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6日 WBOフライ級王座決定戦展望

次は中谷潤人! 2年ぶり日本人世界王者誕生へ 
6日 WBOフライ級王座決定戦展望

2020年11月3日 14時55分

 WBOフライ級3位の中谷潤人(22歳=M.T)が6日、後楽園ホールで同級1位ジーメル・マグラモ(フィリピン)とWBO世界同級王座決定戦に挑む。ピカイチのホープが勝利すれば2018年以来、2年ぶりの日本人新チャンピオン誕生となる。試合の行方を占った。

1位マグラモ(左)と3位の中谷

 中谷ほどボクシングに真摯に向き合い続け、コツコツとキャリアを積み重ねてきた選手も少ないだろう。小学校6年生で空手からボクシングに転じ、中学生でU-15全国大会を連覇。中学卒業後は高校に進学せず、アメリカに渡っていまなお師弟関係を築くルディ・エルナンデス・トレーナーの指導を受けた。

 その後、家族で三重県から神奈川県相模原市に引っ越し、2005年にM.Tジムからプロデビュー。全日本新人王、日本ユース王座、日本王座、世界ランカーから勝利と着実に階段を登り、20勝15KOの戦績を残して大舞台にたどりついた。世界タイトル獲得は本人の夢であると同時に家族の夢でもあるのだ。

 24勝20KO1敗の戦績を誇る26歳のマグラモは、その数字からフィリピン人らしい思い切り振り回すボクサーをイメージしがちだがそうではない。肩に力を入れずテンポよく手数を出し、チャンスとみれば力を込めたパンチを鋭く打ち込んでいく。なかなかクレバーな印象を与える選手なのだ。

 長身サウスポーの中谷は自慢のスピードとフットワークを駆使してアウトボクシングで勝負していくだろう。マグラモはWBC・L・ライトフライ級王者、寺地拳四朗(BMB)とのスパーリング動画を見る限り、身長は中谷よりもだいぶ低そうだ。いかに接近して得意のボディやアッパー、右ストレートを打ち込むかを考えているはずだが、前半は中谷のスピードとリーチが試合をコントロールするのではないだろうか。

 それでも中谷が最後まで自分のペースで試合を進めることができるかといえば、そう甘くはないだろう。試合のどこかで、何回かはマグラモのフィールドに引きずり込まれる危険性を覚悟しなければならない。

世界王座獲得は家族の夢でもある

 中谷は試合1週間前の記者会見で「不得意だった近い距離でも手数で相手を押し返す練習をしてきた。自信もついたし、メンタル面でも成長していると思う」と頼もしいコメントを発した。かりに距離を詰められたとしても十分に対処できれば、夢の世界タイトル獲得はグッと現実味を帯びる。

 ここ何年かの日本人世界王者誕生を見ていると、2017年に誕生ラッシュを迎えてその後はペースが落ちていることに気がつく。

 2017年は福原辰弥、久保隼(真正)、寺地拳四朗(三迫)、比嘉大吾(Ambition)、京口紘人(ワタナベ)、木村翔(花形)、山中竜也、岩佐亮佑(セレス)、村田諒太(帝拳)となんと9人の新王者が誕生。18年に伊藤雅雪(横浜光)と井上拓真(大橋=暫定)が戴冠し、以来新しいチャンピオンは生まれていない。

 こうした背景からいっても、日本ボクシング界の未来を背負うホープとして中谷に集まる期待は大きい。中谷は「ボクシングで世界チャンピオンになると志して10年ちょっと。11月6日は必ず世界チャンピオンになります」と決意表明。新しい時代を担うホープの初世界戦が注目される。

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