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メキシコの伝説王者サルバドル・サンチェス 23歳で交通事故死から40年

2022年8月12日 9時35分

 いまから40年前の1982年8月12日、メキシコの天才ボクサー、サルバドル・サンチェスが愛車ポルシェ928を運転中に交通事故で死去。現役の世界チャンピオンにして23歳という若さだったサンチェスは早すぎる死により伝説と化した。

ラストファイトとなったネルソン戦のサンチェス(左)

 1980年2月、豪腕ダニー・ロペス(米)を下してWBCフェザー級王座に就いたサンチェスは5度の防衛に成功。そして81年8月21日、プエルトリコの〝バズーカ砲〟、WBC・J・フェザー級王者ウィルフレド・ゴメスと歴史に残る名勝負を演じることになる。

 下馬評はゴメス有利。ゴメスはWBC・J・フェザー級王座を13度防衛して、そのすべてがKO勝ち。35勝35KO1分の戦績を誇っていた。サンチェスは優秀な世界チャンピオンだったとはいえ、ゴメスの強打の印象はあまりに強かったのである。

 米ラスベガス、シーザースパレスで行われた一戦は、いきなりサンチェスの左フックが炸裂してゴメスがダウンするという立ち上がり。大きなダメージを被ったゴメスは初回をなんとか切り抜けると、以降はその豪腕を武器に強引にペースを取り戻そうとした。

 サンチェスはゴメスの強打を食らうシーンもありながら、接近戦の打ち合いでもバズーカに引けを取らず、距離を取るところは取ってゴメスにダメージを与えながら試合を進めた。

 迎えた8回、サンチェスはさらにゴメスを追い込み、ロープ際で右ストレートを決めると、グロッギーになったゴメスに連打を浴びせ、ゴメスがついにダウン。かろうじて立ち上がったものの10カウントとなった。KOタイムは2分9秒だった。

 サンチェスは翌82年7月21日、のちに名世界王者となるアズマー・ネルソン(ガーナ)を15回KOで退けてV9に成功。そのわずか3週間後に自動車事故で天国に旅立った。生涯戦績は46戦44勝32KO1敗1分。

 この事故に先立つ1973年1月25日、WBAフライ級王者だった大場政夫が同じく自動車事故で世界チャンピオンのままこの世を去った。サンチェスと同じ23歳。サンチェスの訃報に大場の死を思い出したファンも多かった。

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