─やりたかったことはできましたか?
「やりたかったことは相手に(体を)起こされないこと。(前回は)特にワンツー、スリーで顔を跳ね上げられて棒立ちになった。その(棒立ちにならたいための)足腰の強さは練習でやってきた。じゃあ、あの左フックを効かせることがやりたかったことかといえばそうじゃなくて流れ。やりたかったことは倒すとか倒されるとかじゃなくてもっと地味なことだった」

─ブラントが序盤に前に出てきたのは意外?
「びっくりしました、こうくるかと思った。そこで(本田)会長から『前だよ、前で殺せ』と言われて、それが功を奏したと思います」

─右ストレートを効かせてからの連打ではなかったですか? 左フックを効かせた?
「はい、スパーリングでも左フックを効かせることがあったので、結局スパーリングで出てることしか(試合では)出ないなと。スパーリングで出たのが出たら勝てるし、出なかったら勝てないし。練習は嘘をつくときも多いですけど、練習でやったことしか出ないなと」

─2ラウンドでKOを逃したら3ラウンドはウダウダになりそうだったとリング上で話していましたけど?
「ありました。あと何秒だろうというのがありましたし」

─このラウンドで仕留めなくちゃいけないという気持ちでしたか?
「もう1回ダウン取らないといけないと思いましたね。そうしたらこっちも休めるし、(相手は)引きずってるはずなので」

ミッション完遂、この男はドラマチックだ

─ブラントの心が折れかけてると感じた瞬間はいつ?
「レフェリーが1回止めたじゃないですか、止めたけど止まらなかった。そのあとに前に出て顔を打とうか迷ったんですけど、右アッパーからボディを打った。そのときに相手が『あっ』という顔をしたので、その瞬間に勝ったかなと思った。ダウンを取ったあとです」

─被弾も多かったですね?
「しましたね。いや、前に行くしかないと思ってましたし、あんな出方をしてくると思わなくて面食らったとこともありましたけど、ただ、もうこの試合最後になるかもしれないという気持ちもあったんで、絶対後悔したくないという気持ちもありましたし。あとはさっきも言いましたけど練習でやってました。相手がきて、そこで前、そこで前というのやってましたんで」

─入場のときの顔が怒っているように見えましたが(いつもは笑みを浮かべる)?
「怒ってないです。瞑想というのか、無の状態でいようと思った。ゴングの瞬間は冷静でした。スパーのときにやるルーティンをやりながら、股関節回すとか、相手に起き上がらされたときのかっこうをわざとやって、こうじゃないんだよ、という動きをするとか。反対の動きをやることで逆の動きができたりするので。そういった意味では冷静だったと思います」

笑顔でメディアの質問に答える村田、隣は浜田・帝拳代表

─12ラウンドやることを考えていないような戦い方に見えましたけど?。
「それは相手だと思いますよ。あれでペース取って、もしかしたら2ラウンドくらいまでにペースとったら、アウトボクシングするつもりだったかもしれない。相手のほうがすごくペース配分を考えていた。だからよく言いますけど、今日は僕の夜だったというだけで、前回は彼の夜だったし。そういうところがあると思う」

─ここまでがむしゃらに手を出したのはプロになって初めてではないですか?
「そうかもしれません。相手あってのものなんで、かみ合ったと思います」

─準備から試合まで崩れなかった要因は?
「負けたくないという強い気持ち。そして本田会長、カルロス・トレーナーも付き合ってくれましたし、チーム帝拳のおかげだと思います」

─不安はなかった?
「不安がないわけないでしょう(笑)。不安がなかったらルーティンもやらないですし。不安はあっていいと思いますし、不安があるからがんばれますし、不安があるから成長できるし、人間的だから共感していただけることもあると思う」

─いま振り返って再起の決断をどう思う?
「そりゃよかったと思いますよ。会長がはねて喜ぶところなんて見たことなかったし。そんなシーンを作ることができたのはうれしいと思ってます」

─次に見すえるものは?
「いままでの感覚とちょっと違うのは、ゴロフキンだの東京ドームだの言ってきて、これってあくまで個人のことなんですね。で…あんま先のことは言いたくないですね、獲ったばかりで。先のこと言うのやめてください(笑)」。

─リング上で「帝拳ジムにはチャンピオンが必要」と発言していたけど?
「そうなんです。僕個人というか、チーム帝拳が僕に居場所をくれたので、帝拳に世界チャンピオンがいてほしいですし、僕が(だれかに)バトンを渡すまではがんばりたい気持ちはありますけど…これも試合が終わったばかりなのでやめましょう(笑)」