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史上最高“300億円マッチ”に世界が興奮
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2020年5月2日 土曜日

名勝負プレイバック メイウェザーvs.パッキャオ 
史上最高“300億円マッチ”に世界が興奮

 2015年5月2日、米ラスベガスのMGMグランドガーデンアリーナで世紀の一戦が行われた。47戦全勝のパウンド・フォー・パウンド・キング、フロイド・メイウェザー(米)とアメリカンドリームを実現した世界6階級制覇、マニー・パッキャオ(比)の対決がついに実現したのである。

試合は前日計量から大いに盛り上がった

 ボクシング界の双璧、メイウェザーとパッキャオの“夢対決”は09年から何度か交渉が持たれたものの交渉締結にはいたらなかった。ドーピング検査をめぐる意見の対立、ファイトマネーの配分、テレビ放映をめぐる調整、パッキャオをプロモートするトップランクの総帥ボブ・アラム氏とメイウェザーの確執…。交渉は何度か決裂し、夢は夢として終わるのだ、というあきらめムードが漂っていた。

 しかし、事態は急展開した。15年に両者はグッと距離を詰めてついに交渉を成立させたのだ。突然の朗報にファンは大喜び。さんざん待たされた分、気持ちの高揚はすさまじく、世界中から熱い視線がラスベガスに注がれた。

 リングアナウンサーはショータイムのジミー・レノン、HBOのマイケル・バッファーとそれぞれの看板アナが登場。なぜかバッファー自慢の美声はかれていてがっかりさせられたが、こうして運命のゴングはついに打ち鳴らされたのだ。

パッキャオがメイウェザーをロープに追い込む場面も

 いつものように左ガードを下げ、高速の右を狙うメイウェザー。パッキャオは脚を使いながら左を打ち込むチャンスをうかがう。鋭い左ストレートを打ち込むと観客が沸くが、メイウェザーが素早く反応してこれは届かない。テレビの前に座っていても、緊張感がビシビシと伝わってくる立ち上がりだ。

 4回はこの試合最大の見せ場となった。パッキャオの左ストレートがヒットすると、メイウェザーがロープ際に後退。大歓声を背に連打を見舞うパッキャオ。メイウェザーは全スキルをフルに動員してこの事態に対処するが、予想不利のパッキャオがミラクルを起こすのではないか─という期待は一気に膨らんだ。

 しかし、メイウェザーはやはりメイウェザーだった。5回以降、メイウェザーは時にジャブ、そして得意の右ストレートでパッキャオを迎撃し、フィリピンの強打者に付け入るスキを与えない。パッキャオはボディに左ストレートを見舞いながら攻撃の糸口を探るが、メイウェザーが手を出さずに引きつけてカウンターを打ち込むというお得意のボクシングを徐機能させ、パッキャオは打つ手を失っていく。

やはりメイウェザーは老獪だった

 パッキャオは終盤もファイティングスピリッツを見せようとしたものの、老獪なメイウェザーにしてやられ、持ち前の爆発的なアタックは不完全燃焼のまま。読み上げられたスコアは116-112×2、118-110と3者ともにメイウェザーを支持した。

 この勝利により、WBAスーパー・WBCウェルター級チャンピオンのメイウェザーはパッキャオのWBO同級王座を吸収し、ウェルター級3団体統一王者となったことを書き加えておく。

 終わってみれば、パッキャオがディフェンシブなメイウェザーを攻略できずに判定負け、という「最も可能性が高い」と予想された結果に試合は落ち着いた。退屈な試合だった、という意見は少なからずあった。ただし、試合前の予想や両陣営から発せられるコメント、試合後に明らかになった事実を含めて、史上最大の祭りであったことは間違いない。

試合後に健闘をたたえ合う両雄 Photo by SHOWTIME

 この試合は歴史上のあらゆるファイトを上回り、史上最も高額の売り上げを叩きだした試合となった。PPV(ペイ・パー・ビュー)の購買件数は460万件、売り上げ4億ドル(約480臆円)、ゲート収入は7000万ドル(約84億円)。両者のファイトマネーは合わせて3億ドル(約360億円)とも言われた。

 米経済誌「フォーブス」が同年6月に発表したスポーツ長者番付で、世界のあらゆるスポーツ選手の中でメイウェザーが1位、パッキャオが2位となる。スポンサー収入や副業も含めてメイウェザーが1年間に稼いだ額は3億ドル(約368億円)、1億6000万ドル(約196億円)。この多くを占めるのが“世紀の一戦”で得た報酬だった。

 祭りが盛り上がれば盛り上がるほど、終わったときの寂しさも大きなものだ。トップランク総帥のボブ・アラム氏も同じように感じていたのだろう。試合後にこんなコメントを残している。

「私はこの業界に50年いる。若いファイターはどんどん登場して、新しいスターが生まれる。信じてほしい。10年、15年たてばこの試合に匹敵するビッグマッチが必ず実現するだろう」。

 あれから5年。同じようなビッグファイトを期待するのはまだ早そうだ。Photos/SUMIO YAMADA

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