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S・ライト級“明石のマタドール”佐竹政一

一度は世界戦を見てみたかった名選手を振り返る 
S・ライト級“明石のマタドール”佐竹政一

2020年10月20日 15時50分

 無冠戦で世界王者に勝ちながら眼疾の田辺清、負け知らずのまま祖国に帰ったサーシャ・バクティン、高橋ナオトに舞い込んだただ一度の挑戦話、西島洋介山がヘビー級に固執しなければ……一度は世界戦を見てみたかった名選手を振り返る――。=ボクシング・ビート11月号より=

2003年10月、佐竹は強豪レイナを右フック一発で倒した

 2000年代初め、中量級で世界挑戦を大いに期待されたのが“明石のマタドール”こと佐竹政一だ。

 東洋太平洋S・ライト級王座を9度防衛。この中にはリック吉村、坂本博之らスター選手の挑戦を撃退した星も含まれる。試合のたびに明石から出てきてはビッグネーム相手に平然と仕事をこなす。

 佐竹は飄々とした印象を抱かせるところがあって、ロードワークやロープスキッピング、腹筋などの筋トレをほとんどしなかったというエピソードもある。ロードワークのかわりに、明石ジム近くの神社の階段を練習後に10往復することは欠かさなかったが、佐竹なりに「自分に必要じゃないことはしない」と主張していたものだ。

 世界の機運が最も高まったのは、2003年10月4日、両国国技館のリング。ベネズエラの強豪リチャード・レイナを右フック一発で2回KOした試合だ。これはトリプル世界戦興行のサポーティングカードとして行われ、スリリングなKOシーンが数多くの人の目に触れることとなった。

 ナショナル・チャンピオンのレイナは10勝9KO無敗。初回からハードパンチをブンブン振り回し、佐竹をロープからロープへと弾き飛ばす。しかしレイナよりも速く、ピンポイントで右フックを打ち込むと、ベネズエラのタイソンは白目をむき前のめりにキャンバスに落ち込んでいった。

 それまでレイナの猛攻にハラハラしていた国技館のファンが思わず熱狂の声をあげる。コーナーポストに駆け上がり、テレビカメラに向けて雄たけびをあげる佐竹――。ワールドボクシング誌は試合リポートを熱っぽく結んでいる。

「道は険しい。が、ファンはこの日、ヒーロー誕生を認識し、夢をくっきりと各々の胸に抱いた」

 さらにワールドは次の号で佐竹を表紙に起用した。世界挑戦が決まったわけでもないのに異例である。「明石のマタドール、世界へ」ストレートなキャッチが編集部の冷めやらぬ興奮を伝えている。

 佐竹のニックネームはまさに名が体を表す好例だった。ボディバランスに優れ、坂本やレイナの豪腕をダック&ロールでかわす。そうしながらカウンターのタイミングを計り、ここぞというところで一閃、見事に仕留めてしまうのだから。ひらりひらりとよけるだけでは金はとれない、剣で刺してこそのマタドールである。

 当時の佐竹が心身ともにボクサーとしてピークだったのは、本人も認めるところだ。

 数多くのファンが次は世界と思うも、結果的に佐竹が大舞台に立つことはなかった。「明石のマタドールが心身のピークで放ったカウンター」記事全文は発売中のボクシング・ビート11月号に掲載しています。アマゾンでもご購入いただけます。→http://amzn.to/3nFG3P5

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