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2021年3月8日 月曜日

ボクシング今日は何の日 アリvs.フレージャー“世紀の一戦”から半世紀

 今日からちょうど50年前の1971年3月8日、ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで世界ヘビー級タイトルマッチが行われ、挑戦者のモハメド・アリが王者ジョー・フレージャーに敗れた。通算3度に渡るライバル対決の幕開けだった。

 世界ヘビー級王座を9度防衛した“ザ・グレーテスト”アリは1967年にベトナム戦争の徴兵を拒否して王座をはく奪される。これにより25歳という全盛期に3年半のブランクを余儀なくされ、70年10月に復帰して2連勝。この試合におよそ4年ぶりの世界王座返り咲きをかけていた。

 アリ不在の間にチャンピオンとなったフレージャーは“スモーキン”の愛称そのままに、機関車のようなファイトでライバルたちを蹴散らし最重量級の王者に君臨していた。

 このときフレージャーが26勝23KO、アリが31勝25KO。フレージャーが東京五輪ヘビー級、アリがローマ五輪L・ヘビー級でそれぞれ金メダルを獲得しており、ファン垂涎の無敗金メダリスト対決は「The Fight of Century(世紀の一戦)」のキャッチフレーズがつけられた。テレビの生中継は世界33カ国、両者のファイトマネーは当時としては破格のそれぞれ9億円と伝えられ、超のつくビッグファイトだったのである。

 スピードのあるアリは軽快なスタートを切ったものの、ブランクの影響なのか、中盤からスピードが鈍りだし、フレージャーがアリにロープを背負わせ、左右のフックを打ち込むシーンを増やしていく。フレージャー優勢で試合は進み、11回はアリのヒザが揺れる大ピンチだ。

 最終15回、逆転KOを狙うアリに対し、フレージャーが得意の左フックを炸裂させ、アリが背中からバッタリとキャンバスに崩れ落ちた。アリはこの痛烈なダウンから立ち上がってKO負けを免れるが、採点は文句なしでチャンピオンの15回判定勝ち。フレージャーが真のスーパー・スターとなり、アリ神話はついに崩壊した。

 しかし、このあと多くのファンから支持を得たのは、戦争に反対し、人種差別に抗議の声を上げ、時代に抗い続けたアリだった。逆に“ザ・グレーテスト”を下してアリの宿敵となったフレージャーは「お前は黒人じゃない」とまで言われ、予想しなかった形で悪役を押しつけられることになったのである。

 両者はその後、フレージャーがジョージ・フォアマンにタイトルを奪われた後の74年に再戦してアリが判定勝ち。そしてアリがフォアマンを下して世界王座に返り咲き、75年10月にフレージャーとの決着戦が決まった。“スリラ・イン・マニラ”と銘打たれたフィリピンでの大一番は、アリが14回終了TKO勝ちでライバル対決に終止符を打つ。すべての始まりは半世紀前のニューヨークだった。

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